映画『札束と温泉』(6月30日公開)の完成披露舞台挨拶が6月7日、東京・渋谷のユーロライブで行なわれ、主演の沢口愛華、共演の小浜桃奈、糸瀬七葉、大熊杏優、佐藤京、星れいら、そして川上亮監督らが登壇した。
本作は、高校の修学旅行で温泉宿を訪れた女子高生のリサ、ひかる、恵麻、美宇の4人が、ヤクザの愛人が持ち逃げした札束の詰まったバッグを発見したことから起こる混乱を、“疑似ワンカット”で撮りきったコメディ。カネを取り戻すために現れる殺し屋。独り占めをもくろむ美宇。美宇と密かに交際していることが別の生徒にバレて口止め料を要求されている担任教師……。複数の思惑が交錯し、すれ違いがすれ違いを呼ぶ展開となっている。
劇中衣装で登場したキャストの面々と川上監督は、本作を観終えた観客から温かい拍手で迎えられステージ登壇した。そして本作を作ったきっかけを尋ねられた川上監督は「もともとオンラインで見せる演劇の脚本のオファーいただきまして、いろんな事情でその企画はなくなったんですけど、私自身この内容が気に入っていたので、映画という形で新たに作り直しました」と打ち明け、こだわった点については「それもあって演劇的な内容になっていますし、もともとワンカットでオンラインで芝居を流してしまおうという企画だったこともあって、ワンカットの映画を研究しまして、面白いなと思って今回の作品も同じような形で作らせていただきました」と語った。
改めて、脚本を読んだ際の心境を尋ねられると、高梨リサ役を演じる沢口は「“これはコメディだな”って思いました。というのも、コメディって演じるのが難しいって聞くので、演技経験が少ない私が主役で大丈夫かなって思いましたし、台本を見たら1ページ目にひかるの超長ゼリフがあったので、あの長ゼリフが自分のセリフじゃなくて本当によかったって思いました(笑)」と吐露して笑いを誘い、そんな関根ひかる役を演じる小浜は「最初に台本をいただいたときは、どの役か分かっていなくて、オーディションで高校生4役全部を覚えないといけなかったので、とても難関だなと思ったんですけど、ひかる役をいただいて全部読んでみたらほぼ小浜桃奈で、ひかるなのか小浜桃奈なのか途中からわからなくなってくるくらいすごく自分に似ていて、逆にこの役に出会えたことが奇跡なんじゃないかと思っていたので、演じるというよりは自分の個性を生かしながらどう作品の中に溶け込めるかなって考えながらお芝居ができたので、すごく楽しかったです」とにっこり。
佐々木恵麻役を演じた糸瀬は「初めて読ませていただいたときに、セリフの量が多いなというのと、文字だけでキャラクターの個性が強いと感じて、川上監督が一人ひとりに対してすごくこだわっているんだなということが伝わってきました。ハラハラドキドキしながら、この女の子たちはどうなっちゃうんだろうと楽しみながら読ませていただいていたのを今でも覚えています」と語り、「私自身、役柄とかけ離れているということで、最初は不安でもあったんですが、新たな挑戦をさせていただくことが本当に嬉しかったなと思っています」と笑顔を見せた。
また、自分以外の役で演じてみたい役を聞かれると、田中美宇役を演じる大熊は「(佐藤)京ちゃんが演じていた遥をやってみたいなと思っていて、殺し屋って普段、生活していたら経験できないですし(笑)、すごく難しいと思うんですけど、京ちゃんが演じた遥が本当に面白くて、ちょっとサイコパス感があって、私はかっこいいなって思いました」と打ち明け、一方、そんな越智遥役を演じる佐藤は「ひかるを演じてみたいなと思いました。映画を通してひかるに愛着が湧いた感覚がありまして、自分の人生を振り返りつつ、天真爛漫で口数が多く、日頃の小浜桃奈も口数は多いんですけど(笑)、それがすごくハマっていて魅力的だなと思いました。あとは人生がめちゃくちゃ楽しそうってところもあって、ひかるを演じてみたいなと思いました」とコメント。
同じ質問に、沢口は「恵麻をやりたいんですよね。仕事人みたいな感じしません?リサを通してではあるんですけど、割と頼れるなって思いますし、私は(恵麻のように)もともと明るいタイプではないですし声も低めなので、次にオファーを下さるなら恵麻みたいな役をお願いします。主演じゃなくてもいいので」と川上監督にアピールし、同じく恵麻をやりたいという小浜は「実はオーディションのときは恵麻役を取りにいきました。4人でお金を並べているシーンがあるんですけど、あの(恵麻の)セリフをまだ覚えているくらい恵麻に思い入れが強かったんですけど、オーディション前の監督との雑談で“なんて喋るやつだ”って思われたらしくてひかる役をやることになりました。もし私が恵麻だったらどういう物語になっていたのかなというのは気になります」と裏話を披露した。
