GfK/NIQ Japanは、2024年上半期の家電・IT市場動向分析を発表した。GfKはドイツに本拠を置く、1934年創業のマーケティングリサーチ企業だ。2023年7月にNIQ(ニールセンIQ)と合併し、より幅広いエリア、ジャンルでの市場分析が可能になったという。

 今回の市場動向分析は、日本全国の有力家電・IT取扱店の販売実績を元にしたもので、2024年上半期(1〜6月)のデータとのことだ。この期間の家電小売市場は約3.3兆円で、対前年同期比1.9%の減少という。直近5年でもっとも市場規模が小さく、2022年以降3年連続での縮小傾向だった。

画像1: GfK/NIQ Japanが、2024年上半期の家電・IT市場動向分析を発表。薄型テレビ市場は液晶タイプが好調で、有機ELが苦戦。BDレコーダーは台数減ながら、高機能モデルにシフト

 その中で、オーディオビジュアル関連での動きとしては、まず薄型テレビの販売台数が前年比1%減の220万台でほぼ前年並みとなり、下げ止まりの兆しが見えてきたという。デバイス別では、液晶テレビが前年並みなのに対し、有機ELテレビは10%減という結果に終わっている。

 この点については、液晶テレビは大画面モデルを中心に「ミニLED」や「量子ドット」に対応した高画質モデルが伸長し、市場を下支えしたことが大きいと考察されている。特にミニLED液晶は昨年から2倍以上、量子ドットは約1.4倍のプラス成長となった。もちろん昨年同時期比べてこれらの新技術を搭載した製品が増えたこと、価格も手頃になってきたことなるもあるだろう。

 有機ELテレビについては、同じ画面サイズの場合、液晶テレビと比べて販売価格が高価になることから、店頭で液晶テレビが選ばれるといった傾向もあったのではないかとのことだった。なお、GfK/NIOでは有機ELと液晶テレビについてはどちらかに収斂するのではなく、それぞれのカテゴリーで成長を続けていくだろうと見ているようだ。

 画面サイズについては、55インチ以上のいわゆる大型サイズのシェアは20%ほどに届いているそうだ。その中で60インチ以上も12〜13%あるそうで、家庭用テレビの大型化は進んでいるのだろう。薄型テレビ全体としての税抜き平均価格は¥94,000で、前年から3%上昇したそうだ。

画像2: GfK/NIQ Japanが、2024年上半期の家電・IT市場動向分析を発表。薄型テレビ市場は液晶タイプが好調で、有機ELが苦戦。BDレコーダーは台数減ながら、高機能モデルにシフト

 録画機器については、BDレコーダーの販売台数は前年比19%減の41万台で、減少傾向が止まっていない。製品全体の動向としては高機能モデルの構成比が拡大し、4Kチューナー内蔵モデルは前年から11%伸長、数量構成比46%となっている。同時に2Tバイト以上のHDD搭載モデルは前年10%ポイント増の同59%、3チューナー以上を搭載するモデルも41%を占めた。

 BDレコーダーとしては4K対応高級機にシフトしているわけだが、これはタイムシフトなどの簡易的な録画についてはテレビの外付けHDD録画機能で足りているユーザーが増えているということで、わざわざレコーダーを加えようという人は、それなりにこだわりを持った層になってきているということかもしれない。

 オーディオ・ビジュアルに関連したアイテムとしては、近年話題の多いヘッドホン/ヘッドセットの販売数量が前年比3%減の890万本だったという。特に、40%以上を占める有線タイプはテレワーク需要の減少といった要因もあって、前年比9%減になった。一方の完全ワイヤレスイヤホンは前年比8%増と成長傾向が続いているそうだ。

 この分野では、税抜き¥5,000未満のお手軽価格帯が、数量前年比10%増と好調な推移を示し、同時に¥30,000以上の価格帯も製品数が増えてきたことで前年比約1.5倍という成長を遂げており、価格帯における二極化が進んだとのことだ。

画像3: GfK/NIQ Japanが、2024年上半期の家電・IT市場動向分析を発表。薄型テレビ市場は液晶タイプが好調で、有機ELが苦戦。BDレコーダーは台数減ながら、高機能モデルにシフト

 デジタルカメラは昨年から回復基調が続いており、前年比25%増の68万台と大きく伸長した。コンパクトカメラは数量前年比28%増、レンズ交換式カメラは同21%増とどちらも好調に推移している。コンパクトカメラが低価格帯の販売が拡大したことにより税抜き平均価格は前年比4%減だったのに対し、レンズ交換式の平均価格は3%増に上昇している。

 本体の好調を受けて、交換用レンズも前年比17%増の28万本となっており、中でもミラーレス一眼用レンズが数量前年比24%増と大きく貢献している。

 携帯電話については、前年比18%減の1,130万台だったという。その背景には端末価格の上昇があり、税抜き販売価格が前年比6%増の¥91,000と高価格化が進んだため、買い控えが起こったのではないかとのことだった。

 ウェアラブル端末は前年比4%増の160万本と、前年から拡大。数量構成比で市場の過半数を占めるスマートウォッチは前年比4%減と縮少しているが、スポーツ用途を訴求しているタイプは同87%増と大幅に増加した。そこでは、税抜き1万円未満の手頃な価格帯の製品ラインナップの拡充があり、同価格帯の販売数量は前年から2倍以上に成長している。

 パソコンおよびタブレット端末市場は前年比6%増の1,070万台となった。パソコンの個人向け市場の販売台数は9%減の160万台と4年連続で縮小しているが、法人向け市場は同13%増の520万台となり、プラス成長に転じている。2025年10月にWindows10のサポート終了が控えており、買い替え需要が市場を押し上げた可能性もあるそうだ。

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