特撮番組の脚本執筆やUMA(未確認生物)研究家としても活躍している中沢健の作家デビュー作で、大槻ケンヂ、切通理作、枡野浩一など多くのサブカル関係者ほか、児童文化作家の那須正幹や直木賞重受賞作家の朱川湊人からも絶賛され、2016年にはテレビドラマ化。さらに、2025年8月から小学館のオリジナルコミックアプリ「マンガワン」でもこやま仁によるコミカライズの連載がスタートした異色の恋愛小説『初恋芸人』が映画初主演となる原嘉孝を迎えて映画化決定!

 12月19日(金)から池袋HUMAXシネマズ、新宿バルト9ほか全国ロードショとなった。同日、公開を記念して、原嘉孝、沢口愛華、ハニトラ梅木、夏目大一朗監督が登壇する舞台挨拶を行なった。
          ●           ●
 映画『初恋芸人』初日舞台挨拶が12月19日、東京・新宿バルト9で行なわれ、主演の原嘉孝、共演の沢口愛華、ハニトラ梅木、メガホンをとった夏目大一朗監督が登壇した。

 サブカル関係者をはじめ、児童文化作家たちからも絶賛を受けた特撮番組の脚本執筆やUMA研究家としても知られる中沢健氏の作家デビュー作『初恋芸人』を映画初主演となる原を迎えて映画化した本作。売れないピン芸人で彼女いない歴=年齢の佐藤賢治(原)は、自身のことを「面白い」と言ってくれる市川理沙(沢口)に初めての恋のときめきに満ちていた。しかし、不器用な佐藤は想いを伝えられないまま、市川から距離を置かれてしまう。やがて明かされる市川の秘密――。これは、何かになりたかった人たちに捧げる、「何物でもないもの」の物語。

 本作がついに公開された心境を聞かれた原は「撮影したのが1年半前ぐらいなので、“ここまで長かったな”という感じですけど、今日から全国の皆さんに見ていただけると思うとワクワクが止まりません」と期待に胸を躍らせ、「皆さんの力をお借りして、ぜひ盛り上げてくださるとうれしいです」と呼びかけた。

画像1: 映画『初恋芸人』が公開。主演の原は「夢を追い切れない自分とか、言い訳を考えちゃう自分に気づかされる内容になっています」

 印象に残っているシーンを尋ねられると、原は「43分20秒からの長回しのシーンがあるんですよ。僕も見直した時に“こういうシーンあったな”って思い出したんですけど、カフェで沢口さんとの2人のシーンで、ゆっくりアップになるくらいで画角もまったく変わらない5分弱の長回のシーンです」と説明し、「僕たちは“長回し”って聞いてなかったんですけど一発OKが出ちゃって、監督に『今の大丈夫でした?』って確認しました」と回顧。沢口も「わざわざ監督を呼び出して、「本当に大丈夫ですか?」って詰め寄った覚えがあります」と打ち明けた。

 これを受け、夏目監督は「2人に呼び出されて『大丈夫なんですか?』みたいな感じで言われましたね(笑)。初めは僕もカット割りする予定だったと思うんですけど、お2人の緊張感のある演技が続いて“これ、一発で見せた方がいいんじゃないかな”ってなって、あのシーンは一発で」と急遽、長回しで撮影したことを明かし、原は「だから2人の間とか、声の使い方がリアルで、緊張感がすごく伝わるシーンに結果的になって、いいシーンになったなと思いました」と満足げな表情を見せた。

 沢口は「劇場の外に出て賢治と理沙が言い合うシーンがすごく印象に強く残っています。台本上、原さんは涙を流すシーンで、私は涙を流すとは書いてなかったんですけど、リハや本番を何回か重ねていく中で、感情がだんだんと出来上がってきてしまって、私もなぜか泣いてしまいました。そこは役者経験が少ない中で、“感情ってこういう風に出来ていくんだな”という学びを得たシーンでもあったので、すごく印象に残っています」と目を輝かせた。

画像2: 映画『初恋芸人』が公開。主演の原は「夢を追い切れない自分とか、言い訳を考えちゃう自分に気づかされる内容になっています」

 梅木は「原さんとの最後の漫才のシーンですね。原さんと2人で何回もネタ合わせをしましたが、原さんはものすごくお笑い感がいいので、めちゃくちゃアドリブを入れてくるようになって(笑)、何カットかに分けて撮影しているんですけど、毎回、原くんのアドリブが変わるんですよ。それに合わせて僕も突っ込んだりするという感じが本当の漫才と同じだったので、めちゃくちゃ覚えてますね」と振り返り、原は「撮影日以外で稽古する時間を取って、時間が空くたびに練習させていただいたので、役を通り越したコンビネーションが生まれて自然にアドリブを入れたり、それを受け入れて拾って突っ込んでくれたという関係性が出来た稽古期間と撮影期間だったなと思います」としみじみ。

画像3: 映画『初恋芸人』が公開。主演の原は「夢を追い切れない自分とか、言い訳を考えちゃう自分に気づかされる内容になっています」

 続けて、梅木は、売れていない芸人役なのにどんどん面白くなっていく原に「ダメ」と注意したことがあったそうで、原は「一言一句、細かくチェックしてもらって、『この言い方だと面白くなっちゃいますよね』とか、『もっと間を取ってみましょう』とか、“面白いわけないじゃん”ってところに行かなきゃいけないので、それは難しかったですね」とお笑いの才能を隠すことに苦労したそうで、梅木は「そこは結構2人でお話しさせていただいたんですけど、みるみる面白くなくなっていくのですごいなと思いました(笑)」と笑顔で語った。

