4月21日のApple Eventでの発表以来、オーディオビジュアルファンの間で注目を集めているのが、新しい「Apple TV 4K」でしょう。
Apple TV 4Kの新製品は今月末からの予約受付で、発売は5月下旬とのこと。HDRコンテンツのハイフレームレートに対応し、さらにカラーキャリブレーション機能も搭載しているとか。
映画ファンとしては、このカラーキャリブレーションという言葉は見逃せません。そもそもテレビの絵づくりはメーカーによって異なるわけで、その中から自分の好みに合った製品を選んでチューニングしていくのがオーディオビジュアルの趣味としての楽しみ。
とはいえその出発点、作り手が考えているカラーバランスとはどんなものなのかを知りたいという思いはオーディオビジュアルファンならみんな感じているはずです。
今回のカラーキャリブレーション機能は、「世界中の撮影監督が採用している業界標準の仕様と比較」(Appleの発表)しているとかで、ひとつの参考になることは間違いなさそう。
とはいえそのためにApple TV 4Kを買い換えるのもなぁ、と思っていたら、なんと従来モデルでもtv OSをアップデートすれば使えるようになるとのこと。スキャン用にFace ID対応のiPhoneが必要だけど、こちらはつい先日iPhone12に機種交換したばかり。
両デバイスともも「OS14.5」が今週公開されるとのことで、昨日から楽しみにしていたところ、今朝早くにスタートしていた。……ということで朝イチからさっそくアップデートを開始。iOSは1時間ほどで終わったのですが、tvOSはなぜか2時間半もかかってお昼過ぎにやっと終了。
まずはリビングのプラズマを使ってカラーキャリブレーションを試してみます。
操作はとても簡単で、Apple TV 4Kのメニューから「ビデオとオーディオ」→「カラーバランス」を選ぶと、リンクしたiPhoneの画面にカラーバランス測定用に使うかの確認が表示されます。ここで「続ける」を選んで、テレビ画面上に表示されている測定エリア内にiPhoneが来るように設置するだけ。
測定エリアに赤、青、緑、白の4色が表示され、それをiPhoneのセンサーが読み取ることでカラーバランスと輝度を測定しているようです。今回は外光の影響がないように(昼間のリビングなので)iPhoneをパネルにぴったり押し当てていますが、パネルから2.5cm以内なら測定はできるようなので、それによっても測定結果に違いがでるかもしれません。
測定自体は数十秒で終了し、測定結果の確認画面が表示されます。ビーチの空撮動画が流れ、リモコン操作で測定前と測定後の映像が切り替えられるというもので、さてその結果は?
わが家のプラズマテレビはパイオニアの名機「PDP-5000EX」で、画質モードは「映画」、画面モードは「Dot by Dot」で使っています。カラーキャリブレーションもその状態で実施。
確認画面で測定前と測定後を比べてみると、白いビーチのヌケ感がよくなって、砂粒のディテイルが浮き立ってきた。さらに水に濡れた砂場も、測定前は赤茶色が濃い目でややべったりしていたけれど、測定後は赤みが抑えられてすっきりとした印象に。色の純度もあがっている。
カラーキャリブレーションをしても絵ががらっと変わらなかったのは、PDP-5000EXの映画モードが(使い込んでいるとはいえ)ちゃんとしている証でしょう。でも画面全体としてはコントラスト感がアップして、夏の日差しを感じる絵柄に変化しているので、確実に恩恵はありそう。
さてわが家でApple TV 4Kを見る時は、プラズマよりもプロジェクターを使うことの方が多いのです。なので、今回のカラーキャリブレーション機能がプロジェクターで使えるかが実はとっても気になっていたりするのです。
ただわが家は遮光対策の関係上、きちんとした環境でプロジェクターを楽しめるのは夕方以降。ということで、あと数時間待って、この機能がプロジェクターにも有効かを確認したいと思います。iPhoneをスクリーンに向けるべきか、レンズに向けるべきかなど検証が必要な点も多いので、そのあたりを含めてご紹介しましょう。お楽しみに。(取材・文:泉 哲也)