マルチタレント紗倉まなの3年ぶりとなる最新小説『ごっこ』(講談社刊)の刊行記念記者会見が2月20日、版元となる講談社で行なわれた。

画像: 「男性だけでなく、女性にも手にとって読んでほしい」。紗倉まなの最新小説『ごっこ』が発売

 本作は、前作『春、死なん』以来3年ぶりとなる小説集であり、自身4作目の作品だ。『群像』に掲載された3本の短篇を収録した形となるが、そのきっかけは、「(群像の編集者から)恋愛をテーマにした小説を書いてほしい」という依頼を受けたことだったそうで、当時はちょうど執筆に行き詰っていたこともあり、渡りに船という感じで快諾。元から書きたいと思って構想を練っていた物語を形にしたのだという。

 注目してほしい点については、「今までの作品とは違う部分があって、すごく感情が高まってヒステリックというか、躍動感のある話が書けたのではないかと思う」と、自信たっぷりに話してくれた。

 その3本の着想はどのように行ったのかと聞くと、「普段から運転をするのがすごく好きで、日常では何を書こうって悩むことも多いんですけど、運転中は気を抜いているんですかね、ぼんやりと何もしていない時に何かを思いつくことが多くて、こういう展開があったら面白そうだなとか、嫌だなとか、結構、思いつくんです。そこで、自分の過去の恋愛と重ね合わせてみたりして、話を膨らませていって、形にしました」とのことだ。

 「ごっこ」では、登場人物のミツキが東名高速を運転している場面が出てくるが、ドライバーにはお馴染みの高架橋に掛かる標語(?)も登場する。「毎回通るたびに見ていて、印象に強く残っていたこともあって、ぜひ入れたい、と思って入れた」そうだ。

 また、3篇の登場人物たちはみな、ままならない恋愛に大いに振り回されてしまったり、かなり激しいシチュエーションにも陥ってしまう。そのことについて聞くと、「私自身が結構短気で、すぐに怒ったり、クレーマー気質なところもあるので、自分の心の底に濁って溜まっていったような感情を書いてみたい。そう思い、それを感情的な言葉や行動、登場人物たちの激しい気質に落とし込んでいきました」と、登場人物たちに自分の影を投影していたこと話してくれた。ちなみに、「ごっこ」のモチノは、彼女の言葉を形にしたような存在でもあることから、「モチノが一番自分に近い?」と記者に質問されると、「そうですね。でも他の短篇に出てくる女性も、結構自分らしいキャラクターになったと思っています」と、答えていた。

 また、それぞれのラストについては、「ままならない恋愛」「あいまいな関係」という作品のテーマに沿ってか、あいまいな終わり方をするが、その真意について尋ねると、「書きたいことが、書き終わったから(そうなった)」とおどけたコメントもあったが、「あいまいな関係性の中に生きている人物たちなので、この人たちの日常の終わり方も、比較的、私の中ではあいまいなままである方がしっくりくるなと感じていて、そういう終わり方にしました」と、その狙いを話してくれた。

小説集『ごっこ』
著者:紗倉まな
2月22日発売
1650円(税込)
講談社 第五事業部 文芸第一出版部 単行本編集チーム
(C)講談社

●イベント
・オンライントークイベント “ままならない恋愛”について
 2月22日(水) 19時~ @紀伊國屋書店 新宿本店

・大阪サイン会
 3月11日(土) 14時~ @紀伊國屋書店 グランフロント大坂店

・東京トークイベント&サイン会
 3月31日(金) 19時~ @大盛堂書店(渋谷)

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