BOSEは、歌手のアイナ・ジ・エンドとコラボしたイヤホン「QuietComfort Ultra Earbuds」(第2世代)を7月下旬に一般予約を開始すると発表、価格は、¥39,600(税込)となる。ここでは、過日都内でメディア向けに実施された体験会の模様をメインに紹介したい。


コラボモデルとなる「QuietComfort Ultra Earbuds」(第2世代)は、2023年10月に登場した初代「QuietComfort Ultra Earbuds」の後継モデルで、BOSEが誇るアクティブノイズキャンセリング機能を搭載した製品になる。「Custom Tuneテクノロジー」によって、リスナーの耳を分析して最適な音質になるよう自動で調整。どんな音量でも音のバランスを自動的に調整してくれるアクティブEQによって、小さな音量でも低音がしっかりと聴こえるようになり、バランスの取れた音質で楽しめるようになっている。
【アイナ・ジ・エンドについて】
2015年、楽器を持たないパンクバンド"BiSH"のメンバーとして始動し、翌年メジャーデビューを果たす。2021年に全曲作詞作曲の1stアルバム『THE END』をリリースし、ソロ活動を本格的に始動している。2023年6月に惜しまれながらもBiSHを解散し、現在はソロで活動中となっている。
新曲の「革命道中」がTVアニメ『ダンダダン』SecondSeasonのオープニングテーマに決定している。この楽曲は、アイナ本人が書き下ろした曲。中毒性のある疾走感溢れるサウンドの中にあるミステリアスなメロディーの掛け合いが、作品の「オカルト×青春」という独特な世界観を精妙に表現し、アイナ・ジ・エンドの独創的かつポップなボキャブラリーがふんだんに詰まった楽曲となっている。
QuietComfort Ultra Earbuds(第2世代)について
さて、ここからは「QuietComfort Ultra Earbuds(第2世代)」の機能・音質について簡潔に紹介したい(貸与された製品で試聴している)。製品について今一度簡単に説明しておくと、型番に"第2世代"とついているように、2023年発売モデルの後継機。細かい仕様は明かされていないが、新製品ではハードを含め、前モデルに対してほぼ一新されているそうで、細部にわたっての進化というか変化が確認できた。
BOSEお得意の「CustomTuneテクノロジー」はもちろん搭載されており、イヤホンを装着するとブーンという音がして、ユーザーの耳道の音響を測定。サウンドとノイキャンの両方を、個人に合わせて(いわゆるパーソナライズ)カスタマイズ(自動)してくれる。
アクティブノイズキャンセル(ANC)についても、BOSEスタンダードというか効果は抜群。他社を圧倒的に凌駕する消音機能を発揮してくれる。テストでは、FMラジオを聞きながらその効果を試してみたが(残念ながら電車内でテストする時間が取れなかった)、かつて記事化した「Quiet Comfort Earbuds II」同様に、話し手の声まで消してくれ、ほぼ無音に近い状況を作り出してくれる。
なお、BOSEスタンダードというか、この製品もANCオフがない(できない)。専用アプリ「BOSE」を使うと(アプリではQuietComfort Ultra 2 Earbudsと表示される)、「ノイズキャンセリング」の効果(量)はスライダーで調整できるが、バーを左端(オフと思われる場所)に持っていくと、外音が聞こえてきて、いわゆる外音取り込みモード(=Aware)になってしまう。いろいろ調整してみると、目盛りで「2」の位置が、ANCとAwareのバランスがよかったので、ANCオフ的な使い方をする時は2で登録している(「3」では、吸い付く感覚「=ANCが働いている」があったため)。
また、BOSEだけと思うが、ノイズキャンセルと外音取り込み(=Aware)とイマーシブオーディオ(イマーションと表示される)の効果を組み合わせたり、カスタマイズした状態をモード登録でき、それが、ノイキャンのオンオフのタッチ操作と一緒にトグルでまとめられている。ただし、デフォルトで用意されるモード(クワイエット=ノイキャン/アウェア=外音取り込み/イマーション=イマーシブオーディオ)は調整不可なので、別途用意されている項目(音楽やフォーカスなど)を新規登録して、そこで効果の組み合わせや量を決めるといいだろう。
