東急レクリエーションは3月15日、新宿ミラノ座跡地に、4月14日に開業を予定している「東急歌舞伎町タワー」内にオープンする劇場「109シネマズプレミアム新宿」のマスコミ向けの内見会を行なった。

 109シネマズプレミアム新宿は、同社が全国19カ所で展開している「109シネマズ」のノウハウを活かし、新たな(映画の)鑑賞体験を提供する、その名の通りプレミアムなシアター。8つのスクリーン全てがプレミアムな仕様となっており、劇場の基本となる映写・音響のシステムはもちろんのこと、座席についても全席がプレミアムシートになっているなど、すべてに上質さを感じられる仕様にまとめられているのが特徴となる。同社では「感性を開く映画館」をキーワードに、没入体験を提供する、劇場の新ブランドと位置付けている。

 さて、ここでは主に、109シネマズプレミアム新宿内の映写・音響システムについて紹介したい。まず注目なのは、全シアターの音響監修を務めたのが坂本龍一氏であるということ。氏からは「電源」「ケーブル」「増幅(パワーアンプ)」の3点には特にこだわるよう要請があったそうで、劇場側ではそれに応えるための機材(パワーアンプ)の選定には、多くの時間をかけたという。結果、増幅=パワーアンプは、アナログ的な質感が得られる海外メーカーにたどり着いたそうで、強力な電源により、数千ワットの大出力を実現。ケーブルについてはカスタムメイドであり、13AWGの銅線を80本束ねたものをあてがっているそうだ。

画像: 体験会の行なわれたシアター7

体験会の行なわれたシアター7

 体験会の行なわれたTHEATER7は7.1chの構成で、設置されるスピーカーは、正面にLCR+サブウーファー、左右に片方6つずつの12基、背面に4基というもの。LCRは各3ウェイの構成で、それぞれ15インチウーファーを4発備え、ミッドは10インチ、トゥイーターは1.4インチのベリリウム振動板の仕様ということだ。サラウンドスピーカーについても振動板にはベリリウムとカーボンを組み合わせているそうで、高域の再現性にも留意した仕様にまとめている。

画像: 新宿に、映像と音響にこだわったプレミアムな劇場「109シネマズプレミアム新宿」が4月14日にオープン。設備も含めて上質な映画体験が楽しめる

 音響のチューニングについてもかなりの時間をかけているそうで、イコライジングは0.01dB単位、ディレイは1000万分の1秒単位で測定・調整可能な機材を用いて行なっているそうだ。関係者の弁によれば、「まずは完璧なセッティングを施し、そこからボカしていく」ことで、実際に音響を楽しむ際の心地よさを演出しているという。スクリーンは透過型、いわゆるサウンドスクリーンなのだが、同スクリーンで感じやすい高域の刺さりもうまく調整されており、聞くと、そのサウンドホール(孔)は従来よりも小さい仕様にしているのに加え、先述したイコライジングで波形を厳密に調整しているそうで、詳細は後述するが、低域から高域までフラットな再現が行なわれていた。エージングも進んでいるそうだ(音響システムが稼働状態になったのは、昨年の12月ごろという)。

画像: 壁面には反響を抑えるよう凸凹が施されている

壁面には反響を抑えるよう凸凹が施されている

 ちなみに、このプレミアムな音響システムは「SAION -SR EDITION-」と命名されており、SAIONは坂本氏の名前ではなく、“最音”、もしくは“彩音”という意味を込めているそうだ。

 なお、投写機はクリスティの4K仕様となるが、坂本氏の要請により35mmフィルムの上映にも対応できるよう、THEATER8にはフィルム上映システムを装備している。映写機本体は別に手配したそうだが、補器類などは、かつて新宿ミラノ座で使っていたシステムから調達しているそうだ。

画像: 映写機

映写機

 さて、ここからは体験会のインプレッションを簡潔に紹介したい。体験会では、映画作品(The Revenant Main Theme『レヴェナント:蘇えりし者』)、音楽作品(andata「async surround」、honji「坂本龍一 PERFORMANCE IN NEW YORK:async」、Bibo no Aozora「THREE」)が上映されたが、いずれも位相の整った艶やかなサウンドが堪能できた。レヴェナントでは冒頭の水のせせらぎがリアルに再現されており、アトモス仕様ではないにも関わらず、その映像空間の中にいるような感覚が味わえるほど。音楽やセリフ、SEの再現性もよく、微細な音についてもそれぞれがはっきりと聞き取れる上質なサウンドに。特にセリフについては、上述したように、サウンドスクリーンで感じやすい高域の刺さりがなく、聞きとりやすくなっていたのが印象に残った。定位もスクリーン中央にピタッと決まり、映像と音声の一体感も上々なもの。

 音楽作品では、スクリーン周辺への音場空間の創造が見事で、ある意味アトモス館で得られるような、自分より前方に現れる半球状の音場空間を感じられるものとなっていた。

 CD再生については、2chのコンテンツに対して残響を付加するモード(?)もあり、オン/オフを体験したが、通常再生(オフ)ではスクリーン内に広がっていた音場が、オンにするとスクリーンの左右方向にグッと広がるようになり、なかなかに効果のある再現と感じた。

プレミアムな空間を演出

画像: シアター7の座席構成。全席プレミアム仕様で、ゆったりとした空間で映画を楽しむことができる

シアター7の座席構成。全席プレミアム仕様で、ゆったりとした空間で映画を楽しむことができる

画像: CLASS Aのシート(4500円)。座面は手動でリクライニングする

CLASS Aのシート(4500円)。座面は手動でリクライニングする

画像: CLASS Sのシート(6500円)。電動リクライニング、USB充電ポートを備える。左右には衝立?があり、個室的な雰囲気も味わえるようになっている

CLASS Sのシート(6500円)。電動リクライニング、USB充電ポートを備える。左右には衝立?があり、個室的な雰囲気も味わえるようになっている

画像: 上映前にくつろげる空間としてラウンジも用意されている

上映前にくつろげる空間としてラウンジも用意されている

画像: ウエルカムドリンクならぬ、ウエルカムソフトドリンクとポップコーンが楽しめる(無料)。ほかに有料の「ザ・バー」もあり、豊富なラインナップを誇るウイスキーが楽しめるという

ウエルカムドリンクならぬ、ウエルカムソフトドリンクとポップコーンが楽しめる(無料)。ほかに有料の「ザ・バー」もあり、豊富なラインナップを誇るウイスキーが楽しめるという

開業記念オープニングイベント

 開業を記念して、4月14日(金)から5月18日(木)までの期間限定で、坂本龍一氏関連の作品を上映する「Ryuichi Sakamoto Premium Collection」を実施する。

●Ryuichi Sakamoto Premium Collection
『シェルタリング・スカイ』 1990
『トニー滝谷』 2005
『天命の城』 2017
『坂本龍一PERFORMANCE IN NEW YORK: async 』 2018
『Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 2022 +』 2023
※他、上映作品調整中

オープニングラインナップ

『名探偵コナン黒鉄の魚影(サブマリン)』 東宝 4月14日(金)~
『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 運命 』 ワーナー・ブラザース 4月21日(金)~
『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』 東宝東和 4月28日(金)~
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3 』 ウォルト・ディズニー・ジャパン 5月3日(水・祝)~
『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』 東宝東和 5月19日(金)~
『怪物』 東宝 6月2日(金)~
『リトル・マーメイド』 ウォルト・ディズニー・ジャパン 6月9日(金)~
ほか

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