Amazon(アマゾン)は25日にPrimeVideo新年発表会を開催、同社が今後配信を予定している注目コンテンツを紹介した。
冒頭登壇したアマゾンジャパン合同会社 Prime Videoジャパンカントリーマネージャーの児玉隆志氏は、PrimeVideoの成長戦略について以下のように述べた。
「弊社では、お客様のニーズを起点にサービスを考え、満足度を高めていくような取り組みを進めています。そして昨年3月に、Prime Videoでしか見られないコンテンツをさらに増やしていくこと、中でも映画やドラマの拡充を目指し、さらに新規顧客獲得の戦略的支柱としてスポーツのライブ配信を始めることを発表いたしました。2022年を終えて、この戦略は正しかったことを実感しています。本日はその戦略に基づき、大型企画をご報告できることを嬉しく思っています」
そこで発表されたのが、3月9日からスタートする『2023WORLD BASEBALL CLASSIC(WBC)』のライブ配信だった。日本代表の全試合と、3月16日の準々決勝、準決勝、決勝をライブ配信するという。さらに3月4日の中日ドラゴンズ、3月7日のオリックス・バファローズとの強化試合についてはPrime Videoで独占配信される。
プライム会員であればこれらの全試合をPCやFire TVなどのデバイスで視聴できるし、Prime Videoチャンネル内のJ SPORTSチャンネル(別途登録が必要)と組み合わせれば日本代表以外の試合も楽しむことができるわけだ。
ライブ配信時の解説は、元日本代表監督の稲葉篤紀氏、元日本代表の井端弘和氏と里崎智也氏、福留孝介氏が担当。スタジオコメンテーターには2006年WBC日本代表コーチの辻 発彦氏が予定されている。
発表会にはその中から里崎氏と福留氏が登壇し、今回のWBC侍ジャパンに対する期待を語ってくれた。まずは自身がWBCに出場した際に印象に残っていることを聞かれると、里崎氏は「準決勝の韓国戦での福留さんのホームランですね」と話し、福留氏も「ホームランを打って帰ってきた時にみんなが凄く喜んでくれて、イチローさんがハイタッチしてくれたのが印象に残っています」と語った。
続いて侍ジャパンの栗山監督からのビデオメッセージも上映された。栗山監督は「Prime Videoで『SPY×FAMILY』を見ています」と話して笑いを取った後、「WBCはこれからの野球にとって大きな意味があります。久々にあれだけの選手が集まった大会になったと思うと、嬉しくて仕方がない。だからこそ勝ちに行きます」と力強く宣言してくれた。
なお、今回WBCの配信を決めた理由を聞かれた児玉氏は、「常に我々が意識しているのは、プライム会員の皆さんの最大公約数的なニーズにお答えすることです。大きな投資をする場合はどれだけの人に喜んでもらえるか、見てもらえるかがポイントになります。野球はひじょうにファン層が広いスポーツですし、特にWBCは野球ファンでなくても見逃したくないと思うカードだと信じて配信を決定しました」と答えてくれた。
なおPrime Videoでは上記番組の他に、1月25日に「佐々木朗希×山本由伸 WBC侍ジャパン決戦の地へ」、2月24日には「徹底分析! WBC〜侍ジャパン世界一奪還へ〜」といったスペシャル番組の配信も予定している。野球ファンはこちらも要チェックだろう。
続いてAmazon Original作品としてかわぐちかいじ氏の人気漫画『沈黙の艦隊』が実写映画化されることも発表された。本作は日本のPrime Videoで初となる劇場版映画で、9月29日(金)から全国東宝系で公開される。
発表会には主演/プロデューサーの大沢たかお氏、原作者のかわぐちかいじ氏、プロデューサーの松船真三氏が登壇。劇場版に対する期待を語ってくれた。
まず児玉氏からは、「Prime Videoを立ち上げて以来、日本のプライム会員の皆様に喜んでいただけるエンタテインメント体験の提供に邁進してまいりました。昨年は『ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪』という超大作を世界配信しました。本作のように簡単には実写化できない作品に、優れたパートナーの皆様と共に挑戦していることを報告します」と、実写化に取り組む意気込みが語られた。
