アメリカは、カリフォルニアで生まれたオーディオブランドJLab。創業は2005年と若い会社ではあるが、音質はもちろん、機能性、使いやすさに留意した製品(=質の高いギアを提供すること、を社是としているそうだ)の開発・販売を行なうことで、アメリカ国内ではシェアNo.1ブランドに成長したという。

 その後、日本国内へも販路を広げており、2021年にはノーリツ鋼機に買収され、そのグループ企業に収まっている。製品開発については米JLabに任されているそうで、国内販売・宣伝を行なう部門として、JLab Japanが2022年に設立された。その活動もあってか、日本国内での販売は順調に推移しているということだ。

 ちなみにノーリツ鋼機では、他に「Pioneer DJ」ブランドを擁するAlphaThetaも傘下に収めており、ものづくりに特化した持株会社として、自社の強みを活かしたブランド・製品展開を行なっている。

 さて、本稿の主題であるJLabに話を戻すと、同ブランドでは各種ワイヤレスイヤホン・ヘッドホン製品をラインナップしており、ワイヤレスイヤホンでは、「GO」「JBUDS」「EPIC」の3つのサブブランドにて、製品を訴求している。GOはカジュアル、JBUDSはスタンダードにあたり、最後のEPICは「最高の」という意味を持つ言葉であり、そこにラインナップされる「EPIC LAB EDITION ANC」(¥36,800税込)は、まさにフラッグシップモデルとして、アメリカだけでなく日本のオーディオファンにも充分に訴求する機能性・仕様を具えている。ここでは、そのEPIC LAB EDITION ANCのインプレッションを簡潔に紹介したい。(借用した機材にてテストしている)。

画像1: 高い音質とデザイン性で所有欲を高めてくれる、JLabの完全ワイヤレスイヤホンのフラッグシップモデル「EPIC LAB EDITION ANC」

 EPIC LAB EDITION ANCの概要を紹介すると、搭載ドライバーは10mm径のダイナミック型+バランスド・アーマチュア(BA)ドライバーのハイブリッド型。コーデックはLDACをサポートし、ハイレゾワイヤレスの認証も取得している。注目を集める空間オーディオにも対応する。また、日本市場では重要なアクティブノイズキャンセル機能も装備しているし、専用アプリによるカスタマイズ、EQ調整なども可能だ。面白いところでは、LE Audioコーデック(LC3)にも対応していて、まだまだLC3の送信機の少ない現状を鑑みてか、USBドングルタイプの送信機を同梱している。

画像2: 高い音質とデザイン性で所有欲を高めてくれる、JLabの完全ワイヤレスイヤホンのフラッグシップモデル「EPIC LAB EDITION ANC」

 デザインは結構オーソドックスなもので、スリムな長方形。金属材料による収納ケースは、重量感も高級感も満載。最近はプラケースも増えてきているので、この質感はなかなかのもの。所有欲を高めてくれるメリットもある。

画像3: 高い音質とデザイン性で所有欲を高めてくれる、JLabの完全ワイヤレスイヤホンのフラッグシップモデル「EPIC LAB EDITION ANC」

 イヤホン本体はいわゆるBudsタイプ(お団子型)であり、内側の耳に当たる部分がスケルトンになっているなど、遊び心もある。お団子型だけあって、耳穴の窪みにすっぽりと収まり、装着感も良好。記者はこれまでMサイズのイヤーチップを使っていたが、本機ではSでピッタリ。アメリカンサイズなのかもしれない(笑)。傘の部分の弾力はそれほど強くないので、耳が圧迫される感覚は少ない。と言っても、遮音性はまずまずで、ANCなしで電車内で使っても、騒音に音楽がかき消されてしまい……ということはなかった。

画像4: 高い音質とデザイン性で所有欲を高めてくれる、JLabの完全ワイヤレスイヤホンのフラッグシップモデル「EPIC LAB EDITION ANC」

 試聴は、専用のポータブルオーディオプレーヤーと組み合わせ、LDACで行なっている。一聴してその音調はフラットで、特定の帯域が強調されることはなく、聴きやすいもの。低音から高音までバランスよく再現してくれる。音場感は少し狭い印象はあるが、音像の定位感はよく、ボーカルは目の奥、あるいはおでこのあたりにスッと浮かび上がってくれて、心地よい。

 コンテンツをハイレゾにするとLDACらしさがより出てくるようになり、まず音の空間(音場)が大きくなり(特に上方)、情報量が多いこともあってかディテイルがよく出てくるようになり、細かい響きや消え際の余韻がより味わえる音調へと深化してくれた。

 一応、USBドングル(LC3)もテストした。主には、映像コンテンツの視聴とかゲーミングにおける遅延対策を考慮してのものと思われるのだが、あえて音質面に絞って試聴している。専用ポータブルプレーヤーのUSB-C端子に付属のドングルを挿し、イヤホンをケースから取り出してペアリングモードにすると、すんなりと接続(ペアリング)は完了。手間なく、再生できるようになった。

 音質はSBCの置き換えのLC3(LE AUDIO)なので、それなりなのだが、それよりは遅延、省電力といった面でのメリットを重視した方がいいだろう。LDACコーデックをサポートしていないプレーヤー(スマホなど)と組み合わせる場合は、USBドングルで聴いた方が音質は良好。

専用アプリも用意する

 ノイキャンについても、いつものように通勤時の電車内でテストした。オンにすると、ノイズがキャンセルされるというよりは薄まる印象。周囲のざわざわしたノイズはスッと収まるが、電車の走行音、レールの軋む音、車外の騒音などは、抑制されて少し遠くに聞こえるようになる。ただし、楽曲とは被らないので、音楽が聴きにくくなることはない。面白いのは、社内アナウンスはそのまま聞こえてくるところ。他社の製品では、アナウンサーの性別で聞きにくくなるものもあったが、本機では、性別の区別なく聞きやすい(ノイキャンをスルーしているような感覚)。音質の変化は意外と少なく、高域の再現性は少し後退するが、LDACらしさは残っているので、常時オンでもいいだろう。

 総論として、ブランドの音質にこだわる姿勢がしっかりと音調に反映されているだけでなく、金属ボディによる高い質感とデザイン性、使いやすさ、機能性などについても、きっちりと製品に体現されており、所有欲をくすぐってくれる一台と言えるだろうか。

This article is a sponsored article by
''.