11月26日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開されるオムニバス映画『ワタシの中の彼女』は、孤独や不安を抱える日々のなかで、ささやかな希望や人と人との繋がりが描かれる4つの物語。

 2020年に短編映画として発表した『4人のあいだで』が大阪アジアン映画祭でJapan Cuts Awardを受賞し、ニューヨークのJapan Cuts映画祭など数々の国内外の映画祭で話題になったのをきっかけに、新たに短編3作を製作。四編のオムニバス映画として誕生した。
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 11月26日には、映画『ワタシの中の彼女』の公開を記念した舞台挨拶が新宿シネマカリテで行なわれ、主演 菜 葉 菜、共演の草野康太、好井まさお、上村侑、そして中村真夕監督らが登壇した。

画像: 「菜 葉 菜」が一人四役を演じた『ワタシの中の彼女』が待望の公開。「人間ドラマを感じて、その先を想像してほしい」

 最初にこの作品が出来た経緯について、中村真夕監督は「大阪アジアン映画祭ほか、いろいろと話題にしていただいたのですが短編だけだとなかなか劇場で上映するには難しく、濱口竜介監督の『偶然と想像』のような4編のオムニバス映画にしてみようとなりました。第1話目は2020年の夏ぐらいの撮影で、ちょうど最初の緊急事態宣言が明ける頃だったんです。そのあとの3編が去年のちょうど秋(9月)ぐらいの撮影だったんですけど、コロナ禍でも最初の初期の頃と、それからしばらく経った頃とちょっと雰囲気が違うところを楽しんでいただけるんじゃないかと思っています。」と語った。

 続いて、四編で世代も生き方も違う女性を演じた菜 葉 菜は「一つ一つの話の女性はどういう女性だろうということをすごく丁寧に演じて、年齢についてはあまり自分の中では囚われずにやらせていただきました。あとは共演してくださった役者さんたちと一緒にその作品を作り上げていくことを大切に演じました。」と話した。

 第1話に出演した草野康太は「元々、ずっと共演したい、またご一緒したいと思っていた日本を代表する実力派ショートカット女優のお2人とお仕事できて幸せでした。」

 第2話に出演した好井まさおは共演作品も多く、公私共に仲が良い菜 葉 菜について「お友達の面とは別に、女優としてもとてもリスペクトしている方なので、共演というよりは菜 葉 菜さんにおんぶに抱っこ状態で始まって終わったみたいな感じ。(監督が望むことを演じるのに)アドバイス通りにやってみたら監督からOKが出て、菜 葉 菜さんを頼りにしてました」と話す。

 第4話に出演した上村侑は「菜 葉 菜さんとは初めての共演で、ある種の緊張もあり、また役柄的にも目の見えない女性のところにお金を取りに行くという詐欺の受け子の役だったので、なんかちょっと距離感がすごく曖昧な感じで、現場で笑顔になる機会ってのはあんまりなかったんです。ただ、それがすごく作品の雰囲気としては合っていたし、画面を通してうまく出てればいいなと思います。」と話した。

 第3話は、東京の幡ヶ谷のバス停でホームレスの女性の殺人事件をモチーフにした物語で、そのホームレス女性を浅田美代子が演じている。撮影中、どのような話しをしたのかを菜 葉 菜に尋ねると「(浅田さんは)いつもよくしていただいてる大先輩で、今回のこのお話もぜひやりたいと言って下さり、出演して下さったんです。現場に入ると作品全体のことを考えていて、私の芝居を全部受け止めて、『菜 葉 菜ちゃんがこういう風にしたから、私はこうしようかしら』と一緒にその世界を作って下さいました。2人芝居でガッツリお芝居させていただけたのは、幸せでした。」と話した。

 そして、最後に「中村監督ならではの、ちょっとしたファンタジーやサスペンス要素も含まれていて、人間のいろんな側面や顔も垣間見れるような人間ドラマにもなってると思います。皆さんの感性で自由にこの作品を感じ取っていただいたり、答えを出し、見つけていただいたり、そのストーリーの先を想像していただけたら嬉しいです。」とこれから映画を観る会場の観客へ向けてメッセージを投げていた

