ソニーAIは、飛躍的な進歩を遂げた超人的人工知能(AI)、「グランツーリスモ・ソフィー」(GTソフィー)を発表、世界中のプレスに向けたワールドワイドの発表会を開催した。
株式会社ソニーAIは、AIの基礎的な研究開発を推進し、人類の想像力とクリエイティビティを拡張させるAIの創出を目指して、日米欧グローバルに拠点を置く新会社として2020年4月に設立された。
今回のGTソフィーは、同社と株式会社ポリフォニー・デジタル(PDI)およびソニー・インタラクティブ エンタテインメント(SIE)の3社の専門知識を結集させ、プレイステーション4用リアルドライビング シミュレーター『グランツーリスモSPORT』で世界最高峰のドライバーをも凌ぐAIエージェントであり、AIを活用した新たなゲーム体験を世界中のプレイヤーに提供することを目的として開発されている。
新たな深層強化学習プラットフォームを利用して開発された自律型AIエージェントで、世界最高峰のドライバーと競い合うために必要な3つの要素を、トレーニングを重ねることで習得している。
その3つとは、「レーシングカーの制御」(車の挙動やドライビングライン、難易度の高いコースを攻略するための精密な操作に関する深い理解)、「レースでの戦術」(レース状況を元にした瞬時の意思決定、および攻守の駆け引きを含む戦術の組み立て)、「レースマナー」(フェアプレイに
欠かせないマナーを含む、明確には定義されにくいスポーツパーソンシップ)だ。
今回の発表会では、「SOPHY ROUGE」(赤)、「SOPHY LAVANDE」(紫)、「SOPHY EMERAUDE」(緑)、「SOPHY GRISE」(グレー)という4人(種類)のGTソフィーと、4人の『グランツーリスモSPORT』トップランカーによるエキシビションマッチも公開された。
イタリア、レイクマジョーレサーキットを3周するレースでは、ポールポジションでスタートしたSOPHY ROUGEが先頭をキープ、続く山中智瑛選手がSOPHY LAVANDEの猛攻を抑えて2位を獲得した。また宮園拓真選手と國分諒汰選手、龍翔太郎選手もSOPHY EMERAUDE、SOPHY GRISEをかわして4〜6位に入賞している。
解説によると、これまで行われたレースでは、GTソフィーによる予想外のコース取りという新しい発見があった反面、レースマナーの点で問題も見受けられたそうだ。しかし今回のエキシビションではそのマナーも遵守されており、AIの成長が確認できたという。
リアルドライビングシミュレーター『グランツーリスモSPORT』を通じてカーレーシングという難度の高いスポーツをマスターしたことはAIの飛躍的進歩であり、その成果は2月10日に発売されたNatureに「深層強化学習でグランツーリスモのチャンピオンドライバーを凌駕する」という論文として掲載されたそうだ。
なおソニーAIとPDIは、GTソフィーを『グランツーリスモ7』のオプションとして提供する予定だという。その場合GTソフィーをコーチにする、あるいは生徒として育成する、一緒にレースを楽しむといった役割が考えられるそうで、詳細はこれから検討していくという。GTソフィーのリリース時期は未定だが、ファンにはゲームの新しい楽しみ方として歓迎されることだろう。