9月4日、FAIRPLAY RECORDSからCD(FPCD1009)が発売中のPERIGUNS(ペリガンズ)のアルバム『FLYING PERIGUNS』のハイレゾ音源が、「e-onkyo」において配信開始される。
PERIGUNSはこれまでさまざまな音楽シーンで活躍してきた腕利きミュージシャンたちで構成される。メンバーは竹中俊二(g)、立川智也(b)、草間信一(p,key)、高田真(ds)、クリストファー・ハーディ(per)の5人。なかでも竹中俊二はギタリストとしての活動のみならず、サウンド・プロデュースや作曲・編曲分野でも手腕を発揮してきた。PERIGUNSは2007年、リズム&ブルースを追求するユニットとして活動を開始。2012年にはDVD『Periguns Live lab』(アトス・インターナショナル)をリリースした。
PERIGUNSはこれまでライヴ・ハウスを中心に活動を繰り広げ、その卓越した演奏により多くの音楽ファンを魅了してきたが、今回発売された『FLYING PERIGUNS』は待望の初アルバムとなる。レコーディングは今年2月、STUDIO Dede(エンジニア松下真也)、SOUND STUDIO DALI(エンジニア橋下まさし)で敢行され、ミックスはNK SOUND TOKYOのニラジ・カジャンジが担当している。ニラジ・カジャンジはバークリー音大卒のエンジニアで、マライア・キャリー、ボーイズⅡメン、ジャヒーム、ケリー・ローランド、セリーヌ・ディオン、ヨランダ・アダムスらの録音に携わってきた実績がある。邦楽では三浦大知、SUGIZO、Mrs.GREEN APPLEなどの作品を手掛けるヒット・メーカーとして知られる。第24回日本プロ音楽録音賞優秀賞(ハイレゾ部門)も受賞。アルバムの最終的な音決めで重要な工程となるマスタリングは、同じくバークリー出身で2018年末に活動拠点を東京都内からニューヨークへ移した吉川昭仁が担当しているのも見逃せない。日本のインディペンデント・スタジオのなかでも、屈指のサウンドを生み出してきた先鋭エンジニアたちが録音に携わっているだけに、PERIGUNSのアルバム『FLYING PERIGUNS』はハイレゾ音源に耳を傾ける価値がある。
アルバム『FLYING PERIGUNS』
〈収録曲〉
01. FLYING PERIGUNS
02. BEN'S THEME
03.SULTRY NIGHT SOIREE
04.NIGHTHAWK
05.ON THE CUSP
06.SUCH A JERK
07.DANCE OF DARKNESS
08.TOO MUCH OF A GOOD THING
09.THE MAGICIAN AT THE ROOSTER CLUB
10.THE MORNING AFTER
オトナの音楽リスナーを納得させる
抜きん出た演奏を鮮やかに捉えたレコーディング&マスタリング
オープニングを飾るアルバム・タイトル曲「FLYING PERIGUNS」は、切れ味抜群の竹中俊二によるギターの音色に拮抗するバッキングの演奏が冴え渡る。草間信一の奏でるキーボード、クリストファー・ハーディによるパーカッションの音がハイレゾ音源では心地よく響いてくる。PERIGUNSの音楽フィールドがロックだけでないことは、3曲目「SULTRY NIGHT SOIREE」を聞けば明らか。本作はギター・アルバムなのでギターが聞き手の眼前に迫ってくるが、その奥にラテン・リズムを刻むキーボード、ベース、さらにパーカッションの音像が鮮やかに提示される。続く「NIGHTHAWK」は一転して、ドラムのハイハットの音が耳に新鮮に届けられるナンバー。ギター、ピアノ、ドラムを中心とした演奏は、メンバーがジャズを熟知していなければ奏でられない品を湛えている。
とりわけハイレゾ音源で接すると気持ちがいいのが5曲目「ON THE CUSP」だろう。広々とした音像のなかにパーカッションと水しぶきの如きキーボードの音、そして変幻自在の音色を奏でるギターが、真っ白な音のキャンバスを染め上げていく。いっぽう、6曲目「SUCH A JERK」は左右チャンネルを目一杯活かしたヘヴィ・ロックで驚かされる。
『FLYING PERIGUNS』はPERIGUNSのジャンルを超越した音楽世界が、思う存分に味わえるアルバムだ。長年、ポピュラー音楽に親しんできたリスナーが聞いても、新たな発見のある刺激的な演奏といえる。