ROGUE ONE:A STAR WARS STORY - 4K UHD BLU-RAY
‘Rogue One’ embraces and expands the ‘Star Wars’ universe, and looks great doing it
Release Dates (Theater):Dec 16, 2016
Domestic Total Gross:$532,177,324
(International: $523,879,949)
FILM
かの『スター・ウォーズ・サーガ』のスピンオフ・アンソロジー・シリーズ第1弾。いまさら申すまでもないが、これは『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』前夜の物語であり、スピリット・オブ・1977を継承する作品だ。帝国軍に支配が全銀河に及ぶなか、帝国軍の象徴たる宇宙要塞デス・スターが完成間際に迫っていた。反乱軍の有志たちは極秘部隊『ローグ・ワン』を結成、デス・スターの弱点を記した設計図を盗み出すという任務を命を賭して遂行する。選ばれしメンバーが困難な作戦に挑む映画と言えば、オールドファンは『七人の侍』や『十三人の刺客』といった作品を思い起こそう。洋画で言えば『七人の侍』のリメイク『荒野の七人』、さらには『ナバロンの要塞』『特攻大作戦』などが挙げられ、60年代アクションの人気ジャンルであった。70年代以降も興味深いバリエーションをもって映画ファンを楽しませてきたが、ここでも群像ドラマとチームワークのプロセスをきっちりと描きつつ、宇宙という舞台でスリリングな見せ場を用意して作戦の困難さを際立たせて魅せた。クライマックスでは非情な場面も用意されるが、これも綺麗ごとでは済まない(チームの生存率もほとんど望めない)作戦の現実を提示して、まこと見事である。この作品をジョン・スタージェスやロバート・オルドリッチが演ったら、果たしてどんな映画に仕上がっていただろうか、などと考えながら、充実した134分を過ごさせてもらった。感謝!
主演は『博士と彼女のセオリー』で高い評価を得たフェリシティ・ジョーンズ。共演に『天国の口、終りの楽園。』でヴェネチア国際映画祭/マルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)を獲得したディエゴ・ルナ。脇を固めるのはベン・メンデルソーン、ドニー・イェン、マッツ・ミケルセン、リズ・アーメッド、フォレスト・ウィテカーといった通好みの顔ぶれ。監督は『モンスターズ/地球外生命体』『GODZILLA ゴジラ』のギャレス・エドワーズ。演出はもちろん、興行成績の面でもファンからの大いなる期待に応えてみせた。
VIDEO
撮影は『ゼロ・ダーク・サーティ』『LION/ライオン ~25年目のただいま~(オスカー・ノミネート)』のグレイグ・フレイザー。アリ・アレクサ65(6.5Kオープンゲート)アナモフィック撮影。DIファイルは4K。HDRはHDR10(ストリーミング特典ではドルビービジョンを楽しめる/北米のみ)。映像平均転送レートは46.6Mbps(peak luminance: 4000 nits)。収録アスペクトは2.39:1。
ローキー調を意識した絵作りとはいえ、ゴージャスな明快さとコントラスト鮮度を持ち、BLU-RAY版の描画力を大幅に改善、全編にわたって壮観な印象を与えてくれる。マクロブロッキングやバンディングも僅少。(筆者は確認していないが)Disney +ストリーム(映像15〜25 Mbps)と比較しても優れた次元の画像を提供しているはずだ。それはオープニング・シークエンス(ジンの故郷)から明快となり、灰みのカラースキームが支配的なパノラマショットにみる細部ディテイルとオブジェクト描画力に注目されたい。ポストプロダクションで追加されたソースノイズの細粒層でコーティングされており、イメージ全体にフィルムルックな粒子感を与えている(BLU-RAY版では適切に処理されていた)。注目はアレクサ65と組み合わせたアナモフィックレンズ・キャラクターにある。ここではパナビジョン・ウルトラパナター・レンズを軸に(アクション・シーンなどで、より小型軽量の)ホーク65レンズが組み合わされるが、これらのレンズはいずれも1.3倍のアナモフィックスクイーズ比を持つ。