先週末、山下達郎さんのライブがストリーミング配信されるという発表があり、音楽ファンの間に衝撃が走った。
達郎といえば、日本人なら絶対その楽曲を聞いたことがあるアーティスト。その一方で大規模な会場でのライブを好まず、チケットはいつも争奪戦になっている。しかもDVDやブルーレイが発売されていないので、ライブに参加できること自体がレアなわけだ。
そんな貴重なコンテンツを自宅で楽しめるというのだから、ファンならずとも気にならないはずはない。まずは今回の配信の概要を整理しよう。
『TATSURO YAMASHITA SUPER STREAMING』配信詳細
●配信日時:2020年7月30日(木)20時00分〜21時10分頃まで
●チケット料金:¥4,500(税込)※イープラスでの購入手続きが必要
●チケット購入受付URL:https://eplus.jp/musicslash730/
●チケット購入受付期間:7月12日(日)15時00分〜7月24日(金)18時00分まで
●視聴方法:安定した回線環境において、ご自身の端末でご視聴ください。購入前に必ずログインのトライアル( https://trial.musicslash.jp/ )を実施し、ご自身の視聴環境で視聴可能か確認の上、ご購入ください。
視聴の流れとしては、事前にオンラインでチケットを購入するとチケット番号とパスワードがメールで送られてくる。7月30日の配信時に指定されたURLにアクセスして、その番号とパスワートを入力するとライブを楽しめるという手順だ。視聴はブラウザ経由で、スマホ用アプリなどは準備されていない。
今回は動画配信サービス「music/slash」のシステムを使っているが、同社サイトによると配信の画質はH.264(MPEG4)圧縮の1080pクォリティで、音質はAAC-LCの384kbpsとのこと。視聴時の推奨ビットレートが15Mbpsだから、品質にも配慮されているのは間違いなさそうだ。
となると、オーディオビジュアルファン的にはこの配信をいかにいい絵といい音で楽しむかが最重要課題となる。
一番簡単なのはスマホやPCを使って視聴するスタイルだが、それらでは8インチや13インチ画面がせいぜいで、そんなサイズで音楽ライブを観ても没入感は得られない。ましてやスマホやPCの内蔵スピーカーでライブを聴いても空しい……(個人的な体験からの判断です)。
せっかくホームシアターが目の前にあるのだから、なんとかして愛用システムで達郎のライブを再現できないものか? ということで、準備されたトライアルページを使って検証してみた。
まず、PC(マックブックAir)からAirPlayでApple TV 4Kに信号を送ってプロジェクターで再生してみたが、マックブックAirの画面には映っているのに、プロジェクター側はブラックアウトしてしまった。現状ではこの方法では再生不可能ということ。
同じように考えている人も多いようで、music/slashのツイッターにはiPhoneやPCからテレビへのミラーリングがうまくいかないといった質問も多数見受けられる。どうやらこれはセキュリティ上の問題のようで、配信元ではライブ当日までに対策をすると説明している。
これとは別に、スマホやPCからHDMIケーブル経由でテレビ等につなぐという方法もあるが、ここで注意が必要なのがmusic/slashの映像と音はHDCPに対応したデバイスじゃないと伝送できないこと。Lightning-HDMI変換ケーブルも多く販売されているが、安価なPC用はHDCP非対応のものがほとんどなので、今回のライブ再生には使えません。
また個人的にはPCのHDMI出力をプロジェクターにつないで110インチに投写すると、どうしてもコントラストレンジの狭い、甘い絵に思えてしまう。それもあって、今回は別の方法にしたいと思っている。
ではどうするか? 今回試したのはAmazon Fire TV Stick 4Kを使った再生だ。実はmusic/slashのサイトではFire TV Stickは“動作対象範囲外”となっている。その理由はわからないけれど、先述したように今回はブラウザ経由での配信なので、インターネットにアクセスできれば大丈夫なのでは、と考えたわけ。
ということで手元のFire TV Stick 4K(訳あってアメリカ仕様ですが、動作は日本仕様と同じ)にブラウザアプリのAmazon Silkをインストールし、music/slashのトライアルURLを打ち込んでみる。するとすんなりメニューが表示され、体験映像が絵・音ともに最後まで再生できてきまった。
この状態では、映像は4K、音はドルビーデジタルプラスの2chにFire TV Stick 4Kで変換されているようだが、それでもPCからHDMI経由で再生した時よりも印象はかなりいい。シーンチェンジなどで若干ブロックノイズが目につくが、110インチでこの映像品質なら “ライブを体験した” という気分になれるでしょう。
先述したようにFire TV Stickは“動作対象範囲外”なので、本番でも絶対大丈夫という保証はない。でもせっかくだから、わが家では7月30日はこの方法を試してみようと思っている。
なお多くのアンドロイドTVでもブラウジングは可能なはずなので(アプリのインストールが必要な場合もあり)、アンドロイドTVのユーザーはこの方法を試してみてはいかがでしょう?
ちなみに達郎以外に、角松敏生さんも無観客ライブ配信を決定。「TOSHIKI KADOMATSU Performance “SUMMER MEDICINE FOR YOU 2020”」と銘打って、7月25日19:30 から配信が行われる。こちらはFire TV Stickでの視聴もOKということだし、チケットを手配せねば。
「TOSHIKI KADOMATSU Performance “SUMMER MEDICINE FOR YOU 2020”」
●配信日時:2020年7月25日(土)OPEN 19:30/START 20:00(予定)
※角松さんの生MCが付いた配信は25日当日のみ。8月2日24時までアーカイブ配信あり
●チケット料金:¥3,500(税込)※イープラスでの購入手続きが必要
●チケット購入受付URL:https://eplus.jp/kadomatsutoshiki0725st
●チケット購入受付期間:7月11日(土)12:00〜8月2日(日)21:00まで
(取材・文:泉 哲也)