ESCAPE FROM NEW YORK - 4K UHD BLU-RAY with DOLBY VISION
John Carpenter is a cinematic virtuoso, and his talents as a writer, director, and even composer are all at the forefront of Escape From New York.
Release Dates (Theater):July 10, 1981 (USA)
Domestic Total Gross:$25,244,626
(Foreign: N/A)
FILM
仏スタジオカナルの4K UHD BLU-RAY攻勢が止まらない。欧州地区では『ディア・ハンター』『ランボー』3部作(北米ライオンズゲート)『クリフハンガー』(北米SPE)、そしてジョン・カーペンター監督作(北米未発売)『ザ・フォッグ』『ニューヨーク1997』『パラダイム』『ゼイリブ』が揃い踏む。今回のレビュー作『ニューヨーク1997』は、カーペンターの1981年監督作品であり、37年経ったいまなお根強い人気を誇る傑作SFアクションである。
1988年。凶悪犯罪率が激増したアメリカは、ニューヨーク・マンハッタン島を巨壁で囲んだアメリカ最大の刑務所を建造した。収監者は終身刑の重犯罪者たちで、所内の統制は囚人たちの手に委ねられることに。それから9年。米ソによる第三次大戦が終結の兆しを見せていた1997年、大統領専用機がテロリストに乗っ取られ、所内に墜落するという事件が起きる。囚人たちに拉致され、人質となった大統領。囚人たちが要求したのは、刑務所の周辺警備の任務に就く全兵力の撤退であった。大統領救出のため白羽の矢が立ったのは、元特殊部隊員の英雄ながら、重罪でマンハッタン島に収監予定であったスネーク・プリスキン。スネークは釈放を条件に、24時間後に爆発する小型爆弾を注入されて所内に単身潜入することになる。
主演はカート・ラッセル。共演にリー・ヴァン・クリーフ、ドナルド・プレザンス、ハリー・ディーン・スタントン、エイドリアン・バーボー、アーネスト・ボーグナイン、アイザック・ヘイズという通好みの顔ぶれ。ナレーションとコンピュータの声を務めたのはジェイミー・リー・カーティス。
VIDEO
撮影は『ロジャー・ラビット』(オスカー・ノミネート)『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『ジュラシック・パーク』のディーン・カンディ。カーペンターとは『ハロウィン』『ザ・フォッグ』『遊星からの物体X』『ゴースト・ハンターズ 』でコンビを組み、70~80年代のカーペンター作品を支えた立役者のひとり。35mm/パナビジョン・アナモフィック撮影。(前述通り)新たな4Kスキャン、2Kカラーグレーディング、HDRグレーディング。カンディが総監修、カーペンターとともに最終承認している。ドルビービジョンHDR採用。映像平均転送レートは51Mbps(HDR10)+ 9Mbps(ドルビービジョン=DV)を記録。ちなみに2015年リマスターBLU-RAY版(シャウト・ファクトリー)の映像平均転送レート35Mbps(SDR)。
撮影フィルムはキューブリックのお気に入りでもあった、高い粒状度数と色飽和度を持つコダック100T 5247。撮影現場の光源操演と現像の熟知が重要となるが、カンディによれば「現在からみればはるかに低感度のフィルムだが、ネガチェックをしてみると驚くほど映像情報が記録されていた。UHD『ニューヨーク1997』では(以前制作した)アンサープリントと照らし合わせながら、光や色を含めた映像情報の処理に苦労した」という。ここでは全編9割以上がナイトシーン、室内シーンとなり、とりわけナイトシーンは低輝度ショットが続く。カラーグレーディング/HDRグレーディングで情報を出し過ぎると「作品が持つ独特のムードを壊してしまう」というわけだ。本盤では解像感やグレーディングのサジ加減が巧妙で、オリジナルプリントに迫るHDR画質を実現している。
BLU-RAY版からのアップグレードは多くのシーンで視認できる。いくつかのショットではアナモフィック・プロセス固有のボケ感がありが(これが美味)、改善された精細感に目を瞠る。衣装の材質・質感はきめが細かく、倒壊した巨大な建築物は威圧的。マンハッタン島の薄汚く埃臭い瓦礫の山の質感も目を奪う。HDRの恩恵でダイナミックレンジが増強され、黒に深みと存在感を与え、陰影ディテイルが浮き上がる。とりわけ低輝度ショットにおける発光や反射光の再現が目覚ましい。目を凝らさなければ細部情報を確認できないような暗い画面の中に点在する、クールトーンの白光や原色光が強い印象を残す。この味わいは(81年公開時の)劇場上映では味わえなかったと言ってもよかろう。HDR10による映像再現も見事だが、DVでは被写界深度が拡張され、より発光や暗部の階調が改善。金属のスペキュラー(鏡面反射)や拡散反射、配色される色彩の微妙な色合い、登場人物のスキントーンも観どころ。カーペンターとカンディが練り上げた、大胆で野心的な映像デザインはUHD BLU-RAYで開花したと言えよう。
AUDIO
サウンドデザインと音響編集監修は『遊星からの物体X 』『死霊のはらわたⅡ』『スターシップ・トゥルーパーズ』のデヴィッド・ルイス・イェーデール。オリジナルLPCM 2.0(ドルビーステレオ・マスター)とリミックスDTS-HD MA5.1音声を収録。音声平均転送レートは、それぞれ2.3Mbps、3.9Mbps。音楽はジョン・カーペンターが担当。
残念ながらイマーシヴ・サラウンドトラックは未収録。5.1ch音声は(前述)2015年リマスターBLU-RAYの5.1chマスターと同マスター。全編に渡りトーン調整が行なわれ、良好な分離感と音場の拡張を聴取できる。2015年版でも指摘された発声と効果音の混濁は解消されていない(数シーン)。LFEエンハンスは抑制されるが、弾力あるベーストーンを披露。フロントステージ重視のサウンドデザイン。サラウンド効果は限られる。カーペンターのシンセソニックは絶好調。鼓動のような単音程のリフレインは、徹底して音楽性を拒否しつつ、緊迫感の高揚を伝えて余りある。
FINAL THOUGHTS
スタジオカナルが贈るカーペンターUHD BLU-RAYシリーズの魅力のひとつは、特典の充実にある。(デザインはいまひとつだが)特典ディスク、サントラCD、レプリカポスター、ポストカード、48頁ブックレットを同梱。こうした拘りはスタジオカナルらしい。現時点で購入困難となっているが、カーペンター・ジャンキーならばなんとか手に入れたいコレクターズ・エディションとなろう。
