この記事は、創刊60周年記念号 季刊『ステレオサウンド』第240号の巻頭企画「現代オーディオの到達点 いま聴きたい感動の音 60選+α」からの転載となります。7名のオーディオ評論家が選んだ、「自身が考える現代オーディオの到達点」を象徴する60機種の魅力をぜひ、ご覧ください。

TANNOY Stirling III LZ Special Edition

到達点といえる同軸ユニットの凄み。
格調高い音で全方位の音楽に対応する

小野寺弘滋

 英国タンノイの創業は1926年。つまり今年で100周年を迎える老舗である。そしてタンノイと言えば、1947年登場の、ホーントゥイーターとコーン型ウーファーを同軸上に配するデュアルコンセントリックユニットを思い浮かべる方がほとんどであろう。同社の家庭用スピーカーシステムにおける名声を確立したオートグラフに搭載された、あのユニットだ(15インチ版)。

 タンノイのデュアルコンセントリックユニットは当初、高域と低域ユニットの磁気回路のマグネット(アルニコ磁石)を共通とし、アルミダイアフラムを持つコンプレッションドライバー+ホーン(高域)と、そのホーンのフレアーを補う、カーブドパルプコーン(低域)を組み合せていた。それから約80年。この間同社は、デュアルコンセントリックユニットのいっそうの性能向上を図って、それぞれのユニットの磁気回路を独立させたり、磁石を変更したり、高域ホーンに放射を最適化するウェイブガイドを搭載したり、あるいは振動板素材を変更したりと、さまざまな改善を図ってきた。

 しかしながら、昔もいまも、(少なくとも日本の)ファンが望んでいるのは、オリジナルと同様の素材と構造で製造された、デュアルコンセントリックユニット搭載システムであった。つまりタンノイはある意味、1947年にひとつの到達点となるスピーカーユニットを完成させていたのだ。これは凄いことである。

 本機は、カーブドコーンウーファーに、アルミマグネシウム合金製ダイアフラムを持つコンプレッションドライバー+ホーンを組み合せた、オリジナルにほぼ準じた10インチ版同軸ユニットを、ウッディなエンクロージュアに納めた魅力溢れるシステム。
 家庭用としてこれ以上何が必要かと思わされるバランスの良さ、タンノイならではと言いたい格調高い音は、クラシック音楽のみならず、ジャズにもロックにも幅広く対応してくれる。

いま聴きたい感動の音60選+α <19>

LOUDSPEAKER
タンノイ「Stirling III LZ Special Edition」
¥1,800,000(ペア・税抜)
●型式:2ウェイ1スピーカー・バスレフ型
●問合せ先:ティアックAVお客様相談室 042(356)9235

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