1984年3月21日、大滝詠一の6作目『EACH TIME』がリリースされました。本作は大滝が作詞家・松本隆と生み出した音楽を、レコーディング・エンジニアの吉田保が研ぎ澄まされた音の世界にまとめ上げたジャパニーズ・ポップスの金字塔です。
『EACH TIME』はこれまで節目ごとに再発されてきましたが、その都度収録曲が異なり、曲順も変更されるなど全体像がヴェールに包まれてきたアルバムです。そして、2024年3月21日、本作の40周年記念盤が豪華なVOX(ボックス)、2枚組CD、そして国内カッティングによる33 1/3回転LP+シングルという3つの仕様・体裁で復刻されました。
『大滝詠一 EACH TIME読本』はその40周年盤の音の魅力に迫った一冊です。40周年盤の13曲はすべて初出となるミックス違いであるのが最大の特徴です。各々のフォーマットは過去に発売されたLPやCDと何がどう違うのか、同時に変わっていない点も示しながら、音の違いについて掘り下げています。
歴代ディスクに採用されたマスターを図解しながら、5.1chサラウンド・ミックスの聞きどころにも言及しています。本書を読みながら40周年盤の各ディスクに向き合うと、『EACH TIME』のサウンド・マジックを深く理解し、いっそう愉しめることでしょう。
本書では大滝詠一・作曲による「バチェラー・ガール」の歌い手・稲垣潤一、『EACH TIME』にメンバーとして参加していた斉藤ノヴ、中西康晴、浜口茂外也、松武秀樹らの最新インタビューを掲載しています。また、大滝詠一作品の若きフォロワーとして知られるミュージシャン・関口スグヤのインタビューも併せて掲載。
本書の監修者でもある音楽評論家・湯浅学と『EACH TIME』のストリングス・アレンジを担当した井上鑑の試聴対談は、弊誌ならではの読みどころ満載の企画です。この試聴対談では井上鑑が大滝詠一とのコラボレーションを通じて学んできたこと、アレンジャーとしての取り組みなどを語り尽くしています。歴代のCDを振り返りながら、40周年盤の目玉というべき5.1chサラウンド・ミックスの魅力にもクローズアップしています。
『EACH TIME』40周年盤のマスタリングとサラウンド・ミックスについて
40周年盤のマスタリングとサラウンド・ミックスを担当された(株)ソニー・ミュージックソリューションズの内藤哲也さんへ話をうかがった。
EACH TIME歴代関連ディスクを紹介
1984年の初回LPを筆頭に歴代CDなどをすべて掲載しています。
EACH TIMEの40年を井上鑑と湯浅学が語り尽くす
初回LPから歴代CD、40周年の最新ディスク、ハイレゾ音源、サラウンド・ミックスの聴きどころ、魅力に言及しています。
CONTENTS
『EACH TIME』誕生までの道程 湯浅 学
EACH TIME 40th Anniversary Edition 全曲解説 湯浅 学
関連アーティスト2024 Interview
稲垣潤一/斉藤ノヴ/中西康晴/浜口茂外也/松武秀樹
聞き手:湯浅 学/伊藤隆剛 構成:伊藤隆剛
私の考える『EACH TIME』 安田謙一
フォロワー・アーティスト2024 Interview
関口スグヤ
聞き手/構成:伊藤隆剛
『EACH TIME 』40周年盤のマスタリングとサラウンド・ミックスについて
対談 内藤哲也×柿崎景二 構成:伊藤隆剛
『EACH TIME 』40周年記念盤の音響解析 柿崎景二
『EACH TIME』歴代関連ディスク
『EACH TIME』の40年
井上 鑑×湯浅 学
歴代リマスターの変遷で辿る大滝サウンドの真髄
構成:山本 昇
『EACH TIME VOX』Disc 2 & 3解説 安田謙一
『EACH TIME』サラウンド・ミックス解説 小原由夫
『EACH TIME』前後の大滝詠一のラジオ番組 湯浅 学
大滝詠一『EACH TIME』深聴きのためのアルバム21選
源流と末流を知る
伊藤隆剛/小林慎一郎/松山晋也/安田謙一/湯浅学/編集部
エッセイ「大瀧さんと糸居さんとエルヴィスと」澤里昌吉
Eiich Ohtaki × Audio System
ナイアガラ・サウンドの魅力を引き出すオーディオ機器
伊藤隆剛/和田博巳