SPECIAL FEATURES AND TECHNICAL SPECS
- BRAND NEW 4K RESTORATION OF THE FILM
- Purgatory: Entering John Carpenter's Escape From New York - a brand new feature-length documentary featuring interviews with Writer Nick Castle, cinematographer Dean Cundey, composer Alan Howarth, production designer Joe Alves, special visual effects artist/model maker Gene Rizzardi, production assistant David De Coteau, photographer Kim Gottleib-Walker, Carpenter biographer John Muir, visual effects historian Justin Humphreys, and music historian Daniel Schweiger.
- Snake Plissen: Man of Honor – featurette from 2005 featuring interviews with John Carpenter and Debra Hill
- Intro by John Carpenter - an interview with director John Carpenter originally recorded for a French DVD release in 2003
- Deleted Opening Sequence "Snake's Crime" with Optional Audio Commentary
- Photo gallery incl. Behind the Scenes
- Original Trailers
- Audio Commentary with actor Kurt Russell & director John Carpenter
- Audio Commentary with Producer Debra Hill and production designer Joe Alves
- Big Challenges in Little Manhatten: Visual effects featurette– from 2015, features interviews with both Dennis Skotak, Director of Photography of Special VFX, and Robert Skotak, Unit Supervisor and Matte Artist
- I am Taylor - Interview with actor Joe Unger – from 2015
- Audio Commentary with actress Adrienne Barbeau & DOP Dean Cundey
- 48-page illustrated booklet
- Optional English SDH subtitles for the main feature
SCREEN CAPTURES(1280 × 720 pix)
DISC SPECS
Title | ESCAPE FROM NEW YORK:COLLECTOR'S EDITION |
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Released | Nov 26, 2018 (from StudioCanal) |
SRP | £14.99 |
Run Time | 1:39:10.333 (h:m:s.ms) |
Codec | HEVC / H.265 (Resolution: 4K / DOLBY VISION / HDR10 compatible) |
Aspect Ratio | 2.35:1 |
Audio Formats | English DTS-HD Master Audio 5.1 (48kHz/24bit), French DTS-HD Master Audio 5.1 (48kHz/24bit), English LPCM 2.0 (48kHz/24bit), |
Subtitles | English, French |
FILM SPECS
タイトル | ニューヨーク1997 |
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年 | 1981 |
監督 | ジョン・カーペンター |
製作 | デブラ・ヒル, ラリー・フランコ |
製作総指揮 | N/A |
脚本 | ジョン・カーペンター, ニック・キャッスル |
撮影 | ディーン・カンディ |
音楽 | ジョン・カーペンター |
出演 | カート・ラッセル, リー・ヴァン・クリーフ, アイザック・ヘイズ, ドナルド・プレザンス, ハリー・ディーン・スタントン, エイドリアン・バーボー, アーネスト・ボーグナイン, シーズン・ヒューブリー, オックス・ベーカー, トム・アトキンス, チャールズ・サイファーズ, フランク・ダブルデイ, ジョン・ストロベル, ジョン・ディール, 《声の出演》ジェイミー・リー・カーティス |
4K画質評価
解像感 | ★★★★★★★★☆☆8 |
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S/N感 | ★★★★★★★☆☆☆7 |
HDR効果 | ★★★★★★★★☆☆8 |
色調 | ★★★★★★★★☆☆8 |
階調 | ★★★★★★★★☆☆8 |
音質評価
解像感 | ★★★★★★★☆☆☆7 |
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S/N感 | ★★★★★★★☆☆☆7 |
サラウンド効果 | ★★★★★★★☆☆☆7 |
低音の迫力 | ★★★★★★★☆☆☆7 |
SCORE
Film | ★★★★★★★★★☆9 |
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Image | ★★★★★★★★☆☆8 |
Sound | ★★★★★★★☆☆☆7 |
Overall | ★★★★★★★★★☆8 |