この記事は、創刊60周年記念号 季刊『ステレオサウンド』第240号の巻頭企画「現代オーディオの到達点 いま聴きたい感動の音 60選+α」からの転載となります。7名のオーディオ評論家が選んだ、「自身が考える現代オーディオの到達点」を象徴する60機種の魅力をぜひ、ご覧ください。

UESUGI U・Bros 333 OTL

真空管OTL方式の価値と格別の魅力が顕現。
圧倒的な分解能と、色香を滲ませた音

黛 健司
 管球式パワーアンプの究極の姿はOTL方式と、ウエスギ開発者の藤原伸夫さんは確信しているに違いない。60年代なかごろに登場し、いま見ても惚れ惚れする美しいデザインを纏ったマニア垂涎の管球式OTLアンプ、ラックスMQ36が藤原さんのリスニングルームに置かれているのをわたしは知っている。わたしもカウンターポイントSA4を愛用していたこともあり、管球式OTLの音には格別な魅力があることを実感している。しかし管球式OTLは消費電力と発熱が異例に多く、スピーカーのインピーダンスが低くなるほど出力が減少するという使い勝手の悪さもあり、ごく限られた製品しか存在しなかった。そんな状況にウエスギが一石を投じたのだから、かつての管球式OTL愛好家は欣喜雀躍した。出力トランスの制約を受けないOTLの音は、ニュートラルそのもので、圧倒的な分解能の高さが印象的だ。演奏の微細なニュアンスの変化を克明に描写する能力は驚くばかり。万全の保護回路、究極の性能追求が可能な独自のバイアス調整方式も、このアンプの価値を高めている。

三浦孝仁
 出力トランスフォーマーから解放されているOTL真空管パワーアンプは、魅惑的かつ積極的な音でリスナーに迫ってくる。陰影表現の豊かさと色香を滲ませた音は、いちど聴いたら忘れられないほど。しかしながら、OTL真空管アンプは低インピーダンスのスピーカーを鳴らすには不向きといわれ、複数本ある出力管の温度上昇に伴う動作の不安定さも相まって、次第に忘れられる存在に……。そんなOTL真空管パワーアンプを上杉研究所が手掛けたという知らせは、まさに青天の霹靂だった。

 ウエスギのU・Bros 333 OTLは、高音質を狙いながら、不安定要素を取り除くことに挑戦した。設計者の藤原伸夫氏は、真空管プッシュプルの理想と考えるサークロトロン回路をフルバランス構成に展開し、自然放熱構造を取り入れて出力管の温度安定性を高めている。保護回路は4項目に及び、6C33C-Bと直結されるスピーカーを守っている。

 私は4オーム負荷のマジコM3と組み合せている。保護回路が働いたのは数回ほど。大音量で鳴らしたときだけだ。

いま聴きたい感動の音60選+α <38>

POWER AMPLIFIER
ウエスギ「U・Bros 333 OTL」
¥2,000,000(ペア・税抜)
●出力:40W(8Ω)●使用真空管:12AX7A×1、12AT7×1、12AU7×3、6C33C-B×2
●問合せ先:上杉研究所 044(712)4632

●特集のTOPページに戻るにはコチラ

This article is a sponsored article by
''.