東急レクリエーションでは、今週末の11月23日(祝)から、109シネマズ川崎と名古屋で、IMAXレーザープロジェクターを備えたスクリーンをオープンする。それに先立って11月20日午後、109シネマズ川崎に於いてIMAXレーザープロジェクターの内覧会を開催した。

画像: 109シネマズ川崎のスクリーン7にIMAXレーザープロジェクターが導入された

109シネマズ川崎のスクリーン7にIMAXレーザープロジェクターが導入された

 IMAXシアターは、フィルム時代から大迫力の映像とサラウンドで人気を集めてきた上映システムとなる。最近では、2009年にIMAXデジタルシアターを109シネマズ箕面と菖蒲にオープン、その後は日本全国9ヵ所にIMAXデジタルシアターを拡大してきた。

 ただしそれらは基本的に2K解像度で、光源にはキセノンランプが使われている。そんな中、2015年にオープンした109シネマズ大阪エキスポシティにIMAXレーザー/GTテクノロジーが導入された。これは、光源にレーザー光源を使い、解像度も4Kを備えているもので、その映像を体験してみたいと全国から映画ファンが足を運んだことでも話題になった。

 今回109シネマズ川崎と名古屋に導入されたのもIMAXレーザープロジェクターで、4K解像度のDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)を搭載した3板式となる。内覧会では、その特徴についてIMAXコーポレーションチーフ・クォリティ・グルーのデヴィッド・キーリー氏が解説してくれた。

 デヴィッド氏によるとIMAXレーザープロジェクターはプリズムレスの独自光学エンジンを搭載している点がポイントだという。通常のキセノンランプなどを使ったプロジェクターでは、光学プリズムで白色光を分光しているが、レーザープロジェクターではRGBそれぞれの光を得られるので、それだけロスがないということだろう。

 そのRGBレーザー光を3枚のDMDを使って投写することで、高コントラストで、かつきわめてクリアーな映像が再現できるという。もちろん黒はしっかり沈んで、白ピークも伸びているのでコントラスト再現にも優れていることになる(70mm上映の2倍とデヴィッド氏は話していた)。

 輝度レンジはSMPTE規格の60%以上を達成しているそうで、デモ映像で上映された『グレイテスト・ショーマン』について、「これほど明るく見えたことはなかったのではないでしょうか」とデヴィッド氏が自慢げに話していたほどだ。

画像: 4KのDMDチップを手にプロジェクターの解説をするデヴィッド・キーリー氏

4KのDMDチップを手にプロジェクターの解説をするデヴィッド・キーリー氏

 ちなみにデヴィッド氏にもう少し詳しく質問してみたところ、今回の109シネマズ川崎と名古屋に導入されたプロジェクターはひとつの筐体にふたつのレンズを搭載したモデルで、2D/3D上映のどちらの場合でも両方から映像を投写することで高い輝度を得ているそうだ。

 一方、109シネマズ大阪エキスポシティではプロジェクターを2台使って上映しているが、これはスクリーンサイズが109シネマズ川崎のスクリーンが横幅約18mなのに対し、109シネマズ大阪エキスポシティは約26mであり、サイズの違いが主な要因とのことだった。

 さらにIMAXレーザーの映像に組み合わせる音については、今回の2スクリーンには12チャンネルの独自サラウンドが採用されている。スクリーン裏にフロントL/C/Rとセンタートップ、更にサラウンドL/RとサイドスピーカーのL/Rで合計8チャンネル。これにオーバートップ(天井)スピーカーが2ペア4チャンネルで合計12チャンネルとなる。

 再生時には5.1chやドルビーアトモスなどで納品された音声マスターを、独自方式で変換して12チャンネルから鳴らしているそうだ。なお天井スピーカーを除いた8チャンネルにはすべて低域用ウーファーが備わっているらしく、LEF用のサブウーファーは特に設けていないという話だった。

 また以前のIMAXシアターは天井スピーカーを使わない8チャンネル仕様だったが、109シネマズ大阪エキスポシティで初めて天井スピーカーが追加されたとかで、12チャンネルでサラウンドが楽しめるのは現在のところ、この3スクリーンということになる。「『ボヘミアン・ラプソディ』はぜひ12チャンネルで楽しんでいただきたいですね」とデヴィッド氏は語っていた。