さらに、本作の内容にちなみ、もし大金が入ったバッグを見つけたらどういう行動を取るか質問されると、水無月綾乃役を演じる星は「(答えによっては)人間性も問われちゃうと思うんですけど……、劇中では盗んでしまっている役ですが、私が見つけてしまったらとりあえず一晩おいて、次の日になってまだあったら開けてみますが、取らないですよ! そういう悪さをしたら絶対にヤクザの人にバレて怖い思いをするので取りません。眺めて目に焼き付けて帰ります」と答え、川上監督は「全額いただいて、次の作品の製作費にしたいと思います」とニヤリ。
そして、ロケが行なわれた別府での思い出を聞かれると、温泉に入ることができなかったという星は「川上監督がみんなを別府冷麺のお店に連れて行ってくれたのが印象的です。美味しかったです」と振り返り、撮影2日目に合流したという佐藤は「2日目が大吹雪で、私は秋田出身なんですけど、その年の初雪を大分で体験して、バスでの移動中に“どこかで見た景色だな”と感傷に浸っていたことを覚えています」とコメント。大熊はオフ日が1日あったそうで「一人で別府の露天風呂に入りに行ったんですけど、そこが最上階にある露天風呂で大分の景色を見渡しながら入れて本当に癒されたので、もう1回行きたい気持ちです」と吐露した。
続けて、オフ日がなかったという糸瀬は「こうなったら別府で美味しいものをいっぱい食べようと思って、大熊杏優ちゃんと入り時間が一緒になることが多かったので、朝ちょっと早めに起きて別府の郷土料理のだんご汁や、とり天を食べに行って、『このあと撮影を頑張ろう』って2人で話しながら食べたのが思い出ですね」と回顧し、早起きができず糸瀬や大熊と食事に行けなかったと嘆いた小浜は「さすがにもったいないと思って、あと1日くらいしかないってときに京ちゃんを誘って、私はサンリオが大好きなので大分にあるハーモニーランドに行って、2人で同じジェットコースターに3回くらい乗ったりして満喫して、帰りに海鮮丼を食べて帰ってきました」と満足げ。沢口は「談話室で共演者みんなが集まっているときがあったんですけど、糸瀬さんがピアノを弾いてくれて、めちゃくちゃ話題になった超有名な曲を弾いてくれて、しかもアレンジを入れた感じで弾いてくれて、すごいなって思いました」と糸瀬を絶賛した。
最後に、PRコメントを求められた沢口は「みんな“ワンカット風”という初挑戦を抱きながら頑張った私たちをまた観ていただきたいですし、2回目、3回目を見たときに、セリフを喋っている子以外の子の表情が、ワンカット風だからこそ自然な表情が出ているんじゃないかなと思うので、その辺にも注目していただきたいなと思います」とオススメし、「ぜひ何回も見てセリフを覚えちゃったりして、みんなで一緒に復唱しましょう(笑)」と沢口節でアピールした。
映画『札束と温泉』
2023年6月30日(金) シネマート新宿他 全国公開
<キャスト>
沢口愛華(高梨リサ役)
2003年2月24日生まれ。2018年ミスマガジングランプリを受賞後、様々な雑誌の表紙を続けて飾る話題のネクストガール。2021年カバーガール大賞10代部門2連覇。22年ABCドラマ『彼女、お借りします』にレギュラー出演。
小浜桃奈(関根ひかる役)
2003年4月2日生まれ。JKのためのウェブマガジン「Emmary」編集長として注目を集める。SEVEN TEENクリエイターモデル チームシンデレラ宣伝部長。『サンデージャポン』『ダウンタウンEX』『踊る!さんま御殿!!』等に出演。
糸瀬七葉(佐々木恵麻 役)
2003年12月31日生まれ。CM『四国電力』『スターキャット』に、『めざましテレビ』ではイマドキガールとして出演中。ドラマ『暴太郎戦隊 ドンブラザーズ』『恋なんて、本気でやってどうするの?』『弁護士ソドム』、映画『小説の神様』『テイクオーバーゾーン』等に出演。
大熊杏優(田中美宇 役)
2002年12月19日生まれ。週刊プレイボーイに初登場して以来、読者から熱烈なラブコールが殺到。SNSでも高い人気を誇り、総フォロワー50万人超えを誇る。映画『17歳は止まらない』メインキャスト。
佐藤京(越智遥 役)
1997年生まれ、秋田県出身。主な出演作に【ドラマ】『Get Ready!』『ムショぼけ』【MV】映秀。『よるおきてあさねむる』、Lenny code fiction『あなたがいなくなったら』など。デビュー間もないながらも映像作品への出演が続いている。
星れいら(水無月綾乃 役)
2000年12月22日生まれ。映画『君の聲、青にささやく』主演。ほか映画『人狼ゲーム/デスゲームの運営人』、ドラマ『悪党~加害者追跡調査~』『ブラックシンデレラ』、舞台『放課後戦記』等に出演。
監督・脚本:川上亮 プロデューサー:岩淵規 主題歌:群青の世界「ハイライト・トワイライト」 撮影:今井哲郎 照明:中嶋裕人 録音:小畑智寛 スタイリスト:小磯和代 メイク:和田弥生 音楽:沢田ヒロユキ 制作担当:田山雅也 助監督:湯本信一 編集:佐野公子 製作・企画:コザイク 制作プロダクション:メディアンド 配給:渋谷プロダクション
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