米のオーディオブランドSkullcandyから発売された、ノイズキャンセル機能搭載の完全ワイヤレスイヤホン「Indy ANC」(¥12,980税込)。これは、同社現行のスティックタイプの完全ワイヤレスイヤホン「Indy」のラインナップながら、搭載ドライバーを6mm径から倍の12mm径にアップし、さらに近年流行のノイズキャンセリング(ANC)機能を搭載した注目の製品だ。ここでは、試聴サンプルを入手できたので、そのサウンドについて簡潔に紹介してみたい。
まず、素の音の印象としては、従来のIndyの倍の口径のドライバーを搭載したこともあって、スカルキャンディーと言えばその“低音の再現性”に注目が集まるが、本Indy ANCではそれにさらに磨きがかかった印象。完全ワイヤレスモデルの中では、かなり強烈と言える低音が再現されており、迫力のあるサウンドとなっている。一方で、低域の再現に重きが置かれてすぎているようで、中高域については少し控えめというか、こもった感じになってしまう。
そこで、本Indy ANCのもう一つの特徴でもある、ユーザー一人ひとりの耳の聴こえ方に調整したサウンドが楽しめるAudiodoの「PERSONAL SOUND」測定を行なってみる。これは、2019年10月発売の同社ワイヤレスレスヘッドホン「Crusher ANC」に初搭載された機能で、別途スマートホン用のアプリ「Skullcandy」(Android/iOSを用意 無償)と組み合わせて、聴力測定のような「ピーピー音」が聞こえたかどうかを「yes」「no」で答えるだけで、個人の音の聴こえ方に合わせたサウンド(波形)を再生してくれるものだ。
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さて、Audiodoにてパーソナライズした状態で音楽を聴いてみると、高域がスッと伸びて一音一音がクリアになった印象。音場感も少し広くなったように感じる。これは、常時「PERSONAL SOUND」機能をONでもいいなと思わせるに充分なもの。注意点したいのは、測定は静かな部屋で行なったほうが良い結果が得られる、ということ。チェック音はかなり小さいので、周囲の騒音にかき消されてしまう可能性があるからだ。筆者も3回ほど測定を行なったが、静かな場所で測定をしたほうが得られた結果はよいものとなった。
続いては、もう一つのフィーチャーであるANC(ノイズキャンセリング)についてテストしてみたい。通勤で使っている地下鉄は、緊急事態宣言が解除される前から、コロナ渦の前とほぼ変わらない混雑ぶりで、人も騒音も充分にあるので、まさにテストには打ってつけ(笑)。
早速テストしてみると、送風機からのボーという音や、ゴーという走行音は綺麗に消してしてくれる印象。周囲の騒音もキャンセルしてくれるので、頭の周りが急に無響室になったような感覚を受けてしまうほど。ただし、効き目はいかにもという強めなものではなく、自然な雰囲気にまとめられている。しかし、音楽の高域が影響を受けているようで、上側が少し丸まり(こもり気味になる)、低音が少し強くなる印象。それとともに定位感も下がってくる。
ここは効果(ANC)を取るか、音質を取るかの選択を迫られるが、実は本機が持っている音声モードを使うとうまくクリアできた。通常は「MUSIC MODE」が選択されているが、これを「MOVIE MODE」にすると、声の帯域が少し強調されるようで、クリアで聴きやすくなると同時に、伴奏(曲)とのバランスもよくなり、声と曲(演奏)のマッチングもよくなった。常時ANCをONで使う場合は、好みにもよるが「MOVIE MODE」を使うという選択肢もいい結果を得られるだろう。
イヤーピースの装着感は上々で、スタビリティジェル(いわゆるイヤーフィン)と合わせてしっかりと耳に収まってくれる。面白いのは、イヤーチップの羽の部分にスカルキャンディーのロゴが作られているためか、装着時に多少の気道が確保されるようで、耳栓をした時のような詰まった感じがしないのは好印象。半面、遮音性はそれほど高くないが、周囲の音がダダ漏れでうるさいというほどではない。
気になったのは、風の強い場所(地下鉄車両入線時の風圧とか、屋外の風の強い場所)で、ANCをONにして装着している際の風切り音。本機はノイズキャンセル用のマイクを外側と内側に搭載するハイブリッドタイプであるためか、風切り音をマイクで拾ってしまうようで、実際には聞こえない風切り音=余計な雑音が再生されてしまう。その際は、ANCをOFFにするといだろう。
総じて、ANCの聞き具合もよく、ユーザーの聴こえ方に調整されたサウンドが楽しめる点は、完全ワイヤレスイヤホンとして、アドバンテージになるだろう。
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