原作者のかわぐち氏は、「漫画を描く時は、いつも映像を思い浮かべています。絶対に実写映画にできないものを描こうと思っているので、今回のお話を聞いて、なんと無謀な、と思いました。この作品はテーマ、スケールとも実写化できない自信があったので、早く本編を見たいという期待が膨らんでいます」と実写化への期待を話していた。
大沢氏は、「ちゃんと実写化できるのかという疑問から入ったんですが、スタッフが集結する中で実現できると思えてきました。そういう意味では、今ここに立ってることも信じられないし、予告映像を見ても信じられないですね。最初にかわぐち先生に挨拶させていただいた時も、ほぼ疑いの目でしか見てないなっていうのを感じでいたので、これは頑張らないといけないと思ったのです」と決意のほどを語ってくれた。
ちなみにPrime Videoが劇場映画を作る意図については、「アマゾンは、お客様のニーズを優先していますので、ビジネスモデルはそれに合わせて柔軟に進化させていきます。『沈黙の艦隊』のような大規模な作品は、映画館の大きなスクリーンで楽しみたいお客様も多いと思います。そんな要望に応えるため、今回はPrime Videoのサービスを超えたプロジェクトとなりました」(児玉氏)とのことだった。
本作は昨年夏頃から撮影がスタートしているそうで、海上自衛隊の協力で、本物の潜水艦を使って撮影を行ったことも発表された。「本物の潜水艦にカメラを付けて、動かすようなことは日本初です。すごい映像が出てきますので、ご期待いただきたいです」(松船氏)とのことだ。
そして、もうひとつのAmazon Originalコンテンツが、『風雲!たけし城』だ。こちらは80年代に大ブームを巻き起こし、近年は海外でも人気を集めている視聴者参加型のアトラクション型バラエティで、実に34年振りに復活することになる。
こちらについては、Prime Video日本オリジナルコンテンツ製作責任者の早川敬之氏と、TBSテレビ エグゼクティブプロデューサーの片山 剛氏から紹介が行われた。
早川氏は、「サービス開始以来、視聴者の皆様から、斬新で刺激的なバラエティ番組を作って欲しいといった声が多数寄せられるようになり、我々に求められる強い期待値を感じておりました。そんな中で、日本の誇る素人参加型バラエティである、『風雲!たけし城』をお届けすることが、我々のミッションと思いました。Prime Videoだからできる規模感と仕組みで新たなたけし城をお届けします」と企画意図を紹介した。
片山氏も、「34年前の番組をなぜ今更と疑問に思われるかもしれませんが、実は今でも世界中で配信や放送されていて、去年もある国でリメイク番組が撮影されているなど、今も生き続けているコンテンツです。今回は最新技術を導入して、安全に撮影できました」とコンテンツの魅力を力説していた。なお、今回の撮影はTBS緑山スタジオの20000坪の敷地いっぱいにセットを作ったそうで、その様はさながらテーマパークのようだったという。
さてたけし城といえば、挑戦者たちを応援する攻撃隊長の存在が不可欠だ。今回もオリジナル版と同じ谷 隼人氏が復活、さらに令和の新・攻撃隊長として木村 剛氏が任命された。そして両名も発表会場に登場し、本作への思いを語ってくれた。
谷氏は、「びっくりしました。40代の頃に5年弱やらせていただいたので、34年振りなんですよ。でも思い入れがある番組だったので、今回出演させてもらって嬉しいし、楽しかったですね」と語り、木村氏は「たいへん驚きましたし、光栄な気持ちでした。生まれる前にやっていた番組ですが、子供の頃から伝説的な番組として知っていました。令和の攻撃隊長として関われるので興奮しましたし、谷さんと一緒なのが嬉しかった」と興奮気味に話していた。
その後、本編映像の予告編動画が上映されると、ふたりとも一心不乱に画面を見つめていた。そこでは多くの挑戦者(著名人の参加もあり)が、懐かしいステージや新たに追加されたステージに挑んでいる様が映し出され、木村氏も「3分でこんなに引きつけられるんですね」と感動している様子だった。
『風雲!たけし城』は、4月下旬から配信がスタートするとのことだ。