キングジムは7月3日、都内で会見を開き、近年需要が拡大しているインバウンド市場へ向けて、同社としては初の製品となる対話型翻訳機「ワールドスピークHYK100」を7月19日に投入する。価格は¥148,000(税別・ペア)となる。
ワールドスピークHYK100(以下、ワールドスピーク)は、8インチの画面を備えた翻訳機で、72ヵ国の言語の通訳(翻訳)に対応しているのが特徴。キングジムと言えば通常はB to C、つまり一般ユーザーを対象にした製品を多くラインナップしているが、本製品は法人向けという位置づけで、主な用途はホテルのカウンターや公共施設の窓口など、旅行者(外国人)と対面する場所での使用を想定している。そのため、受付業務を行なう人間用に一台、旅行者用に一台の、合計二台がセットになったパッケージとなる。
使用するためには、2台をLAN環境(無線、有線両対応)に設置し、ペアリング作業を行なうだけ。あとは画面をタッチし、マイクに向かって話すだけで、自動的に選択した言語に翻訳、発話してくれる、というもの。
たとえば、日本人の受付が、(英語を話す)アメリカ人のお客を相手にする場合は、日本人は画面に表示されている「日本語」をタッチ(選択)、お客にはアイコン(国旗がアイコン化されている)を見て「アメリカ(英語)」をタッチしてもらい、あとは画面下にあるボタン(左右どちらでもok)を押しながら話せば、日本人側の端末には翻訳された日本語と、日本語の発話が行なわれ、コミュニケーションが取れるという流れだ。
逆に、こちら(日本人)側は、本機に向かって普通に日本語を話せば、相手には翻訳された英語が画面に表示され、同時に英語の発話が行なわれる。
現在、こうした自動翻訳機は各社から発売されているが、同社宮本 彰代表取締役社長によれば、「昨年、2018年には外国人旅行者が初の3000万人超えを達成し、来年のオリンピックイヤーには、さらに多くの旅行者が予想されます。また、現在発売されている自動翻訳機はポータブルタイプが多く、デジタル文具に近い形態をしているだけでなく、その市場性も先述したように、外国人旅行者の増加に合わせ、より大きくなると予想されています。そこで、デジタル文具のリーディングカンパニーを自負する当社の強みを活かして、使いやすさを追求しつつ、据置型の法人向けとすることで、他社との差別化を図りました。まさに今のタイミングが参入にベストだと思っています」と自信たっぷりに語っていた。
同社 常務取締役 開発本部長の亀田氏によれば、開発は一年ほど前に始まったそうで、ほぼその一年で製品化を終え、本日の発表に至ったのだという。本製品で重要な翻訳エンジンを、自社開発ではなく、グーグルやマイクロソフトなど、既存のものを言語に合わせて選択することで、開発期間の短縮と精度の向上が図れたそうだ。なお、音声認識&発話エンジンと、翻訳エンジンは別々の回路で動作しているそうで、バージョンアップはそれぞれに行なうことになるという。
語彙については、専門的な用語へ対応するなどのカスタマイズには非対応という。発売は国内専用で、今後のラインナップ、あるいはシリーズ化(ポータブル化など)は未定とのことだ(ユーザーの要望を聞いて判断したい、と)。