ONCE UPON A TIME IN HOLLYWOOD - 4K UHD BLU-RAY
Once Upon a Time in Hollywood, the “ninth film from Quentin Tarantino,”
might be too long and a little self-indulgent.
But it’s also chock-full of brilliant moments, great performances, and a sense of
’60s Hollywood infused with a mix of fairy tale nostalgia and clear-eyed realism.
Release Dates (Theater):Jul 26, 2019 (USA)
Domestic Total Gross:$141,027,997
(International: $230,952,273)
FILM
ご存知タランティーノ、その監督9作目となる大作ドラマ。ことひと、日頃から「映画は10本しか撮らない」と公言しており、『レザボア・ドッグス』に始まるフィルモグラフィもいよいよラス前の作品となりにけり。タイトルは敬愛するマカロニ・ウェスタンの巨匠レオーネ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム』3部作(邦題『ウエスタン』『夕陽のギャングたち』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』)から拝借したものだ。レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットのW主演となるオールスタア映画であり、1969年のハリウッド(69年2月8~9日と半年後8月8日の日中から深夜)を舞台にした虚実が入り交じる快作に仕上げている。
69年8月8日深夜といえばあの忌まわしいシャロン・テート殺害事件で知られるが、この事件が全盛期を過ぎた人気男優リック(ディカプリオ)とディカプリオと、公私ともに彼を支える専属スタントマンのクリス(ピッド)にどのように関わってくるのかは観てのお楽しみということで。いずれにせよ、タランティーノの思い入れたっぷり、業界人やシネフィルへの映画愛に満ちたプレゼントであり、当時のカリフォルニアの空気感から風俗や音楽などなど、さらには実名で登場するマックイーンやブルース・リーといったスタアの姿絵まで楽しめる趣向となっている。なお本作には10分長尺エクステンデッド版(長尺オープニング・シーン、ふたつのフェイクCM、新たなアフタークレジット・シーン)があるが、収録は劇場公開版のみとなっている。
シャロン・テートを演じるマーゴット・ロビーのほか、アル・パチーノ、カート・ラッセル、ブルース・ダーン、ダコタ・ファニング、ティモシー・オリファント、エミール・ハーシュらが顔を揃えており、テート事件の首謀者チャールズ・マンソンにデイモン・ヘリマンが扮している。また『ビバリーヒルズ高校白書』のディラン役で人気を博したルーク・ペリーの遺作でもある。
VIDEO
撮影は『JFK』『アビエイター』『ヒューゴの不思議な発明』で3度のオスカーに輝き、2019年撮影監督協会賞(ASC)で生涯功労賞を受賞したロバート・リチャードソン。パナビジョンアナモフィック35mm撮影。リックが出演するテレビ西部劇シリーズ『賞金稼ぎの掟』は、35mmモノクローム/スタンダード撮影(スフェリカルのズームレンズ使用)。テートとポランスキー夫妻の自宅での2シーンは、コダック エクタクローム撮影(1シーンは16mm/もう一方はスーパー8)。DIファイルは4K。HDRはHDR10(劇場上映ドルビービジョンは未採用/但し配信版はドルビービジョン=北米地区のみ)。アリ・アレクサSXT/mini(3.4Kオープンゲート/2.8K 4:3センサーモード)アナモフィック撮影。DIファイルは2K。HDRはHDR10とオプションとなるドルビービジョンHDRを採用したハイブリット仕様(劇場公開と同様)。映像平均転送レートは56Mbps。収録アスペクトは2.39:1(劇中西部劇『賞金稼ぎの掟』/1.33:1、戦争アクション『マクラスキー 14の拳』/1.85:1)。
