MrSpeakersの新製品3モデルが揃って登場。本日から開催されている「秋のヘッドフォン祭2018」のエミライブースでお披露目されている。

 MrSpeakersは2013年にアメリカ、カリフォルニア州で設立されたヘッドホンメーカーだ。創立者のDan Clark(ダン・クラーク)氏はもともとスピーカーエンジニアだったが、自宅でいい音で楽しめるヘッドホンが欲しいという思いから開発に着手したという。

 今回はそんなダン氏が「秋のヘッドフォン祭」のために来日、新製品について解説してくれた。最初はETHER FLOWシリーズの新製品となるETHER FLOW1.1とETHER C FLOW1.1について。

画像: ETHER FLOW1.1

ETHER FLOW1.1

 ETHER FLOWシリーズは平面磁界駆動型ヘッドホンで、ハウジング内での音の回折や反射が解像度を失わせている点に注目し、これを解消するために独自の「True Flow Technology」を搭載している。

 今回のETHER FLOW1.1とETHER C FLOW1.1もその点は変わらない。というよりも、ヘッドホン本体は従来モデルのETHER FLOW、ETHER C FLOWとまったく同じ。そこにアコースティックチューニングを加えて、さらなる音の改善を達成している。

画像: 左はETHER FLOWのウレタンをはずしたところ。ここに右のダンピングペーパーを貼り付ける

左はETHER FLOWのウレタンをはずしたところ。ここに右のダンピングペーパーを貼り付ける

 具体的には、これまで両モデルのドライバー直近にはウレタンシートが付いていたが、これをシール状のダンピングペーパーに変更した。これにより音響特性が整い、解像感が向上するという。

 さらに、同梱された8種類のマテリアルをイヤーパッドの内部に取り付けることで高域の減衰特性を調整できる。こちらについてはそれぞれの好みがあるので、音を聴き比べて自分の気に入ったマテリアルを選んでほしいとダン氏は話していた。

 その他の違いとしては、付属ケーブルが新開発のVIVO(ビボ)ケーブルに変更されている。こちらは以前のケーブルよりも若干太いが、ひじょうに柔らかく、癖がつきにくい素材を使っている。線材は銀メッキした銅線で、のびやかな音が持ち味だという。

画像: 右が付属マテリアルの一部。好みの音質に応じて、左のようにイヤーパッドの中に取り付ければいい

右が付属マテリアルの一部。好みの音質に応じて、左のようにイヤーパッドの中に取り付ければいい

 なおエミライでは旧モデルのユーザーに対して、アップグレードキット「ETHER FLOW 1.1 Upgrade Kit」を発売する。これはダンピングペーパーと調整用マテリアルがセットになったもので、ダンピングペーパーの交換は2〜3分で可能だという。ビボケーブルもオプションで発売されるので、両方を揃えれば最新モデルと同じ音が楽しめることになる。

 説明会でETHER FLOW1.1とETHER C FLOW1.1を、それぞれの旧モデルと聴き比べさせてもらったが、一聴して音が違う。特にETHER FLOW1.1は音場がすっと広がってヌケがよくなり、時間軸もぴったりと合って、リズム感がアップする。聴こえる帯域まで広がったように感じたほどだ。ドライバー等がまったく同じなのに、これほど音が変化するのかと驚いた。

 ETHER FLOW1.1、ETHER C FLOW1.1とも「秋のヘッドフォン祭」のえみ来ブースで試聴できるので、オリジナルモデルのユーザーは絶対聴き比べをしておこう。アップグレードキットが欲しくなるはずだ。

画像: ETHER C FLOW1.1

ETHER C FLOW1.1

新フラッグシップ「ETHER2」

 新製品の3機種目は、同社平面磁界駆動型のフラッグシップとなるETHER2だ。こちらは静電型ヘッドホン「VOCE」を開発した際の技術を盛り込んだ、完全新規設計のモデルとなる。新しい加工技術を採用してネジのないヒンジ設計も実現した。

画像: 平面磁界駆動型のフラッグシップ、ETHER2

平面磁界駆動型のフラッグシップ、ETHER2

 内部構造や素材もいちから見直しており、特にドライバー(振動板と留め金)の構造は大きく変わっている。というのも、これまで「ETHER1.1」では、マグネットをトレイと呼ばれるケースに収め、その空いたスペースを空気が流れやすいように充填剤を用いて通り道を作っていた。しかしそれでは微細な段差等が残っており、ダン氏はそこが気になっていたそうだ。

 ETHER2ではそこを見直し、トレイを削り出しで製造している。こうすることでマグネットを収めるスペースや空気の通り道が一切の段差もなく作れるわけで、理想的なFLOW動作が実現できたそうだ。

 また振動板も変更されている。材料自体はETHER1.1と同じPET樹脂だが、組成から見直すことで約60%の軽量化を達成した。これにより高域再現性が向上し、より高い音まで再現できるようになった模様だ(スペックは非公開)。

 結果として能率は若干下がっているが、ETHER2は家庭内での使用を想定したリファレンスモデルなので、きちんとしたヘッドホンアンプ等と組み合わせて実力を引き出して欲しいとダン氏は語っていた。

 今回の3モデルはいずれも今年11月の発売予定。価格はETHER FLOW1.1とETHER C FLOW1.1が20万円前後で、アップグレードキットは数千円を予定している。ETHER2は20万円台の後半になる見込みだ。

画像: MrSpeakersのHEADMASTER、Dan Clark(ダン・クラーク)氏

MrSpeakersのHEADMASTER、Dan Clark(ダン・クラーク)氏

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