とりわけ前者の40mm~50mmレンズは、ソフトでグラマラスでどこかオールスクールな味わい、透明感のあるイメージレンディションとオーガニックな質感を持つテクスチャの絶妙なバランスを持つ画像を実現。円柱コンポーネントを使用してレンズに焦点を合わせるパナビジョン独自の技術を利用して、球面機構を備えたアナモフィックレンズよりもアナモフィックな外観を強調してみせている。すなわち楕円形のデフォーカスの代わりに、円柱形の補正は垂直方向にバイアスされたデフォーカスをより強調しており、その結果、被写界深度が浅く、水平フレアを含む従来の属性の多くを備えた、よりアナモフィックなルックスを持った映像を再現するのである。加えてユニークな芸術的品質を生み出すアナモフィック画像の生成と同時に、最新のデジタルセンサーのより多くのキャプチャ領域を利用するという技術的利点も提供しており、この味わいは高品位な大画面再生によってより強固なものとなろう。
当然のことながら、本盤のハイライトとなるHDRグレードは拡張されたコントラスト、なだらかな肌の色調、ゴージャスな色深度、より強い原色、強化された白を提供。バランスのとれた黒レベルは一貫してピッチパーフェクトな仕上がりで、拡張されたコントラストをより堅牢なものとし、優れた奥行きを実現している。スペキュラライト(鏡面反射光)やディフューズライト(拡散反射光)をオーバーアクト手前で際立たせており、低照度ショットにおける暗色や濁色の再現力に目を瞠らせる。『エピソード4』への配慮からか控え目なタッチではあるものの、ボリューメトリックな大気エフェクトや環境エクステンションからはフラクタルな複雑さを持った多様なVFX美術を視認できよう。精巧精緻な幾何モデルが作られてレンダリングされているデス・スターやスター・デストロイヤー、帝国軍本部のある熱帯惑星スカリフの美しい環境エフェクト、オールドファンが打ち震えるAT-ACTウォーカーやXウィングの質感再現も目覚ましいものがある。最後の最後に登場する我らがダース・ベイダー、その手に握られたライト・セイバーの赤色光も忘れ難いインパクトを持つ。
AUDIO
サウンドデザイン/音響編集監修/リレコーディングミキサーは『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』、そして本作でオスカー録音賞にノミネートされたクリストファー・スカラボシオ。さらにサウンドデザイナーとして『フォースの覚醒』『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』でオスカー音響編集賞にノミネートされたデヴィッド・アコードが顔を揃えている。ドルビーアトモスの音声平均転送レートは4,850 kbps(48kHz/24ビット)。UHD BLU-RAY本編のみ日本語字幕&吹替音声収録。
ドルビーアトモス上映作品ながら既発のBLU-RAY版ではアトモス非採用となっていたが、いよいよ本領発揮、本作のドルビーアトモス・パフォーマンスを楽しめることに。多くのディズニー作品同様に音声レベルはいくぶん低めに設定されており、(再生環境にもよるが)2~3dBほどボリュームを上げることをお薦めしたい。明瞭度とダイナミクスに優れ、ステージングも広大だ。緊迫の口吻や語勢の浸透力も一級品。ドラマツルギーを深めるための意図的な戦略として、膨大な量のサウンドを機能させており、とりわけアクション・ソニックは1音1音の質感や輪郭を研ぎ澄まし、分解能と明瞭度の高まりを聴取させる。宇宙船内のさまざまなノイズから、ジェダの路上でのアンビエントに至るまでフレーム外に配置された音彩操演も聴き応えがある。アグレッシブなサラウンド効果と強力なLFEエンハンスとにより、空間密度が高まり、深い強い没入感に身を委ねていただきたい(ジェダの破壊場面は、いま少し低音効果が欲しかった)。ジョン・ウィリアムズからバトンタッチしたマイケル・ジアッキノのスコアは、ウィリアムズ同様にハリウッド映画音楽の後期ロマン派的スタイルの強い影響下にあることを示しつつ、あらたなる『スター・ウォーズ』世界観や語法の開拓にも貪欲だ。音の呼び物たるドルビーアトモスはスリル満点のオブジェクト操演を披露。アクション・シークエンスに聴くハーフドーム型音場空間は緊張と陽気さに溢れており、XウィングやYウィングの急降下に聴く垂直効果が圧巻、パンニングとズーミングもスムーズで音彩定位もゆるぎない。
FINAL THOUGHTS
