画像1: Auto Sound Web Grand Prix 2024:カロッツェリア TS-V174Sスピーカー、Gold Awardスペシャルレビュー

最高評価を獲得したカロッツェリア の2ウェイスピーカーTS-V174S、その魅力とは。ここでは選考委員全員によるレビューを紹介する。

画像2: Auto Sound Web Grand Prix 2024:カロッツェリア TS-V174Sスピーカー、Gold Awardスペシャルレビュー

生き生きとした楽しさがV174Sを通した音楽から伝わってくる

文=石田 功

 今回のGP試聴の前に天童の東北パイオニアの試聴室でじっくり聴く機会があったのだが、旧V173Sと聴き比べてみて驚いた。7年前は、あれだけ素晴らしいと感じていた旧Vシリーズの音が普通に聴こえてしまうほど、新V174Sの音に存在感があるのだ。低域から高域に至るまで、音が強くたくましい。といってもマッチョな感じがするわけでは無く、無駄な贅肉のない均整が取れたイメージ。大谷翔平的といってもいいかもしれない。大谷さんが心から野球を楽しんでいるように、生き生きとした楽しさがV174Sを通した音楽から伝わってくるのだ。最初に見たときは、トゥイーターがバランスドドーム型に変わっていて、ちょっとガッカリしたのも事実だが、音は形では無く実際に出てくる音だということを実感。フルバスケット化して強化された低音からチタンに変わって強くなった高域まで、すべて含めて音を強くたくましく、そして生き生きとさせる方向にむかったのだろう。

まず感じる低音の良さ、トゥイーターの多様な再現性も音楽を楽しく聴かせる

文=鈴木 裕

 まず感じるのは低音の良さだ。低域のレンジ自体が広いし、低音感をしっかり持っている。『アンプラグド』で、クラプトンが足でリズムを取っている最低域の音の成分から判断するに30Hz近くまでのレンジが確保されている。続いて耳がいくのはトゥイーターの多様な再現性で、ドラムスのシンバルの重たい感じから、ヴァイオリン協奏曲のソロ・ヴァイオリンの超高域の倍音まで楽しませてくれる。さらに、トゥイーターとウーファーのクロスするあたりに薄い帯域を感じさせないのも、良く出来た2ウェイだ。ウーファーの音に着目すると、二次高調波の響きを感じるが、これも利用して全体の音のフォルムを作っているのだろう。クラプトンの声のザラっとした質感と女性コーラスの滑らかな響きを両立しているのもポイントは高い。

 あえてネガティブな点を探すと、分解能はあまり得意ではない。また、アンプに駆動力を要求するタイプらしい。カスタムフィットスピーカーだし、多くの方に薦められる音を持っているので、ここだけが気がかりに感じた。

歌声の魅力に溢れたスピーカーだと感じた

文=長谷川 圭

 スピーカーの進化にはいつも驚かされている。動作原理はスピーカーというものが発明されてからさほど変わっていないし、使える素材が劇的に変わるものでもないので、わずかな変化をもって使用状況に対して最適化してスピーカーユニットとしてより高められたものに仕上げる、職人技の賜物であり、技術者の経験値がものをいう世界であろうと思うのだ。

 本機の魅力を端的に言えば、歌いっぷりがいいところだと感じている。ヴォーカル帯域の音の整い方が優れていることと、ステレオイメージの中で歌う音像がわかりやすく聴けるのだ。ほかのスピーカーと比べると、目の前で歌うヴォーカリストが一歩前に近づいているような印象を受けた。低音のアタック音が明瞭なところも本機の美点のひとつといえるだろう。カスタムフィットモデルで、多くの車両で手軽なユニット交換できるという点も見逃せない。

 アナログ技術を巧みに進化させ、新たなアイデアを盛り込んで本機を作り上げた技術者を賞賛したい。

ステージの演者の情景が目の前に浮かんでくるような圧倒的とも言える表現力

文=藤原陽祐

 カロッツェリアとしては7年ぶりのフルモデルチェンジとなったカスタムフィットスピーカーの最高峰。軽く、強靱な開織カーボン振動板といい、磁気回路まで覆い包む深型のトラスバスケットフレームといい(いずれもウーファーユニット)、「ハイエンドオーディオを味わいたい方に!」(資料より)と謳うだけあって、その内容は極めて豪華だ。今回、振動板の有効面積もわずかに増えたことで、磁気回路の反力も大きくなっていると思われるが、これを拘りのバスケットフレームがしっかりと受け止め、不要な振動を排除。音の芯を感じさせる、厚く、クリアな中低域を手中に収めている。ヴォーカル、ジャズトリオ、オーケストラと、実際、様々な音源を再生してみたが、フワッと浮き立つ声の艶っぽさといい、空間を漂うように減衰していく楽器の響きの鮮度の高さといい、随所でただ者でないことを感じさせる。中低域の落ちつき、安定感に加えて、音そのものの鮮度の高さは格別で、ライブ感に溢れる歌声、演奏が新鮮だった。

すべての楽器の音が、あるべき音質・音色・質感で眼前に展開する快感!

