PIRANHA 1978年
監督 ジョー・ダンテ
製作 チャコ・ヴァン・リューウェン ジョン・デイヴィソン
製作総指揮 ロジャー・コーマン ジェフ・シェクトマン
脚本 ジョン・セイルズ
撮影 ジェイミー・アンダーソン
音楽 ピノ・ドナッジオ
出演 ブラッドフォード・ディルマン ヘザー・メンジース ケヴィン・マッカーシー キーナン・ウィン 
   ディック・ミラー バーバラ・スティール ベリンダ・バラスキー ブルース・ゴードン

画像1: 4K SCREEN CAPTURE

4K SCREEN CAPTURE

かの『JAWS/ジョーズ』の大当たりに肖った作品ではあるが、模造三流品と侮る勿れ、大鮫よりはるかに小粒な肉食淡水魚がワンサカ大群で凶暴性を発揮して手に汗握らせる。手を尽くし娯楽のツボを押さえたジョン・セイルズ(※)の脚本、サービス精神の行き届いたジョー・ダンテの演出は高く評価されるべきであろう。当時ニューワールド・ピクチャーズ(ロジャー・コーマンが弟ジーンと1970年に設立した映画製作・配給会社)には新しい企画『ロックンロール・ハイスクール』と『ピラニア』があり、いずれかがダンテの監督デビュー作となる予定であった。

多くの『JAWS/ジョーズ』リフ(模造作品を意味する)の中で、『ピラニア』はいちばんのお気に入りだ。ジョー・ダンテとジョン・セイルズは、低予算のホラーを即座にカルトの古典に変えることができる才能を持っている。 46年経った今でも、この映画は風変わりで、仰々しく、恐ろしく、遊園地の楽しい乗り物であり続けているのがその証だ。(スティーヴン・スピルバーグ)

ダンテは『ロックンロール~』を監督したかったというが(最終的に『ハリウッド・ブルバード』同様に共同監督で参加)、その理由は『ピラニア』の「脚本が酷かった」ことと「同じ夏に『JAWS/ジョーズ2』の公開が控えていた」からだという。ダンテは監督依頼を引き受ける条件として脚本の改訂を承認させ、コーマンは脚本改訂にセイルズを指名した。ニューワールド・ピクチャーズに『エイトメンアウト』の脚本を売り込みに来ていたセイルズは、もともと作家志望であり、自らの短編小説でオー・ヘンリー賞を受賞した経歴があった。その力量を認めたコーマンの判断にダンテは従ったワケだが、そして結果は、大正解であった。

(※)ジョン・セイルズ:ロジャー・コーマンのもとで『ピラニア』『ハウリング』『アリゲーター』などのシナリオを執筆。その脚本料をもとに(製作費6万ドル)製作・脚本・編集を兼ねた『セコーカス・セブン』で映画監督デビュー。セイルズ監督作品の最大の魅力は、さり気ない会話と奥行きのある人物描写。一定して質の高い映画を作って来たインディーズの雄とも言うべき存在。監督代表作は『ベイビー・イッツ・ユー』『エイトメンアウト』『希望の街』『パッション・フィッシュ』。

画像2: 4K SCREEN CAPTURE

4K SCREEN CAPTURE

撮影は『不法侵入』『ギフト』のジェイミー・アンダーソン。2019年4K DPS(Digital Picture Exchange)からの最新4Kデジタルレストア/HDRグレード。HDRはHDR10とドルビービジョンHDRを採用。シャウト・ファクトリーは2010年BLU-RAY(35mmインターポジ/2Kスキャン/1層/画角1.78:1)と2019年BLU-RAY(35mmオリジナルカメラネガ/4Kスキャン/2層/1.85:1)をリリースしているが、2010年版からは大幅な改善を実現。2019年版との差異も広範に視認できる。

粒子感は中庸、低照度ショットで厚目となる(光学ショットは粗目)。ディテイルレベルと明瞭度が向上、これまで観逃がされた細部情報が掘り起こされている。カラーグレードはウォームトーンに寄せられており、原色や二次色が強化され、昼夜室内外を問わず肌色の再現も説得力がある。HDRはよく制御されており、黒レベルや陰影階調も良好、ハイライトの破綻や黒ツブレも僅少だ。ドルビービジョンとHDR10は一長一短、好みが分かれそう。

画像: 2010 SHOUT FACTORY BLU-RAY

2010 SHOUT FACTORY BLU-RAY

画像: 2022 SHOUT FACTORY UHD BLU-RAY

2022 SHOUT FACTORY UHD BLU-RAY

音響エンジニア(音響編集監修/効果音編集)は『レイダース/失われたアーク《聖櫃》(オスカー受賞)』『ポルターガイスト』『ライオン・キング』のリチャード・L・アンダーソン。2019年BLU-RAY版音声(DTS-HD MA 2.0 Mono)をリユース。2019年版と同様に印象があり、整音は行き届いており、稀な損傷やヒスノイズの瞬間をうまく処理している 。対話の明瞭度も高い。音楽は『キャリー』『ミッドナイトクロス』などのデ・パルマ作品でお馴染みのピノ・ドナッジオ。フルートがリードをとる美メロは聴きどころのひとつ。

UHD PICTURE - 4/5  SOUND - 3.5/5

画像: 4K SCREEN CAPTURE 映像平均転送レート 70000 kbps(HDR10)| 18036 kbps(DOLBY VISION 20.49%) 音声平均転送レート 1789 kbps(DTS-HD Master Audio 2.0 | 48kHz | 24bit)

4K SCREEN CAPTURE

映像平均転送レート 70000 kbps(HDR10)| 18036 kbps(DOLBY VISION 20.49%)
音声平均転送レート 1789 kbps(DTS-HD Master Audio 2.0 | 48kHz | 24bit)

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