Amazon(アマゾン)は、先日発売を開始した「Echo Studio/グレーシャーホワイト」(¥29,980、税込)に関する説明会を実施、同時に新たに搭載された空間オーディオ処理技術を使った体験会も行われた。
まず登壇したアマゾンジャパン合同会社Amazonデバイス事業部長の橘 宏至氏によると、同社のEchoシリーズはスマートデバイスとしての機能を多く備えているが、その中で一番活用されているのは音楽再生用スピーカーとしてだという。ジャンル名やアーティスト名を話しかけるだけで楽曲が楽しめる利便性はもちろん、最近はプレイリストを活用したり、抽象的な気分・雰囲気を話しかけて音楽を再生するユーザーも増えているようだ。
そんなEchoシリーズのトップモデルとなるEcho Studioは、1インチトゥイーターと3基の2インチミッドレンジ、5.25インチウーファーを搭載したスピーカーで、Amazon Music UnlimitedのHD/UHDクォリティの音源や、空間オーディオ(ドルビーアトモス、360 Reality Audio)を一台で楽しめる。
会場にはEcho StudioのグレーシャーホワイトとEcho Dotが準備され、実際にAmaozn Musicのストリーミング音源を使ったデモが行われた。まずはEcho Dot 1台の状態でNovelbrightの「どうして」を再生、続いてEcho Dot 2台をペアリングしてステレオ再生も行われた。
どちらもヴォーカルは実在感を伴って再生されているが、Echo Dot 1台の状態では低音が物足りないし、音場がこぢんまりしている印象は禁じ得ない。Echo Dotを2台を使ったステレオ再生では空間は広くなって、ヴォーカルの定位感も出てきた。
さらにEcho Studioの1台と2台の違いも体験させてもらう。こちらはSEKAI NO OWARI「Habit」を再生したが、やはりEcho Dotに比べてもヴォーカルの厚み、低音の安定感が増している。2台を使ったステレオ再生ではそこに左右の広がりが加わってくる。若干低音が強めでヴォーカルが引っ込み気味な印象もあるが、気軽に音楽に触れるアイテムとして楽しめるだろう。
続いてEcho Studioの空間オーディオ処理技術を使って、2ch音源をストレートに再生した場合と、イマーシブオーディオにアップコンバート再生した場合の比較も行われた。
なお今回の空間オーディオ処理ではEcho Studioに内蔵された7つのマイクを活用して、自身が再生している音をリアルタイムに解析しながらアップコンバート処理を行っているという。たとえばクロストークキャンセレーションも追加されており、位相干渉がないようにL/Rの音を調整する。またビームフォーミング技術で音に指向性を持たせることで包囲感の演出も加えているそうだ。
ジミー・クリフ「I can see clearly now」で、空間オーディオの効果をオン/オフしながら比較を行った(オン/オフはアプリから可能)。もともとイマーシブで配信されている音源ほど顕著な効果ではないが、オンにすると奥行方向に音場がひとまわり広がってくる。この技術では部屋の反射も測定しているそうなので、リスニング環境に応じた最適化も行われているのだろう。
その空間オーディオ処理は、Amaozn Musicだけでなく、Prime Videoの音源についても同様にアップコンバートしてくれる。つまり、Fire TV CubeとEcho Studioをつないで映画コンテンツを再生するような場合に、2chで配信されている作品でも臨場感豊かに楽しめるということだ。
ただし本機能は2ch音源にのみ有効で、5.1ch音源に対しては動作しない。5.1ch音源は5.1chで楽しんでもらいたいということだろう。ちなみにEcho Studioはドルビーアトモスの再生も可能なので、ドルビーアトモスで配信されている映画作品ならドルビーアトモスの効果を楽しめる。
続いてアマゾンジャパン合同会社Amazon Music Japan ディレクター&ゼネラルマネージャー 島田和大氏が、空間オーディオの現状を解説してくれた。
Amazon Musicでは空間オーディオ音源の配信を2019年にスタートし、2021年からAmazon Music Unlimitedのユーザーに解放した。当初は空間オーディオに懐疑的な意見もあったが、音楽の中に入り込む体験が理解され、最近はコンテンツ制作側でも空間オーディオに対する認識が進んでいるそうだ。
それを受けAmazon Musicでは、空間オーディオがファンとアーティストの距離を近づけると提唱し、空間オーディオを集めたプレイリストの配信も開始している。今回Echo Studioにアップコンバート機能を追加したのは、そんな空間オーディオの雰囲気をより多くの音源で味わって欲しいという想いからとのことだ。
Echo Studio以外のデバイスでの空間オーディオアップミックスへの対応については、既にEcho Show15に搭載済みで(常時オン)、その他についてはこれから検討していくそうだ。