SNSで人気を博した漫画『私、アイドル辞めます』が、世界最大級のアイドルフェス「TOKYO IDOL FESTIVAL」(TIF)の新企画「ソロTIF」として、実写映像化。現役のアイドルが劇中でアイドルを演じるという、実写版「私、アイドル辞めます」として2月18日(金)より劇場で公開中だ。ここでは、主役・太田千優里を演じている実玖(九州女子翼)に、初主演の感想、演技の苦労などについてインタビューした。
――初主演作が無事、公開を迎えました、おめでとうございます。まずは、イオンシネマ板橋、アップリンク吉祥寺での舞台挨拶を終えての感想をお願いします。
ありがとうございます。舞台挨拶は初めての経験でしたので、緊張もすごくありましたけど、やはり一緒に作品を作ってきた共演者の皆さんがいたからこそ、今日も楽しく、無事に、こうして舞台挨拶を終えられたのかなって思っています。
――撮影前には大きなプレッシャーも抱えていたと思いますが、出演が決まってからの、役作りについて教えてください。
太田千優里ちゃんは、とても責任感の強いアイドルなんだなっていうことを、初めて漫画を読んだ時も受けましたし、改めて台本を通して文字として読んだ時も感じました。やはり責任感が強いからこそ、アイドルとして頑張りたいっていう気持ちとか、期待に応えたいっていう気持ちと、なかなかうまくいかないという現実の板挟みを強く感じてしまうのだろうと思います。けど、それはアイドルをしていると皆が通る道だと思うし、私自身、この7年間アイドルをしてきた中で感じたことが詰まった台本になっていたので、役作りというよりかは、その時に感じたこと、似た場面を何度も経験してきた時に受けた感情を、そのままセリフとして言えたらいいなと思って、頑張りました。
――普段は、ガールズグループとしてライブを行なっています。これまで、地元福岡での舞台などでお芝居は経験していますが、実玖さんの中で、お芝居についてはどのように感じていますか?
お芝居には、元々苦手意識があって、I’S9(アイズナイン)に加入したあとも、舞台がある度に、苦手だなって思っていました。なので、苦手意識を持っていたものに対して今回、主演のお話をいただいた時は、この私で成立するのかなとか、私で大丈夫なのかなっていう不安は大きかったです。
――でも、原作のはなさくさんは、実玖さんのことを知っていて、主役 千優里にイメージがぴったりと思っていたそうです。
近くで認めてくれる人がいるっていうことが、すごく嬉しかったです。主演は実玖で、と言ってくださったことに対して、私の全力をかけてお返ししたいと思って、ぜひ、私にやらせてください、とお返事をさせていただきました。
――実際、役作りをしての苦労はありましたか?
セリフを覚えるということよりも、会話を成立させることの方が難しかったですね。会話って、相手がいるからこその感情のキャッチボールがだと思うので、お芝居とは言え、やはり共演者さんと実際に会った時にしか浮かんでこない感情もあるので、それを想像しながらの練習は難しかったです。
――すると、現場ではうまく表現できましたか?
はい! 練習で100まで作ってきた感情を、現場に入ってから120%まで上げるのは、またたいへんではありましたけど、共演の皆さんと一緒に作ってきたものを、今から完成させるということは楽しみでしたし、(メンバーとの)関係性をうまく表現できたなって、すごく感じました。(セリフとは言え)本当に傷つく言葉を言われたら、本当に悲しくなるぐらいに役に向き合えたなと思います。カットがかかっても、心の痛みが続くぐらいの感覚がありましたし、自分の経験とも重なる部分はすごく大きかったと感じました。とにかく、役作りというより、会話(キャッチボール)による感情の表現の方が難しかったですね。
――本作はアイドルのお話ですが、実玖さんがアイドルになりたいと思ったきっかけを教えてください。
子供のころから、実玖は大きくなったらアイドルになるんだと、ずっと思っていたんです。なりたいではなく、職業:アイドルっていう感じです。今思えば、“将来プリキュアになる”みたいな感じでしょうか(笑)。その前はダンゴムシになるって思っていたんですけどね。
ただ、成長すればするほどうまくいかないことも多くなってきて、アイドルになれないかもしれないという時期もありました。けど、それでもいつかアイドルになるって決めていました。
その後、高校の時に入っていたダンススクールで、(今の)事務所の社長と初めてお会いしたんです。その時社長から“あなたはアイドルになりたいよね”って聞かれて、“はい、なりたいです”って即答したんですけど、“また、ご縁があったら……”みたいな反応で……。もうダメなのかなぁ~って、オーディションでもないのにすごく落ち込んで帰宅したのを覚えています。そうしたら後日連絡が来て! すごく嬉しかったです。
――当時、加入してすぐに東京遠征もありましたし、翌年にはグループの全国ツアーもありました。相当にたいへんだったのでは?
まず驚いたのが、東京まで車で行くことでした。山口から東京まで車で行くんですか? って思いながら、そういうものなのかなぁーと、そのまま10時間以上車に乗って、ようやく東京に着いたんです。そうしたら、東京のファンの方たちがとても温かく迎えてくださって! いまでもはっきり覚えているほど印象的でした。
――稽古はどうでしたか?
当時は学生でしたので、学校が終わってから毎日、バスで山口から福岡まで通っていて、バスの中で動画を見ながら必死ダンスや歌を覚えて、着いたら稽古をしてもらって、という日々を過ごしていました。途中加入なので、私がダンスや歌を覚えないと持ち曲を披露できないため、そのプレッシャーに負けそうになりながら、帰りのバスの中ではいつも泣いていて、運転手さんに慰められるっていう日々でした。今思い出しても、その時が一番苦しかったと思いますけど、それがあるからこそ、今、頑張れているんだと思います。
――実玖さんにとって、アイドルとは何でしょう?
私には、なくてはならない存在ですね。おそらく、私がアイドルじゃなかったら生きていけないと思うぐらい、本当に素敵な存在ですし、すごく大事なものです。加えて、私はほかのアイドルを見るのも好きで、アイドルからいろいろなものをもらっているからこそ、私も、私にしか届けられないものがきっとあるんじゃないかなと思っているので、これからも、それをファンの人たちに届けて行きたいです。
――最後に、おススメシーン(見どころ)をお願いします。
電話をするシーンに注目してほしいです。初日の最後の撮影だったんですけど、演技に自信がなかった私を、監督が、すごく良かったよって褒めてくださったんです。それがもう、泣きそうなぐらいすごく嬉しくて! ホテルに帰ってからも、“明日も私にできることをもう精一杯やろう”、そう奮起させてくれるぐらい、私の中ではすごく印象的だったし、映画として観た時もすごく大事な、鍵になるシーンだと思うので、見どころかなと思います。ぜひ、注目してください。
実写版「私、アイドル辞めます」
2月24日(木)までアップリンク吉祥寺、イオンシネマ板橋にて上映中
<キャスト>
実玖(九州女子翼)
工藤菫(アップアップガールズ(仮)) 古牧みず(星空☆彡DayS) 桜田華奈(きみとのワンダーランド) シイカ(リリスリバース) 新庄愛(メイビーME) 夏目ベール(純情のアフィリア)
<スタッフ>
原作:はなさく『私、アイドル辞めます』(集英社刊)
監督・脚本:川井田育美
配給:株式会社sommelierTV、株式会社エスピーエスエス
制作:株式会社sommelierTV
製作:実写版「私、アイドル辞めます」製作員会
(C)2022 TOKYO IDOL PROJECT