ノイキャンをオフにしたかったのだが、できないので、音楽を聴く用に、「音楽」の項目を新登録し、ノイキャンの量は上にも記したように「2」にしている。また、デフォルトの「イマーション」ではノイキャン量が最大限入っているので、別途「フォーカス」という項目を新登録し、ノイキャン量を「2」にしている。これで、イヤホンのタッチ操作でモードを変えると、「クワイエット 音楽 フォーカス」がトグルで変わっていくようになった。余談だが、登録した項目名は、変えられそうに見えて、変更できなかった。
Bluetoothコーデックについては、SBC、AAC、aptX Adaptive(48/24)をサポ―トするが、どうやらアプリの入っていないデバイスではaptXにならないようだ。いくつかのデバイス(スマホ、DAP)で試してみたが、アプリが入ってないとAAC(古いDAPだとSBC)での接続になってしまう(仕様の改悪は困ったものだ)。
音質については、アプリを入れたスマホで行なっている(コーデックはaptX Adaptive「48/24」)。一聴して、音場感が広く、頭の両サイドまで音空間が満たしてくれるよう。意外と細かい音も再現されており、厚みを伴ったサウンドが再現されていた。音像の定位もよく、目を後ろあたりにぴたっと立ってくれる。一方で、良く言えば低音の量感がありとなり、悪く言えば低音がボコボコとうるさい。ANCのオン・オフ(というか最小)の音質の差はほとんどないので(というか常時ANCの回路を通っているのか?)、周囲の環境に合わせてノイズキャンセルのスライダーを動かせばいいだろう。高域は少し控えめな再現となる。コンテンツをハイレゾにすると、音空間が上方に拡大してくれ、細部の音がもう少し掘り起こされてくるようになる。
次に、低音を調整するべく、イコライザーを使ってみた。デフォルト(初期値)で用意されているのは4つ。その中から「低音減衰」を選ぶと、ボコボコした感じは薄まるものの、ボーカルの帯域も影響を受けてしまうようなので、カスタムで低音のみを下げるが、「-3」だとボーカルに影響が出てくるようになるので、「-2」とすると、ちょうどよくなった。が音場や高域の再現も若干減衰してしまうので、好みで選択・調整してほしい。
予め用意されている「低音減衰」では、中域も減衰してしまいボーカルに影響が出るので、カスタムにて低音部のみ「-2」にするとちょうどよくなった
今回、音声モードで「シネマモード」が搭載されているので、「イマーション」と合わせてテストしてみた。どちらも、バーチャルサラウンドというか、要はアップミックスの機能であり、これはイヤホン内部で演算しているので、接続するデバイスを変えても(BOSEアプリが入っていなくても)効果が楽しめる。
イマーションでは、空間が上方特に頭上)に広がり、豊かな空間感が楽しめるようになる。ボーカル・セリフは少し弱めとなるが、音楽コンテンツでも映像コンテンツでも楽しめた。特に、アクション作品との相性はいいようだ。一方、シネマモードでは、音場空間はイマーションよりも少し小さくなるが、セリフ・ボーカルがくっきりと聴こえてくるので、ボーカルメインの楽曲、あるいはセリフメインの映画・ドラマなどを視聴に向いているだろう。
その他、外音取り込みモード時、急に大きな音がした場合、自動的に(リアルタイムで)音量を抑制してくれるActiveSenseテクノロジーも進化していて、反応速度や抑制も的確に素早く働いてくれるようになった。同時に通話用のAIノイキャンも進化していて、デモでは、かなりの騒音化での通話を試してみたが、周囲の騒音をほぼ無視できるぐらいの抑制(消音化)が実現できており、屋外や交通機関の近くでのやむを得ない通話も、無理なく行なえそうだ。なお、この機能については発売後、9月ごろを目途にファームウェアのアップデートで実装される予定という。