映画『ワタシの中の彼女』

11月26日(土)よりユーロスペースほか全国順次ロードショー

<作品概要>
一人になってしまっても、ひとりぼっちじゃない。
大きく変わってしまった日常。孤独や不安を抱えながらも、ひとすじの光を求めて生きる4人の女たちを一人の女優・菜 葉 菜(『夕方のおともだち』)が演じる。

第1話『4人のあいだで』は、20年ぶりに連絡を取り合った大学時代の同級生40代男女3人の一晩の物語。
元演劇サークルの3人は、それぞれの場所からZoomのリモートで語り合う。行動制限により自宅待機の夫と息子を持て余す専業主婦・ナナエに菜 葉 菜。事務職をしながらパートナーと暮らすフサエに占部房子(『偶然と想像』)。生活苦だが役者を続けているコウジに草野康太(『モルエラニの霧の中』)。もう一人のサークル仲間で今宵不在のサヨコへの想いが飛び交う。

第2話『ワタシを見ている誰か』は、孤独を抱える在宅勤務のOL・メイとフードデリバリーでアルバイトをする写真家・カズヤが織りなす男女二人の物語。注文料理を届けたカズヤは、メイから「この料理、食べてくれない?」と頼まれ、躊躇するも彼女の前で豪快に食べる。そんな注文を重ねたメイは、カズヤの食べっぷりにだんだんと癒されていくが・・・。孤独を癒す二人の男女の姿を描いた物語。メイには菜 葉 菜。カズヤにはお笑いコンビ・井下好井の好井まさお(Netflixドラマ「火花」)が扮する。

第3話『ゴーストさん』は、2021年、路上生活者の女性が殴られ死亡した実際の事件をもとに描かれた物語。20代後半の風俗嬢・サチは、毎晩、帰宅する帰り道のバス停にいる60代の女性を秘かに“ゴーストさん”と呼んでいる。サチは、ふとしたことでその女性・カヨコがコロナ禍で仕事を失い、路上生活する身になったことを知る。自分と似た境遇だった二人は、お互い一時の救いを見出すが・・・。サチには菜 葉 菜。そして、路上生活者となるカヨコを浅田美代子が演じる。

第4話『だましてください、やさしいことばで』は、盲目の40代の女性とオレオレ詐欺を目論む青年との物語。足の悪い母と暮らすトモコの元に、弟の同僚と名乗るタケオが現れ「弟が入院するからお金を工面してくれ」という。彼女が視覚障害者だと気づいたタケオは、差しだされた貯金通帳と印鑑をくすねようとするが、トモコの本心に触れ、心が揺らぐ。菜 葉 菜が全盲の女性に初挑戦。タケオには上村侑(『許された子どもたち』)。

四編の脚本・監督を務めたのは、ドラマとドキュメンタリーの境界を越えて常に斬新な作品を世に送り出し、国内外の映画祭で高い評価を受けている中村真夕。最新長編映画『親密な他人』では、孤独なシングルマザーの女性とオレオレ詐欺に手を染める青年との不思議な関係を描いた心理サスペンス作品で注目を集める。

『4人のあいだで』菜 葉 菜 占部房子 草野康太
『ワタシを見ている誰か』菜 葉 菜 好井まさお
『ゴーストさん』菜 葉 菜 浅田美代子
『だましてください、やさしいことばで』菜 葉 菜 上村侑

脚本・監督:中村真夕
企画:中村真夕 齋藤浩司 プロデューサー:浅野博貴 撮影監督:辻智彦 録音:菅沼緯馳郎 古谷正志 制作:姫田信也 紫木風太 グレーディング:池田圭 衣装:越中春貴 ヘアメイク:升水彩香 製作・配給:ティー・アーティスト
2022年/日本/カラー/ステレオ/1:1.78/DCP/69分
2022
(C)T-Artist

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