「クエンティンの辞書にデジタル(撮影)という言葉はない」と語るリチャードソンだが、「フィルムを使い、往年の捺染式テクニカラー(3色分解方式/ダイ・トランスファー)の色調を使って、1969年のカリフォルニアの空気感を出したかった」という。まずは超微細な層に包まれた、規律正しい粒子感が目を奪う(BLU-RAY版も良好だが、MPEGノイズ化するショットも多い)。お約束のハリウッド通り、マンソン・ファミリーが根城にしていたスパーン・ランチ、さまざまな家屋や街頭風景ショットで非常に鮮明な描写を示しており、背景を飾るミニマルなオブジェクトも明快に表示される。わずかな周辺解像度低下はアナモフィック・レンズによるもの。とりわけ本作ではパナフレックス・ミレニアムXL2カメラに旧世代のC、Eシリーズ・レンズを使っており、画面中央のフォーカス性能が高く(本作用に調整)、かつ美しいボケ味やフレア特性、アウトフォーカスの映像を披露している。こうした味わいは(可能な限りの)大画面再生でより実感できよう。肌質はデジタル撮影と一線を画る滑らかな質感を有し、男女の肌色を描き分けしつつ濃厚で鮮やかなトーン。HDRはハリウッドの色香と蠱惑を増幅するばかりではなく、それを2倍にも3倍にも豊かにみせている。露光を0.5~1ステップ増やして撮影された日中の屋外ショットはソフトでディープな光の洪水、自然主義から光彩を開放するかのようなリチャードソンならではの様式性も再現されている。スペキュラーハイライトはHDRが魅せる観どころのひとつで、車体のボディやその他の金属面の反射光、顔の照り返しやアイキャッチライトを大幅に改善する。WCG(広色域)は当時のスタイリッシュでボヘミアンな服飾やインテリアにみるカラースキームを拡張、日焼けの色味からベージュやセピア、ディープクリーム、柔和なマリーゴールドイエロー、ライトオレンジ、蜂蜜色が忘れ難い。原色は官能的で魅惑に満ちた豊かさ。ナイトシーンのネオン光彩や街灯の発色光もゴージャスだ。
AUDIO
サウンドデザイン/音響編集監修は『7月4日に生まれて』『ジャンゴ 繋がれざる者』『バーニング・オーシャン』のウィリー・ステイトマン。DTS-HDマスターオーディオ7.1ch仕様。音声平均転送レートは2,560 kbps(16ビット/48kHz)。
イカしたレトロビジュアルを増幅するシネソニック。劇場上映されたドルビーアトモス・サウンドトラック未採用は残念だが、会話中心のフロントベビーな音作りながら高い没入感を約束する。中域の優れた分解能と明瞭度を持ち、いくつかのディスクリート・エフェクトがオフスクリーンスペースに流動的に移行、広く深いフロントステージのサウンドスケープを生み出している。発声は明晰を極め、タランティーノ作品ならではの音楽性を持つ。当時の音素材をかき集めたという効果音は聴きどころのひとつ。サラウンド4chは環境音や背景ノイズの密度を高め、繋ぎ目のないアンビエントを再現。LFEは攻撃的ではないものの、クリフの車のエキゾーストノート、リック出演作のアクションで活躍。さまざまな映像シークエンスとヒットナンバーの数々を綴れ折る手さばきも見事だ(音楽監修は随一の才を持つメアリー・ラモスが担当)。映画が持つ独特のリズム感、ユーモアと不吉なムードを楽しむためにアップミックス再生もお薦めとなろう。
FINAL THOUGHTS
ここで取り上げられるシャロン・テート事件を始め、60年代後半のハリウッド映画業界から音楽から風俗、ファンションに至るまで、若いシネフィルの皆さんは鑑賞前に軽くおさらいをしておくとより充実した161分を楽しめる(記憶が風化し始めた年配層も是非)。またヘビーな会話劇でもある本作ゆえに、ここは国内盤の登場を待って(翻訳の完成度にもよるが)じっくりとタランティーノ節を楽しむのがよろしかろう。国内盤は2020年1月10日リリース予定。
SPECIAL FEATURES
- Additional Scenes
(1080p; 25:01)
- Quentin Tarantino's Love Letter to Hollywood
(1080p; 5:00) is a brief EPK with some interviews and fun behind the scenes footage.
