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画像: 4K SCREEN CAPTURE LIONSGATE FILMS | 2022 | 139 MIN | JUL 05, 2022

4K SCREEN CAPTURE
LIONSGATE FILMS | 2022 | 139 MIN | JUL 05, 2022

第95回アカデミー賞主要7部門受賞作。米国公開は昨年4月、UHD BLU-RAY/BLU-RAYも7月に登場していたが、3月劇場公開となる日本ではタイムリーな作品となった。10年前のアカデミー賞ならばここまでの受賞とはならなかったろうが、奇想天外なSFアクションの面白味に加えて、アジア系移民やLGBTQ+の要素を織り込んだことで多様性の観点からも高い評価を得た。監督・脚本は『スイス・アーミー・マン』のダニエル・クワン&ダニエル・シャイナートのコンビ。

脚本を書く上で、ダグラス・アダムスの『銀河ヒッチハイク・ガイド』や、カート・ヴォネガットの作品のような、遊び心のある SF文学が大いに役立った。『素晴らしき哉、人生!』『恋はデジャ・ブ』『マトリックス』『ダイ・ハード』といった、さまざまなジャンルの映画も詳しく調べ上げたよ。今敏や宮崎駿のアニメーションもね。アニメーションを実写映画のストーリーに適用することには、とても楽しく、大切な作業なんだ。私たちが最終的にこの映画の DNA に組み込みたかったのは、家族とコミュニティについてのメッセージだ。(ダニエル・シャイナート)

ミシェル・ヨー演ずるヒロインは中国移民の主婦エヴリン。夫ウェイモンド(キー・ホイ・クァン)は優柔不断で頼りなく、痴呆で頑固な父親ゴンゴン(ジェームズ・ホン)や反抗期を引き摺る娘ジョイ(ステファニー・スー)にも手を焼いている。コインランドリー経営も火の車、国税局から納税申告の不備を指摘され、監査官ディアドラ(ジェイミー・リー・カーティス)にたっぷり絞られる始末。その時、パラレルワールド(並行宇宙)から来た夫が出現。強大な悪によって危機に瀕した、全宇宙を救ってほしい!いきなり世界の命運を託されてしまうエヴリン。ここから物語は千変万化。休息知らずのマルチバース大活劇が繰り広げられる。

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AWARDS

  第95回 アカデミー賞
   ★作品・監督・主演女優・助演男優(クァン)・助演女優(カーティス)・脚本・編集賞受賞
   ☆作曲・歌曲・衣装デザイン賞ノミネート
  第80回 ゴールデン・グローブ賞
   ★女優・助演男優賞受賞
  第57回 全米批評家協会賞
   ★助演男優賞受賞
  第88回 ニューヨーク映画批評家協会賞
   ★助演男優賞
  第48回 ロサンゼルス映画批評家協会賞
   ★作品・助演男優賞受賞

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撮影監督は『COP CAR/コップ・カー』のラーキン・サイプル。2019年グラミー賞最優秀ミュージック・ビデオ賞獲得の『ディス・イズ・アメリカ』(ドナルド・グローヴァー)も彼の仕事である。ARRIアレクサ mini/3.4Kオープンゲート/2.8K 16:9センサーモード撮影。DIファイルは4K。アスペクトは1.85:1、2.39:1、2.00:1、1.33:1と変動。HDRはHDR10とドルビービジョンをサポートする。

私のお気に入りはウォン・カーウァイの映画だった。これまで撮影してきたミュージックビデオにも、カーウァイ作品のニュアンスを詰め込んできた。この映画の基本的な照明とカメラワークは『恋する惑星』『天使の涙』、フレーミングの一部は『ブエノスアイレス』 から引用した。もっとも慎重な撮影となったのは映画スタア・ユニバースで、あのシークエンスはすべて『花様年華』に基づいている。私はフィルムと共に育ち、フィルムに憧れてきた。だがこの映画では、デジタルの便利さが役立ったと思う。グレーディングにも時間を割き、フィルムの持つテイストを盛り込んだつもりだ。(撮影監督ラーキン・サイプル)

画像: 私のお気に入りはウォン・カーウァイの映画だった。これまで撮影してきたミュージックビデオにも、カーウァイ作品のニュアンスを詰め込んできた。この映画の基本的な照明とカメラワークは『恋する惑星』『天使の涙』、フレーミングの一部は『ブエノスアイレス』 から引用した。もっとも慎重な撮影となったのは映画スタア・ユニバースで、あのシークエンスはすべて『花様年華』に基づいている。私はフィルムと共に育ち、フィルムに憧れてきた。だがこの映画では、デジタルの便利さが役立ったと思う。グレーディングにも時間を割き、フィルムの持つテイストを盛り込んだつもりだ。(撮影監督ラーキン・サイプル)

いくぶん軟調なショットも散見されるが、BLU-RAY版をアップグレードした解像度と明瞭さを備えており、監督や撮影監督の視覚的美学を堪能できる。クローズアップやミドルショットの描画力に優れ、衣装や美術装飾のディテイル描画も肌理が細かい。コントラストは幾分控え目。それでも白の鮮度は高く、スペキュラ―ハイライトも余剰を感じさせない。落ち着き払ったような黒レベル。WCG(広色域)による色再現も快調。ドルビービジョンでは原色と二次色相がより安定し、アーストーン、ウォームイエロー、淡いブラウン、そして後半の多様な赤とオレンジが目を奪う。

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サウンドデザイン/音響編集監修は『スイス・アーミー・マン』『透明人間』のアンドリュー・ツィート。フロントステージの完成度が高く、イメージングは広く、説得力がある。ファンタジックなビジュアルを活性化して補完する、変幻自在のドルビーアトモス・ミックスも優秀だ。個々の発声と会話は明瞭度が高く、多彩なバースでの活劇シーンにおいても堅牢、揺るぎはない。

音楽と画像編集のリズムに従うことが重要だった。ドルビーアトモスは本当に役に立った。光の波及効果のようにアトモスを使用したんだ。だが音響効果のひとつでも、音楽のビート、編集リズムと合致しないと、観客は即座にこの物語から引き離されてしまう。最初に行ったのは、厖大な効果音の中から、耳障りな、流れに合わない音を削除することだった。(音響エンジニア、アンドリュー・ツィート)

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ドルビーアトモスはプラットフォームを有効に活用、魅力的なハーフドームのサウンドステージを構築。オブジェクトはアンビエントと個別の効果音に使用され、適材適所でアクティブな効果を上げる。堅牢なローエンドはときに20Hz まで掘り下げられ、活劇シーンの迫真性を高めている。サン・ラックスのスコア(140 分の尺に110 分の音楽)は全体を通して優れた忠実度とディテイルを提供、風変わりな本作の音彩世界に華やかな色彩感を与えている。

UHD PICTURE - 4.5/5  SOUND - 4.5/5

画像: 4K SCREEN CAPTURE 映像平均転送レート 58997 kbps(HDR10)| 7564 kbps(DOLBY VISION 11.36%) 音声平均転送レート 4646 kbps(DOLBY ATMOS | 48kHz | 24bit)

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映像平均転送レート 58997 kbps(HDR10)| 7564 kbps(DOLBY VISION 11.36%)
音声平均転送レート 4646 kbps(DOLBY ATMOS | 48kHz | 24bit)

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