日本テキサス・インスツルメンツ(TI)は本日、同社最新で最小となる新たなDLPディスプレイコントローラー「DLPC8445」を発表。その特徴や今後の展開について、明らかにした。
さて、発表会はオンライン方式で行なわれ、登壇(出席)したのは、TI DLP製品 ビジネスライン マネージャーのカルロス・デヴィッド・ロペス氏。氏の説明は、DLPの始まりや、その後の製品・市場展開から始まるなど、記者のようなオーディオ・ビジュアル業界で長く働いているものにとってはなかなかに興味深いもの。その歴史は下の図版に示すように、1987年にDLPテクノロジーが考案され、製品化(商用)はその9年後の1996年に実現、以後、市場やジャンルを拡大していき、ホームシネマ、ゲーミング、車載、さらには3Dプリンターへもその用途を広げてきているということだ。
そうしたことを受け、今後、さらにDLPの市場・ジャンルを拡充するべく、DLP機構をより搭載しやすくすること、より高速化することを目的に今回、新たなディスプレイコントローラーを開発、その発表を行なった、という流れになる。
さて、新しい「DLP8445」では、従来モデルに対大きさでは約90%の小型化に成功。これは主に生産プロセスの技術的な進化によって実現されたそうで、下に示す図版からも分かるように、圧倒的に小さくなっているのが分かる。
同時に、DLPの心臓部とも言えるDMDそのものも小さくなっており、新しい「DLP472TP」では、パネルサイズ(0.47)や解像度は従来同等というが、DMD=ミラー部の周辺機構を、放熱性能を加味(落とさない)しながら、よりコンパクトにできた、ということだ。さらに、DMDを駆動するドライバー「DLPA3085」も小型化と省エネ化が行なわれ、コントローラー+DMDドライバーというパッケージ(DLPチップセット)の小型化、省エネ化を達成。完成品となるDLPプロジェクター(モバイル製品など)のよりコンパクト化が可能なる、ということだ。同時に、映像のリフレッシュレートの向上、もともと遅延の少ないDLP方式の特徴を活かして、ゲーミングやARなどの分野での活躍・飛躍も見込んでいるようだ。
今回の主役であるDLP8445についてもう少し紹介すると、サイズは9×9mm、4K解像度対応、100インチの投写に対応、リフレッシュレート240Hz対応、ゲーミング用途では近年必須となってきた4K/120Hz映像の投写が可能、可変リフレッシュレート(VRR)に対応、といったフィーチャーを持つ。ここからは主に、ゲーミング用途で求められる諸元に対応してきた、とも読み取れそうだ。遅延という面では、1ms(1/1000秒)未満を達成しているそうで、「綺麗で滑らかな映像を、スムーズ(高速)に表示できる」と謳っていた。
なお、本セットの搭載モデルは、現在採用メーカーでの開発が進んでいるそうで、早くで半年から1年後には製品として登場すると予測されれている。その他でも、興味のあるメーカーには、開発検討用に、DLPチップセット(デバイスセット)の提供も可能ということだった。