(UHD BLU-RAYで『スター・ウォーズ』サーガを再見されるなら)個人的にはまず本作を鑑賞してから、『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』をご覧になることをお薦めしたい。画質・音質云々ということではなく、支払われた多くの犠牲を知ることによってエピソード4の興奮と感動がより強化されるからだ。97年『スター・ウォーズ 特別篇』に始まるVFXスーパバイザー(ILM)、ジョン・ノールが製作総指揮を務め、彼の原案を基に完成をみた作品でもあり、そうした点でもスピリット・オブ・1977の味わいがこぼれ出る傑作になっていると思う。必見。必聴。
SPECIAL FEATURES
- A Rogue Idea
- Jyn: The Rebel
- Cassian: The Spy
- K-2SO: The Droid
- Baze & Chirrut: Guardians of the Whills
- Bodhi & Saw: The Pilot & The Revolutionary
- The Empire
- Visions of Hope: The Look of Rogue One
- The Princess & The Governor
- Epilogue: The Story Continues
- Rogue Connections
SCREEN CAPTURES
DISC SPECS
Title | ROGUE ONE:A STAR WARS STORY |
---|---|
Released | Mar 31, 2020 (from Disney / Buena Vista) |
SRP | $39.99 (amazon.com $29.96) |
Run Time | 2:13:57.737 (h:m:s.ms) |
Codec | HEVC / H.265 (Resolution: 4K / HDR10) |
Aspect Ratio | 2.39:1 |
Audio Formats | English Dolby Atmos (48kHz / 24bit / Dolby TrueHD 7.1 compatible), Spanish Dolby Digital Plus 7.1, French Dolby Digital Plus 7.1, Japanese Dolby Digital Plus 7.1 |
Subtitles | English SDH, French, Spanish, Japanese |
FILM SPECS
タイトル | ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー |
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年 | 2016 |
監督 | ギャレス・エドワーズ |
製作 | キャスリーン・ケネディ, アリソン・シェアマー, サイモン・エマニュエル |
製作総指揮 | ジョン・ノール, ジェイソン・マクガトリン |
脚本 | クリス・ワイツ, トニー・ギルロイ |
撮影 | グレイグ・フレイザー |
音楽 | マイケル・ジアッキノ |
出演 | フェリシティ・ジョーンズ, ディエゴ・ルナ, ベン・メンデルソーン, ドニー・イェン, マッツ・ミケルセン, アラン・テュディック, チアン・ウェン, リズ・アーメッド, フォレスト・ウィテカー, ジミー・スミッツ, ジュネヴィーヴ・オライリー, アンソニー・ダニエルズ, 《声の出演》ジェームズ・アール・ジョーンズ |
4K画質評価
解像感 | ★★★★★★★★★ 9 |
---|---|
S/N感 | ★★★★★★★★★ 9 |
HDR効果 | ★★★★★★★★★ 9 |
色調 | ★★★★★★★★ 8 |
階調 | ★★★★★★★★★ 9 |
音質評価
解像感 | ★★★★★★★★★ 9 |
---|---|
S/N感 | ★★★★★★★★★★ 10 |
サラウンド効果 | ★★★★★★★★★★ 10 |
低音の迫力 | ★★★★★★★★★ 9 |
SCORE
Film | ★★★★★★★★★ 9 |
---|---|
Image | ★★★★★★★★★ 9 |
Sound | ★★★★★★★★★★ 10 |
Overall | ★★★★★★★★★ 9 |