エントリージャパンから、COMPLYのイヤーチップの新製品として、完全ワイヤレスイヤホン専用の「TRUEGRIP PRO Series」が発売された。これは、9月に開催された「秋のヘッドフォン祭2022」の会場で先行展示されていたもので、満を持しての発売となる。価格は1ペアで¥2,180(税込)。
さて、同レポートでも報じたように、TRUEGRIP PRO Seriesには、形状、芯、位置(重心)の3つの要素の組み合わせによって、合計30モデルものラインナップが予定されており、メーカーサイトには製品との適応表も掲載されている。
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コンプライのイヤーチップは、低反発のポリウレタンにより、耳への密着度を高くとれることから、優れた遮音性を発揮するが、今回発表のTRUEGRIP PRO Seriesではさらに、完全ワイヤレスイヤホン使用時に問題となりやすい、イヤホン自体の脱落、装着による耳の痛み、といった項目に対して、同社の持つノウハウを投入して、それを専用品という形で製品化してきたものとなる。
ここでは記者手持ちの製品に合わせて「TW-200-C(Mサイズ)」を選択して試聴。そのインプレッションを簡潔に紹介したい。組み合わせたイヤホンはfinalの「EZ3000」のウルトラセブンver(『ウルトラセブン』&final ZE3000『ウルトラ警備隊モデル』)。加えて対応表には記載されていないが、AVIOTのスケルトンモデル「TE-D01gs」にも装着してみた(無事に付いた)。
さて、そのウルトラセブンモデルは発売以来聞き込んできており、その音質は熟知しているが、イヤーチップをTRUEGRIP PRO Seriesに変えたところ、その音調は一変。正確で繊細ながら、少し線の細さも感じていたそのサウンドは、特に低音の密度が向上し、全体的に音の厚みを感じるものへと変身。少し薄味と感じていたサウンドは、とても濃厚なものになった。と同時に、遮音性が高まるからか、細かい音の再現性も大幅に良くなり、大きな音に隠れがちな微細な音が、その一音一音が、より透き通って聴こえてくるようになった。定位感も増しているようで、音像が頭の中央にスッと浮き立っているのが分かるし、その位置も付属のイヤーチップよりも高いところ(おでこのあたり)に来るのが感じられるものとなっていた。さらに、高域方向にもレンジが拡大している印象を受けた(再生機は同じ)。ちなみに、装着した状態でも充電ケースへきちんと収納することができた。
と、いいこと尽くめなのだが、一つ難点があるとすれば、近年ではイヤホン本体とイヤーチップは一体感を演出するようデザインされていることが多く、このセブンモデルでも、警備隊カラーに合わせて、軸は赤、傘は半透明のイヤーチップが採用されているため、それを黒いTRUEGRIP PRO Seriesに付け替えると、どうしても野暮ったさが前面に出てきてしまう。ということを踏まえると、メーカーには、可能であればカラーライズしたり、半透明にしたTRUEGRIP PRO Seriesをラインナップに加えてほしいと思う。
ちなみに、対応表に記載のないAVIOTのTE-D01gsにも、セブンモデルと同じTW-200-Cを装着できたが、こちらの音調の変化は最小限。遮音性が増すことで、低域や微細な音の再現性が増すのは感じられたが、オリジナルのイヤーチップとの差は少なめ。遮音性を取るのなら、付け替えは有効に働くだろう。