- Bob Richardson - For the Love of Film
(1080p; 4:34) focuses (sorry) on the film's cinematographer.
- Shop Talk - The Cars of 1969
(1080p; 5:58) is an engaging look at the vintage vehicles in the film. It's really fun to see how they outfitted some of these for the "POV" shots.
- Restoring Hollywood - The Production Design of Once Upon a Time in Hollywood
(1080p; 9:18) features Barbara Lane's excellent work on the film.
- The Fashion of 1969
(1080p; 6:37) centers on Arianne Phillips' equally adept costuming for the film.
SCREEN CAPTURES
DISC SPECS
Title | ONCE UPON A TIME IN HOLLYWOOD |
---|---|
Released | Dec 10, 2019 (from Sony Pictures) |
SRP | $45.99 (amazon: $27.96), $75.99 (Collector's Edition) |
Run Time | 161min |
Codec | HEVC / H.265 (Resolution: 4K / HDR10) |
Aspect Ratio | 2.39:1 |
Audio Formats | English DTS-HD Master Audio 5.1 (48kHz / 24bit), Spanish / French / Portuguese / Czech / Thai / Russian / Polish / Hungarian / Korean Dolby Digital 5.1 Digital 5.1 |
Subtitles | English SDH, French, Portuguese, Spanish, Arabic, Bulgarian, Cantonese, Croatian, Czech, Estonian, Greek, Hebrew, Hungarian, Icelandic, Indonesian, Korean, Latvian, Lithuanian, Mandarin (Simplified), Mandarin (Traditional), Polish, Russian, Serbian, Slovak, Slovenian, Thai |
FILM SPECS
タイトル | ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド |
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年 | 2019 |
監督 | クエンティン・タランティーノ |
製作 | デヴィッド・ハイマン, シャノン・マッキントッシュ, クエンティン・タランティーノ |
製作総指揮 | ジョージア・カカンデス, ユ・ドン, ジェフリー・チャン |
脚本 | クエンティン・タランティーノ |
撮影 | ロバート・リチャードソン |
音楽 | 《音楽監修》メアリー・ラモス |
出演 | レオナルド・ディカプリオ, ブラッド・ピット, マーゴット・ロビー, エミール・ハーシュ, マーガレット・クアリー, ティモシー・オリファント, オースティン・バトラー, ダコタ・ファニング, ブルース・ダーン, アル・パチーノ, ジュリア・バターズ, マイク・モー, ダミアン・ルイス, ルーク・ペリー, デイモン・ヘリマン, ロレンツァ・イッツォ, ニコラス・ハモンド, サマンサ・ロビンソン, コスタ・ローニン, マディセン・ベイティ, ジェームズ・ランドリー・ヘバート, シドニー・スウィーニー, ハーリー・クィン・スミス, スクート・マクネイリー, レナ・ダナム, ラモン・フランコ, クリフトン・コリンズ・Jr, ドリーマ・ウォーカー, ルーマー・ウィリス, レベッカ・ゲイハート, スペンサー・ギャレット, カート・ラッセル, ゾーイ・ベル, マイケル・マドセン, ジェームズ・レマー, マヤ・ホーク |
4K画質評価
解像感 | ★★★★★★★★★☆9 |
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S/N感 | ★★★★★★★★★☆9 |
HDR効果 | ★★★★★★★★★★10 |
色調 | ★★★★★★★★★★10 |
階調 | ★★★★★★★★★☆9 |
音質評価
解像感 | ★★★★★★★★★☆9 |
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S/N感 | ★★★★★★★★★☆9 |
サラウンド効果 | ★★★★★★★★☆☆8 |
低音の迫力 | ★★★★★★★☆☆☆7 |
SCORE
Film | ★★★★★★★★★☆9 |
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Image | ★★★★★★★★★☆9 |
Sound | ★★★★★★★★☆☆8 |
Overall | ★★★★★★★★★☆9 |