今年8月末に東芝エルイートレーディングから発売された、AUREX(オーレックス)ブランドのCD/FMワイヤレススピーカー「AX-XSS100」(市場想定価格¥49,500前後)が店頭で好評という。

画像: 中央に小型ディスプレイを、その両サイドに2ウェイスピーカーを搭載する。この配置、本体の奥行もユニットのサイズや内部構造(バスレフポートの長さなど)から割り出された結果とのこと

中央に小型ディスプレイを、その両サイドに2ウェイスピーカーを搭載する。この配置、本体の奥行もユニットのサイズや内部構造(バスレフポートの長さなど)から割り出された結果とのこと

 AX-XSS100は、CDドライブとFMチューナーを搭載したワイヤレススピーカーという、一風変わったコンセプトだ。近年のオーディオ試聴スタイルとして定着した、スマホ等によるBluetooth再生に対応(コーデックはSBC)、手軽にお気に入り音楽を楽しめる。

 さらにこちらも静かな人気を集めつつあるCDディスクの再生機能も備える。最近の家電量販店ではCDラジカセも製品数が少なくなっているとかで、大切にしているCDを“いい音”で聴くことが難しくなっているそうだ。AX-XSS100はトレイ型CDドライブを搭載することで、こういったニーズにも応えている。

 同様にFMラジオも手軽に聞く手段が減っており、ここについてもチューナー機能をしっかり搭載した。簡易型FMアンテナ(往年のオーディオファンにはお馴染みのアレです)も同梱されているので、久々に押しピンでアンテナを壁に取り付けてFMを楽しんでみてはいかがだろう。

 AMチューナーを積んでいないのは、最近はワイドFMでAMの番組を試聴できるし、また電波を受けることでノイズ源になる可能性もあるとの判断から、敢えて搭載しなかったとのことだ。

 この他、USB Type−A端子からのメモリー再生、3.5mmアナログ入力からの再生にも対応済で、リビングや寝室で気軽に音楽を楽しむために現在求められる機能を網羅したアイテムと言ってもいいだろう。

画像: トレイタイプのCDドライブを内蔵する。音楽CDの他に、CD-R/RW(CD-DAとMP3で記録された音楽ディスク)も再生可能

トレイタイプのCDドライブを内蔵する。音楽CDの他に、CD-R/RW(CD-DAとMP3で記録された音楽ディスク)も再生可能

 とはいえ、そもそもの音質がイマイチでは音楽ファンには使ってもらえない。その点については開発陣もわかっており、オーレックスサウンドアドバイザーであるDVAS合同会社CEO 桑原光孝氏の監修の下、高音質のための様々な配慮を盛り込んでいる。

 その第一が、独自に開発したDSP「オーレックス・サウンドプロセッサー」の搭載にある。これを使って、BluetoothやCDなどの音源をハイレゾ相当(192kHz/24ビット)にアップコンバート、圧縮やサンプリングに伴って失われた高域情報や微細なデータまで復元する。さらにeilex社の様々な高音質技術を組み合わせることで、臨場感を備えつつ、細部まで明瞭なサウンドを再現するという。

 その信号を正しく再生するためのスピーカーは20mmチタンドーム型ツイーターと64mmカーボンコーン型ウーファーという2ウェイシステムを採用、本体の両サイドにマウントしている。どちらも振動板の素材にまでこだわり、自然なサウンドの獲得を目指している。さらにこれらのユニットはマルチアンプ(左右それぞれに2台、合計4台のパワーアンプを搭載)で駆動するというこだわりぶりだ。

 本体エンクロージャーにはMDF(中密度繊維板)が使われているが、これは高い剛性と適度な響きを備えた素材を選んだ結果という。正面は音の反射(エッジ回析による周波数特性の乱れ)を低減するためにコーナーをカット、印象的なデザインに仕上がっている。

画像: 本機のために開発された20mmチタンドーム型ツイーターと64mmカーボンコーン型ウーファーを搭載。音質に配慮し、本体正面は角のないデザインを採用している

本機のために開発された20mmチタンドーム型ツイーターと64mmカーボンコーン型ウーファーを搭載。音質に配慮し、本体正面は角のないデザインを採用している

 今回AX-XSS100の試聴機をお借りできたので、1週間ほど使ってみた。AX-XSS100にはリモコンが付属しており、基本操作はこれで可能。メニュー画面から聴きたいソースを選んで決定ボタンを押すだけで音楽が再生される。

 リビングのAVラックにAX-XSS100を載せ、スマホとBluetooth接続してCDリッピング音源を聴く。いわゆるBluetoothスピーカーとしての使い方だが、最近のBluetoothスピーカーはほとんどがモノーラルタイプで、ステレオで再生するには2台準備しなくてはならない。その点AX-XSS100はステレオスピーカー内蔵なので、最初からステレオで楽しめる。

 カーペンターズや鬼束ちひろといった女性ヴォーカル曲では、彼女たちの伸びやかな声のニュアンスや切ないトーンが再現され、楽器の細かな情報も自然に伝わってくる。最初はラックの真ん中あたりに本体を置いていたんだけど、後ろの壁が近いためか(AX-XSS100はリアバスレフ)、曲によっては低音が強調気味に感じた。

 特にエリカ・バドゥの「Rimshot(intro)」で低音の強調が気になったので本体を壁から20cmほど離し、DIYショップで購入した半球形のウッドブロックに乗せてみた。こうすることで強調感が和らぎ、聴きやすくなってきた印象だ。AX-XSS100は置き方にも敏感に反応するので、棚板やインシュレーターなどは工夫した方がいいだろう。

画像: 背面右上にはFMアンテナ用のコネクターと3.5mmアナログ入力を搭載。電源ケーブルは着脱式なので、お気に入りケーブルと交換して音の変化も楽しめるかも

背面右上にはFMアンテナ用のコネクターと3.5mmアナログ入力を搭載。電源ケーブルは着脱式なので、お気に入りケーブルと交換して音の変化も楽しめるかも

 CD再生も同様の印象で、低音の聴こえ方も似ている。ただし、音の輪郭、エッジの表現などはCDの方が素直な印象もある。BluetoothとCDで同じ楽曲を聴きくらべてみるのも面白そうだ。

 USBメモリー再生は、MP3/FLAC/WAVに対応。今回は44.1kHz/16ビットと192kHz/24ビット、384kHz/32ビットのWAVファイルと、96kHz/24ビットのFLACファイルを試してみる。このうち384kHz/32ビットWAVはスキップされたが、他は問題なく試聴できた。いずれもハイレゾらしい情報の余裕を感じる音作りだ。

 iPhoneで再生したApple MusicをBluetooth経由で再生してみたが、クラシックからポッドキャストまで様々なソースをウェルバランスで楽しめた。特にポッドキャストなどは声が聞き取りやすいこともあり、BGM的に流しておくのにも最適だ。

 他にもFM放送の試聴も快適だし、USBメモリーへの録音機能(CD、ラジオ、外部入力の音声をMP3で録音できる)も備えるなど、この価格とは思えない多機能な使い方を楽しむことができた。
(取材・文・撮影:泉哲也)

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