画像: レーザーポインターで12チャンネル分のスピーカー位置を解説

レーザーポインターで12チャンネル分のスピーカー位置を解説

これからは川崎出没率が上がります

 デヴィッド氏の解説に続いて映画監督の樋口真嗣氏が登壇し、IMAXシアターの魅力を語ってくれた。

 樋口氏がIMAXと出会ったのは1985年のつくば科学万博だったという。当時そこでバイトをしていたそうで、休憩時間にサントリー館で観たIMAXの映像に衝撃を受けたそうだ。当時はフィルム方式だったが、鳥と一緒に空を飛ぶシーンで、表現手法、表現内容とも感動したという。

 その後は、当時のフィルム方式IMAXシアターに通って、『スーパーマン・リターンズ』『攻殻機動隊』などの作品を鑑賞するほど、“お客さんとしてIMAXが好き”だったそうだ。品川、高島屋、大阪天保山とほとんどの劇場に通ったというから愛の深さがわかろうというものだ。

 そんな経験を通して樋口氏が感じたのは、“IMAXは体験だから、その時に観ないといけない”ということだったという。今では映画を観る手段は劇場にも複数あるし、パッケージソフトでも高品質で楽しめる。でも樋口氏は、その時に楽しめる付加価値のある映画体験としてのIMAXを高く評価しているのだろう。

画像: IMAX愛にあふれる話を聞かせてくれた、樋口真嗣監督

IMAX愛にあふれる話を聞かせてくれた、樋口真嗣監督

 なお樋口氏自身も『シン・ゴジラ』『進撃の巨人』といった作品をIMAXで公開しているが、残念ながらこれは通常のDCPで制作したマスターをIMAX本社のDMRという技術で変換したもの。

 「通常より1ヵ月早く映画のDCPを仕上げてカナダに送ると、カナダの魔法使いがIMAXにしてくれるんです(笑)。これがどういうわけか、よくなっているんです。『シン・ゴジラ』では皆さんが毎日持っている機材のカメラで撮影したシーンもあったんですが、それもIMAXで上映しても違和感がありませんでした」とかなりの信頼度だ。

 その一因として、役者の目の再現力が違うそうだ。IMAXで観ると、目がうるんでいる、エモーションが再現されている、そんな演技の深さが目に飛び込んでくるという。樋口氏自身が監督した作品でも、撮影時のモニターや通常の上映では気が付かなかった役者の感情、こみ上げてくる気持ちが伝わってきたというから凄い。

 最後に、「IMAXレーザー観たさに3回くらい大阪まで足を運びましたが、川崎ならスイカで来られます。これからまた川崎の出没率があがりますね」と嬉しそうに笑ってトークセッションは終了となった。

近日公開の話題作にも期待大

 その後、『ダンケルク』が4K IMAXレーザーで上映された。取材の都合で残念ながら冒頭しか観ることはできなかったが、公開時に観た通常の劇場とは桁の違うクリアーさ、繊細さ、明るさに驚いてしまった。浜辺に並ぶ兵士の列が先頭までしっかり再現されるし、空の青さ、雲の白さが本当に美しい。

 加えて音も凄い。市街地での銃撃戦や爆撃の爆発音でシートがビリビリ振動している。こんなに低音を出して他の小屋に響かないのか、余計な心配をしてしまったほどだ。

 この絵の情報量と迫力あるサウンドで再現されると、同じ作品であっても印象が変わってしまうこと間違いなしだ。お近くの方はぜひ一度、IMAXレーザーのクォリティを体験していただきたい。

 内覧会では今後の公開作品として『ゴジラキング・オブ・モンスター』や『アクアマン』『アリータバトル・エンジェル』の予告編も上映された。いずれも最新作らしい解像感、コントラスト感に溢れており、これらも4K IMAXで観ていたいと感じさせる仕上がりだった。

画像: 近日公開の話題作にも期待大

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