文=黛 健司

 この製品を聴いて、カロッツェリア・スピーカーに新時代が到来したことを確信した。従来の試聴では、カロッツェリアTS-Z900PRSをリファレンススピーカーとして用いてきたが、そのリファレンス機と本機を比較して驚いた。TS-Z900PRSは3ウェイ構成で12.8万円、 TS-V174Sは2ウェイ構成で7.2万円(ともにウーファーは170mm口径)。どう考えてもZ900PRSの方が有利に思えるのだが、音を聴くと、意外や意外、V174Sの「新しさ」が印象に残った。すべての楽器の音が、あるべき音質・音色・質感で眼前に展開する快感! こんな整った音のスピーカーも珍しいだろう。ジャズのビッグバンドにおける、管楽器群の輝かしくも艶やかな響きが十全に表現され、ベースのブーミングの
心地よいこと! ヴォーカルにはハリがあり、艶っぽさや潤いも文句ナシだ。大編成のオーケストラ曲では、広々として空間表現に圧倒され、S/Nのよさからくる音場に静けさに息をのむ。凄いスピーカーが現れたものだ。

これほどユニットの存在が気にならないスピーカーは珍しい
“音楽への没入”も可能かもしれない

文=脇森 宏

 車両に手を加えることなく装着可能なカスタムフィットスピーカーの最上位Vシリーズは、かねてより高いポテンシャルを獲得。従来のV173Sはその緻密でスムーズなサウンドによって上級のPRSを凌ぐかと思わせる部分も備えていた。

 今般登場したTS−V174Sは、その高実力機V173Sを大きく引き離した印象を受ける。とりわけスムーズさが格段に増したトゥイーター帯域と、伸びやかで厚みがありフットワーク軽快なウーファー帯域のコンビネーションが絶妙で、音楽の機微やダイナミズムを的確に伝えながら、ひたすら心地よい音を聴かせてくれる。V173Sトゥイーターの切れ味を懐かしむ向きもあろうかと思うが、本機には全帯域をぴしりと貫く安定感が備わっており、音像の定位と立体感は圧倒的。これほどユニットの存在が気にならないスピーカーは珍しい。“音楽への没入”も可能かもしれない。ネットワークが高低別体のためバイアンプ駆動に走りがちかと思うが、まずは1台のステレオアンプを使い標準的な接続での音を聴いていただきたい。聴こえてくるのは驚くばかりの高完成度サウンド。本機の使いこなしはここを始点にすれば間違いないだろう。

画像1: これほどユニットの存在が気にならないスピーカーは珍しい “音楽への没入”も可能かもしれない

カロッツェリア CARROZZERIA
Speaker
TS-V174S
¥79,200(セット/税込)

SPECIFICATION
●型式:セパレート型2ウェイスピーカー
●使用ユニット:ウーファー・170mmコーン型、トゥイーター・36mmバランスドドーム型
●定格入力:50W
●瞬間最大入力:180W
●出力音圧レベル:89dB
●再生周波数帯域:29Hz~53kHz
●インピーダンス:4 Ω

画像3: Auto Sound Web Grand Prix 2024:カロッツェリア TS-V174Sスピーカー、Gold Awardスペシャルレビュー

TS-V174Sのウーファーユニットは、エッジから磁気回路までを内包できるアルミダイキャスト製のバスケットフレームが採用される。開発者が橋梁の構造からヒントを得て設計したトラスバスケットフレームは、従来に比べて軽量で高剛性を実現しているという。また形状の決定に際しては実車のドア構造に合わせ、カスタムフィットとして装着が可能かどうかの実証が繰り返されたという。

画像4: Auto Sound Web Grand Prix 2024:カロッツェリア TS-V174Sスピーカー、Gold Awardスペシャルレビュー

チタンのバランスドドームダイヤフラムが採用されたトゥイーターユニット。ローズゴールドのカラーリングは、管理された高温処理により発色し、理想的な音を放出するという。樹脂製のハウジングはTS-V173Sと同じサイズで設計されており、その表面は光が当たるとローズゴールドの色が見える。

画像2: これほどユニットの存在が気にならないスピーカーは珍しい “音楽への没入”も可能かもしれない

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