本日から幕張メッセーでスタートした、デジタルイノベーション展示会「CEATEC 2024」。先程その第一報をお届けしたが、その他にも今回様々なブースが出展されている。以下では、ソニーブースについて紹介したい。
今回のテーマは「イメージング・センシングテクノロジー」とのことで、現代社会の様々な分野で活用されている「電子の眼」と呼ばれる半導体のイメージセンサーにフィーチャーした展示が行われている。
そもそもイメージセンサーとは、スマホやデジタルカメラといった製品に搭載されている半導体素子で、最近は様々な技術と融合することにより様々な物体を認識するセンシング技術に発展している。ソニーではこれまでも、デジタルシネマカメラ「VENICE 2」やミラーレス一眼の「αシリーズ」、スマホの「Xperia」といったイメージセンサーを搭載した製品を発売してきている。
さらに今回のCEATECでは、通常の映像撮影という用途を超えたイメージセンサーの使い方も展示している。
そのひとつが、可視光から短波長領域まで撮像できるSWIR(Short-Wavelength Infra Red)イメージセンサーで、これを搭載したカメラ(赤外線領域を使用)によって、ケースの中身を確認したり(非破壊検査)、透明の水と油が入ったボトルの中身を解析したり(水は赤外線を吸収するので黒く写る)といった使い方ができるそうだ。また先述のように赤外線を使うことでどこに水分が含まれているかもわかるので、果物などの食物の検査にも活用できることになる。
他にも半導体のセルは赤外線では透明に見えるそうで、製造の工程で不純物が含まれていないかといった確認も可能で、こういった特性を活かして製造工場の品質管理用としても活躍しているとのことだ。
またイメージセンサーとAIを融合したインテリジェントビジョンセンサー「IMX500」も展示されていた。こちらはイメージセンサーが撮影した映像を、一体化したAIがリアルタイムで解析し、内容に応じて数値(メターデータ)化するというものだ。
会場ではカメラが撮影した映像から “人” がどの部分に写っているか、また各被写体はどれくらいの確率で “人間” と判断されるかを数値化していた。こうすることでコンビニ店内の混雑状況などが数値として把握でき、そのメタデータを解析用のアルゴリズムに送ることでより深い分析ができるとのことだった。
撮影という切り口での応用が、海中3D映像だろう。高速で動く被写体を歪み無しで撮影できるグローバルシャッター方式のイメージセンサーを搭載した水中ドローンを使い、サンゴや海藻などの水中映像を撮影、それを元に3D画像にレンダリングして、27インチ空間再現ディスプレイで再生されていた。
グローバルシャッターの効果もあってか、歪みが少なく、かつ水中でも充分な明るさを持った映像が撮影できており、裸眼立体用としてもひじょうにクリアー、かつ緻密な映像を確認できた。
ユニークだったのは、ToF(Time of Flight)イメージセンサーを使ったVチューバー向けのアプリだった。物体との距離を3次元で測定できるToFイメージセンサーを使って、人物の上半身+手の動きを把握、その動きをリアルタイムでアバターに反映できる。指の動きまでなめらかに再現できるので、違和感のない映像が再現できるそうだ。
年頭のCES2024でソニー・ホンダモビリティのEV「AFEELA」を発表したソニーらしく、モビリティの安全を高めるためのセンシング技術も展示されている。車の前後や側面に複数のカメラを取り付けることで車の全方位(360度)を検知、日常の様々なドライブシーンでの安全性を高めるという。
車体の正面には1742万画素のイメージセンサーを配置することで、道路の状況や他の車両、歩行者といった対象物の認識範囲を拡大することに成功している。他にも車内に向けたセンサーも準備され、これを使って運転者や同乗者のモニタリングを実施、安全性向上につなげている。