He May Be a Killer,
But He's Such a Sweetie
Release Dates (Theater): Sep 14, 1994 (USA)
Domestic Total Gross: $45,501,238
(Foreign: $26,000,000)
FILM
それはジャン・レノの発案から始まった。オレは『ニキータ』(90)で演じたクリーナーが気に入ってるんだ。あの役を膨らませて脚本を書いてくれ。そう依頼されたリュック・ベッソンは脚本執筆にとりかかる。初めは自分で演出するつもりのなかったベッソンだが、初稿が上がるころには、やっぱりオレが演らなきゃな、ってなことになる。こうして少年の心を宿した殺し屋オヤジが誕生することになる(ベッソン曰く17歳、少女マチルダ役のナタリー・ポートマン曰く12歳)。こうして、殺し屋オヤジが孤独で大人びたワケあり少女をガードし、愛しながら死へ赴くという愛のドラマが誕生した。舞台はニューヨークとなるが(ベッソン初の英語台詞映画)、フランス・クルーが製作。ニューヨーク・ロケとフランスでのスタジオ撮影(室内ショット)が混在する、不思議な味わいを持った作品となっている。この映画はどこの国にも属さないし、どこの国にも属する。これはベッソンの言葉。ナルヘソ、ベッソンらしい野心満々で大変ヨロシ。
主演は前述したレノとポートマン(撮影時13歳/2000人のオーディションから選ばれた)、そしてヤク中の悪徳デカにゲイリー・オールドマン。狂気漂うオールドマンのイッちゃった存在は実に大きく、彼ナシではここまで映画が締まらなかった、いやホント。
VIDEO
撮影はベッソン組のフランス人シネマトグラファー、ティエリー・アルボガスト。35mmアナモフィック撮影。35mmオリジナルネガからの4Kデジタルレストア(米国盤MASTERED IN 4K BLU-RAYと同マスター)。DIファイルは4K。HDRエンハンスはソニー傘下カラーワークスが担当する。劇場公開版と完全版(ディレクターズカット)を収録。後者の映像平均転送レート57Mbps。ピーク輝度2,430nit/平均輝度314nit。
御年23歳の映像ながら、UHD絵画はまったくもって見事、 厳粛な気持ちにさせるほどの存在感を持つ。BD版からのアップグレードは明快。映像鮮度が高く高S/N、掘り起こされたディテールにも目を瞠る。被写体の前景・中景・後景が的確に再現され、ボケ味も絶妙、カメラワークに迫真性がより加味される。一貫して良好な粒状性を保持し、被写体に真に迫る感触を与えている。なんたってBD版で散見されていた輪郭補正の弊害(シュート等)が、大幅に改善されているのが嬉しいではないか。シャープでありながら、フィルムルックな味わいを持つ輪郭描写を視認されたい。老朽化した壁やアパートの床。衣装の質感や模様、糸の擦り切れに至るまでの再現は一流品。もちろん大顔絵も素晴らしい。肌質はナチュラル。暖かみのある毛髪、汗や汚れ、無精髭にそばかす、唇の質感、そして濡れた血液などなど、ひとときも目を離せない。黒レベルは深く堅固。暗部階調も滑らかだ。華やかな色彩光彩デザインを施された映画ではないが、色彩に力感があり、色の描き分けも的確、二次色の再現に旨味あり。意志の強さを伝えるアイキャッチライトの効果が忘れ難い。
AUDIO
サウンドデザインは『グラン・ブルー』のフランソワ・グルー(兼リレコーディング)。音声平均転送レート5.65Mbps (24bit / 48kHz)。MASTERED IN 4K BLU-RAYと同様にリミックス・アトモス音声を収録するが、転送レートは幾分高い。
音場空間が強化されたアトモス・シネソニック。不自然さや人工的な感覚は皆無。最新音響と比較するのは酷だが、分解能や明瞭度も良好。ダイアローグ、効果音、スコアのバランスも優れ、ゆったりとした雰囲気も心地よい。発声は鮮明、緊張の息づかいも生々しい。アトモスの恩恵はエリック・セラのスコアの響きやアンビエントに明快。室外室内の環境音は豊かな空間性を持ち、音彩配置も重層的にアップグレードされている。銃撃戦の弾丸がオーバーヘッドを突き抜け、叫び声のエコーもアクションに迫真性を与えている。クライマックスのスプリンクラーシステムは、頭上のスピーカーを洗い流すかのうようだ。大小さまざまな銃声が痛烈。アトモス・シネソニックはオリジナル・サウンドトラックのテーマ性と触感を適切に伝え、相補的な要素を追加することに成功したと言えよう。お見事!
FINAL THOUGHTS
レオンとマチルダが住む世界に容易にタイムスリップできる魅力の円盤。4K&HDRリマスタリング、音の実体化をより高めたリミック・アトモスをたんまりと味わって頂きたい。個人的にはイチ押し、損ナシ。いいわ、『レオン』!
Disc Specs
Title | LEON: THE PROFESSIONAL |
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Released | Jul 11, 2017 (from Sony Pictures) |
SRP | $34.43 |
Run Time | 1:49:27.560 (h:m:s.ms), 2:12:54.966 (h:m:s.ms / D.C.) |
Codec | HEVC/H.265 (Resolution: 4K / HDR10) |
Aspect Ratio | 2.39:1 |
Audio Formats | English Dolby Atmos (48kHz/24bit/Dolby TrueHD 7.1 compatible), French Dolby Digital 5.1, Portuguese Dolby Digital 5.1 |
Subtitles | English, English SDH, French, Portuguese, Spanish |
Supplements | DISC-1 LEON: THE PROFESSIONAL UHD BLU-RAY / DISC-2 LEON: THE PROFESSIONAL BLU-RAY / Theatrical and Extended versions of LEON: THE PROFESSIONAL / Natalie Portman: Starting young – 14 minute featurette / Fact track (extended version only)- Text based pop-up facts / Jean Reno: The road to Leon – 12 minute featurette / 10 year retrospective: Cast and crew look back – 25 minutes / Digital HD Copy |
Film Specs
タイトル | レオン |
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年 | 1994 |
監督 | リュック・ベッソン |
製作 | パトリス・ルドゥー |
製作総指揮 | クロード・ベッソン |
脚本 | リュック・ベッソン |
撮影 | ティエリー・アルボガスト |
音楽 | エリック・セラ |
出演 | ジャン・レノ, ナタリー・ポートマン, ダニー・アイエロ, ゲイリー・オールドマン, ピーター・アペル, マイケル・バダルコ, エレン・グリーン, サミー・ナセリ |
4K画質評価
解像感 | ★★★★★★★★★☆9 |
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S/N感 | ★★★★★★★★★☆9 |
HDR効果 | ★★★★★★★★☆☆8 |
色調 | ★★★★★★★★☆☆8 |
階調 | ★★★★★★★★★☆9 |
音質評価
解像感 | ★★★★★★★★★☆9 |
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S/N感 | ★★★★★★★★★☆9 |
サラウンド効果 | ★★★★★★★★★☆9 |
トップスピーカー効果 | ★★★★★★★★☆☆8 |
低音の迫力 | ★★★★★★★★☆☆8 |
Score
Film | ★★★★★★★★★☆9 |
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Image | ★★★★★★★★★☆9 |
Sound | ★★★★★★★★★☆9 |
Extra | ★★★★★★☆☆☆☆6 |
Overall | ★★★★★★★★★☆9 |