1974年に連載が開始された永井豪・石川賢による『ゲッターロボ』をはじめとしたロボット作品シリーズ≪ゲッターロボ・サーガ≫。その最終章となる『ゲッターロボアーク』を原作とした最新TVアニメ『ゲッターロボ アーク』が、2021年7月4日(日)21時より放送開始となる。

 放送開始を控えて、原作として石川賢とともに名を連ねる 永井豪のインタビューが到着した。1970年代当時、永井豪は『デビルマン』『マジンガーZ』『ドロロンえん魔くん』『キューティーハニー』など異なるジャンルで次々とヒット作品生み出していたが、そんな中で、合体ロボットという新たなコンセプトの作品として企画が開始されたのが『ゲッターロボ』となる。「キャラが動いているのが好きで、アクションの演出も上手。彼の才能はつねに感じていた」。永井がそう語る、盟友・石川賢に漫画連載を託したキャラクターとストーリーは、今も多くのファンの心を捉え続けている。

<永井豪 インタビュー>
――1972年に『デビルマン』と『マジンガーZ』が始まり、1973年に『ドロロンえん魔くん』と『キューティーハニー』、1974年に『ゲッターロボ』、さらに1975年に『鋼鉄ジーグ』と、当時の仕事量は殺人的ですね。

 『マジンガーZ』が高視聴率だったおかげで、次々と依頼が来ました。もうすごいですよね。今でも本当に信じられないです(笑)。どんどん連載が増えて、漫画の仕事も僕の負担も大きくなって。よくあんなことができたなぁ……。

――そんな忙しい最中に『ゲッターロボ』の企画が立ち上がります。

 企画そのものは東映動画(現・東映アニメーション」)の有賀健プロデューサーとダイナミック企画の永井隆が話をしてスタートしました、彼(永井隆)は商売人(笑)だから、玩具の展開を見越して「主役は3体です!」と。それが有賀さんに好感触だった。それで「こんな企画をやるんだ」と説明を受けたのですが、「三機が合体変形して、それぞれが違う形になる」と聞いて「コイツは何を言ってるのかな?」と思いましたね(笑)。でも東映動画としては滅茶苦茶乗り気で、「すぐに番組になると思うので、是非やってほしい」と。そんな状態で『ゲッターロボ』はスタートしました。

――漫画は石川賢先生が担当することになります。

 アニメの企画がいけそうだとなってきたところで、「連載が決まらないと最終決定が出ません」という話が出てきました。いずれにせよ僕は『マジンガーZ』があるから連載は無理だろうと。それで企画段階のデザインから石川(賢)ちゃんが入っているんだから、「石川ちゃんにやってもらうしかないよ」と隆に言って、「それじゃ説得してみるよ」という話になったんですよ。

――ゲッターロボのデザインはゲッター1が石川先生、ゲッター2とゲッター3が永井先生だそうですね。

 はい。ゲッター1はすぐできたんですが、石川ちゃんがそこから「あとは作れない」と。「1を作ったんだから全部作れよ」と言ったんですが、「作れない、作れない……」と延々やってる(笑)。なのでその場でサラッと描きました。そうしたら石川ちゃんが「ええっ、早い~」と驚いてて(笑)。石川ちゃんは現実に上手く合体できるかどうかを真剣に考えちゃうんだけど、「アニメはウソが効くから、そんなの考えなくていいんだよ。合わなくても絵でゴマせるから大丈夫」と。

――そうして石川先生による『ゲッターロボ』がスタートします。

 石川ちゃんの場合は、僕に近い絵が描けるし、アクションシーンの演出をやるのが上手い。だから「ロボットアクションも(人間と)一緒だから。得意だからやれるよ」と言ってたんだけど、石川ちゃんは「人物設定が自分には向いていない」と言いだして……(笑)。もともとサッカー部のキャプテンという設定は決まっていましたし。だけど「サッカーなんて全然わからないし……」というんで、「好きなように変えてもいいから。主人公の名前とロボットが一緒だったら、あとは石川流でやってくれよ」と。少年サンデー編集部も石川ちゃんで描くというのは乗り気だったんですよ。『風魔孤太郎』を連載した実績がありましたから。だから石川ちゃんでいきたいというのもスムーズに決まったんですけど、本人が一番悩んでいた(笑)。

――永井先生からみて、石川先生はどんな漫画家でしたか?

 器用だし、筆は速いし。キャラクターをいつも沢山描いてもらっていたせいか、モブシーンが滅茶苦茶得意になっちゃってましたね。わざわざ自分でもモブシーンを作って描いたりしていた。とにかくキャラが動いているのが好きで、アクションの演出も上手です。彼の才能はつねに感じていました。

――石川先生が『ゲッターロボ』を描いたことで、どんな化学反応が起きたと思いますか?

 あれによって石川賢がマンガ家として、編集者など出版関係の人たちにしっかりと認識されたと思います。それまでは連載や読切をやったとしていても、そこまでマンガ家として確立できたという感じではありませんでした。『ゲッター』でテレビに名前も載りましたし、各出版社も「石川賢という、永井豪とは別のマンガ家がいるんだ」としっかり認識したのだと思います。

――『ゲッターロボ』『ゲッターロボG』と続いて、その後、『ゲッターロボ號』(1991年2月連載開始)が改めて始まります。

 「『ゲッター』は石川ちゃん」みたいな感じで、基本はずっとお任せでした。『ゲッターロボ號』の時はキャラクター原案だけやりましたが、『ゲッター』のマンガは石川ちゃんにどんどん進めてもらえればいいやと。彼もいろいろな新しい設定を作っていって、敵も石川流にどんどん面白いものを考えてくれて良かったと思います。

――アニメ『ゲッターロボ アーク』への期待を聞かせてください。

 予告映像を見せてもらったところ、たしかに石川賢のキャラクターが動いているなと感じられるもので、すごく嬉しかったです。これを本人に見せてあげたかったというのが一番の気持ちです。どんなに喜んだだろうかと思います。これが本編になれば僕自身も、石川賢を思い出しながら見られるのではないかと思います。ファンの方も楽しんで見ていただければうれしいです。
(了)

『ゲッターロボ アーク』
2021年7月4日より「AT-X」毎週日曜21時ほかにて放送開始
★放送開始まであと一週間! 毎日12:00に本編の映像を使用したカウントダウンPVを公式Twitterで展開中!
<最新情報は「ゲッターロボ アーク」公式Twitter(@getterrobot_arc)をチェック!

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