1947年にウェスタン・エレクトリック(Western Electric = WE)が開発した20cmフルレンジユニット755A。20cm口径フルレンジユニットの原器的な存在であるWE755Aを最初期アルテックA7で採用された大型エンクロージュアH825にマウントして鳴らし、未知の表現を引き出す。ホームユース機も交えた9機種のヴィンテージ真空管パワーアンプを組み合わせた。

⑧ アルテック1520T

画像: 1520Tは1953年に登場したパワーアンプで、出力段は6L6のpp動作で出力35Wを得ている。同時期に出力段6146・pp動作で出力70Wのパワーアンプ1530も登場した。本機は末尾にTが付けられているが、Aの付いたモデルも存在する。Aは2チャンネルのマイク入力用プリアンプ1510Aまたは1511Aが搭載されたモデルで、本機Tはプリアンプスペースにブランクパネルが取り付けられて、入力トランス4651を載せ、入力インピーダンス15kΩ受けとしたアンプである。(土井)

1520Tは1953年に登場したパワーアンプで、出力段は6L6のpp動作で出力35Wを得ている。同時期に出力段6146・pp動作で出力70Wのパワーアンプ1530も登場した。本機は末尾にTが付けられているが、Aの付いたモデルも存在する。Aは2チャンネルのマイク入力用プリアンプ1510Aまたは1511Aが搭載されたモデルで、本機Tはプリアンプスペースにブランクパネルが取り付けられて、入力トランス4651を載せ、入力インピーダンス15kΩ受けとしたアンプである。(土井)

大太鼓は祭りの場を体感するような熱気。聴きどころを余さず生々しく伝える

土井 アルテック1520Tは、本誌では何度も登場しているお馴染みといえるモデルで、IPC AM1027と同じく6L6プッシュプル・モノーラルアンプです。

新 IPC AM1027にひじょうに感心した後で聴いた本機は、AM1027と同系の個性を持ちながらさらにその上をゆくスケール感のアンプだと感じました。WE755Aがまるで3ウェイシステムのような鳴り方をしている。そして、6L6ならではの音ではないかと思います。

杉井 IPC AM1027と同じピアレスのトランスを積んでいるアンプで、音にも似た部分があると思います。新さんがおっしゃるように、スケール感が増している。AM1027は映像が思い浮かぶ音ですが、こちらは音源が演奏されている現場に自分がいるかのような気分にさせてくれる。映画館よりはモニター向けのアンプだと思います。

土井 映画館用のIPC AM1027が娯楽性の高い音作りだったのに対して、このアルテック1520Tは確かにモニター向けですね。甲乙つけ難いですが、WE755Aとの組合せとしてはこちらの方が一枚上手だと感じました。WE755Aを鳴らすアンプとしてはWE製以外では最高のアンプだと常々思っていましたので、改めて素晴らしいなと。無駄がなく、見通しのいい音です。

新 音の立ち下がりに一種の侘しさを持つ音が私にとっての「和の風味」なのですが、このアンプで「御諏訪太鼓」を聴くとIPC AM1027で感じた和の風味の感じは希薄で、立ち下がりまで力強い。WE755Aがこういう音で鳴るとは想像できませんでした。「モルゲン」にはしっかりしたスケール感がありましたし、「ちあきなおみ」も音源の聴きどころを余すことなく伝える感動的な鳴り方でした。

杉井 「御諏訪太鼓」には確かに侘しさがなく、その場で祭りを体験しているような熱気が感じられます。そして「モルゲン」は、レコーディングスタジオで聴いているかのような生々しさがありました。「ちあきなおみ」は一点の曇りもなく、歌手と演奏者が目の前にいるような再生でした。こちらも劇場ではなく、レコーディングスタジオでの録音風景に立ち会っているかのような感覚。総じてダイレクト感の高い再生だったと思います。モニター方向の再生としては、ここまでの組合せでベストです。

土井 「御諏訪太鼓」は、付帯音のない太鼓がタイトに鳴らされるのですが、それでいて優しさも感じられます。驚いたのは、前口上といいますか、冒頭の説明の部分です。これまでの再生ではマイクが横にあって録音されているように感じたのですが、このアンプでは正面に置かれたマイクで録音された音のように感じました。実際にそうなのかは分かりませんが、それぐらい声がクリアーに感じられたということです。

 「モルゲン」はピアノを弾く指のタッチまで見えてきましたし、「ちあきなおみ」も文句のない再生です。哀愁感や切なさに浸るのではなく、ただただ音源の魅力に浸れる再生でした。

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