 そして、撮影の舞台の1つとなった因島(いんのしま)での思い出を聞かれた原は「商店街の感じとか、そこら辺を歩いているおばあちゃん、おじいちゃんとか、公民館とか、街並みが昔ながらで、天気もすごく良くて、派手な観光地ではないんですけど、“ここで賢治は育ったんだ”って自然に思えるようなほっこりした街で、作品の一部になってくれたなと思います」と目を輝かせ、沢口は「本当に実家感のあるような親しみ深い街で、スタッフさんのお母様が因島におられたということで、夕食を作っていただいたりして、みんなで飲んだりしたんですけど、その時に飲んだ日本酒がすごく美味しくて、その銘柄をずっと思い出せないまま1年半が過ぎてしまったので(笑)、これを機に覚えて帰ろうかなって思いました(笑)」とうれしそうに話した。

 イベントでは、賢治の父を演じた温水洋一と、母を演じた川上麻衣子からのビデオメッセージが寄せられ、VTRを見た原は「うれしいですね。本当にお2人ともすてきな方で、シーンはそんなに多くなかったんですけど、お会いした瞬間から“この両親の元で育ったな”って自然に思わせていただけた、そんな役者さんのパワーみたいなのをすごく感じましたね」と吐露し、「川上さんの息子の恋愛に干渉してくる感じとか、温水さんの息子に何か言いたいんだけどちょっと我慢している感じとか、僕もそれを受けて両親にちょっと強がって言う感じとかもあるなと。(親子のシーンは)すごくいいシーンになったなと思います」と語った。

 さらに、本作の内容にちなみ、初恋の思い出を尋ねられると、原は「本当なんですけど、ポケモンのラティオスとラティアス(『劇場版ポケットモンスター 水の都の護神 ラティアスとラティオス』)っていう映画があって、ラティアスが女の子に変身するんです。その子がサトシとチューをするんですけど、あの瞬間がマジで僕の初恋です。これ本当なんです!キュンキュンしちゃって、本当にあれが僕の初恋でした。ピンクの髪も良かったんですよね」と打ち明け、沢口は「私は某夢の国の髪の長い王女の盗っ人が好きです。ユージーンってキャラクターがいるんですけど、すごくイケメンなんですよ(笑)。すごく好きで、先日、某夢の国行ってきた時に、ユージーンの指名手配書がプリントされたトートバッグがあったので、迷わず購入させていただきました!いつまでも初恋のままです」と目を輝かせた。

 なお、夏目監督は「ジョディ・フォスター」と答え、梅木は「信号待ちで止まったところに車が止まって、その人がめちゃくちゃかわいくて、あっと思ったらブーンって走って行って、それ以来、2度と会えてない」と遠くを見つめた。

画像4: 映画『初恋芸人』が公開。主演の原は「夢を追い切れない自分とか、言い訳を考えちゃう自分に気づかされる内容になっています」

 最後にPRコメントを求められた原は「僕の演じた佐藤賢治が中心で回っていくストーリーなんですけど、心情がすごくリアルで、“売れたい”と思っていながらもどこか『本気じゃないじゃん』って皆さんも観ていて思ったと思いますし、僕も演じていて賢治に『もっとやれよ』って言いたくなるようなムズムズする映画なんですけど、それって日常のリアルじゃないですか。夢を追い切れない自分とか、言い訳を考えちゃう自分とか、初恋の相手に正直に言えないとか、そういう大きな波はあるかって言われるとないんですけど、リアルなスピードで進んでいくこの物語が、逆に今、立ち止まっている人がいたとすれば、すごく気づかされることが多いんじゃないかなって。そんな作品になっていると思います」とアピールし、「今日から全国で公開ということで、少しでも多くの方にこの物語が届いてくれるといいなと心から願っております。今日からぜひよろしくお願いします。たくさんエゴサするので。ハッシュタグ“#初恋芸人みた”で感想を投稿して、ぜひ盛り上げていただけたらなと思います」と呼びかけた。

画像5: 映画『初恋芸人』が公開。主演の原は「夢を追い切れない自分とか、言い訳を考えちゃう自分に気づかされる内容になっています」

映画『初恋芸人』

池袋HUMAXシネマズ、新宿バルト9ほか全国ロードショー中

<ストーリー>
彼女の笑顔が僕をヒーローにしてくれた
本作は売れないピン芸人・佐藤賢治は、怪獣ネタで舞台に立ちながらも鳴かず飛ばず。彼女いない歴=年齢で、妄想の世界にだけ居場所を見つけていた。嫌な相手を怪獣に見立て、自分をヒーローとして戦わせることで心を保ってきたのだ。そんな彼の前に現れたのが、市川理沙。佐藤を「面白い」と言ってくれる彼女との時間は、初めての恋のときめきに満ちていた。しかし、不器用な佐藤は想いを伝えられないまま、市川から距離を置かれてしまう。やがて明かされる市川の秘密――。これは、何かになりたかった人たちに捧げる、「何物でもないもの」の物語。

◆原作:中沢健「初恋芸人」(小学館「ガガガ文庫」刊)
◆出演:原嘉孝 沢口愛華 温水洋一 川上麻衣子 佐藤アツヒロ 六角慎司 ほか
◆監督・脚本:夏目大一朗
◆主題歌:「優しすぎた怪獣」Land Cell.
◆企画・プロデュース:小浜圭太郎
◆プロデューサー:峯松里香
◆後援:尾道観光協会 因島観光協会
◆協力:小学館
◆製作:「初恋芸人」フィルムパートナーズ
◆配給:ギグリーボックス
(C)「初恋芸人」フィルムパートナーズ

This article is a sponsored article by
''.