NTTぷららは10月17日、音楽ライブなどのイベントをリアルタイムで映像演出する「TECH LIVE」のトライアルを、タワーレコード渋谷店B1F「CUTUP STUDIO」で行なった。
これは、タブレット(iPad)のカメラを通して見ている映像に、リアルタイムでバーチャル映像(静止画)を合成する、次世代のライブイベント演出技術。専用のウェアラブル端末「Magic Leap One」もあり、こちらは半透過型のMRグラスを装着し、透過して見えている映像に、バーチャル映像が重ねられることで、効果が得られるようになっている。
ステージ周辺には、基準となる位置を認識するためのトラッキング機器や、絵画風のもの(QRコード的な役割を持つらしい)が設置され、たとえばタブレットを使っている場合は、それら機器からの信号を基に、サーバ側(デモでは、タブレットはWi-Fiでサーバとなるパソコンと無線接続していた)でタブレットの位置を把握、その位置から見たバーチャル映像をリアルタイムで描画、タブレットへ送信し、タブレットでは専用アプリがカメラスルーのリアル映像と合成して表示する、という仕組みだ。
カメラ(タブレット)の向きを変えると、カメラスルー映像と同期してバーチャル映像も動いていたが、タイムラグを感じないリアルタイムな描画・合成表示が堪能できた。
さて、トライアルはT-Palette Records所属の6人組アイドルグループ「ZOC」の協力を得て行なわれた。ZOCはシンガーソングライターの大森靖子を中心に、2018年に結成されたフレッシュなグループで、この日は10月9日に発売されたばかりの最新曲「断捨離彼氏」をメインにパフォーマンス。
まずは通常ライブステージが行なわれ、その後、TECH LIVEのトライアルへと移行した。トライアルステージでは同時に、来場したファンの中から抽選で3名が、幸運(?)にも、Magic Leap Oneを体験する機会を得て、最新のバーシャル演出を楽しんでいた。
3人のデモ後の感想は「サイバー的な演出がすごかった」と好評で、ファンとしてバーチャル演出を楽しんだよう。ただし、今回はトライアルということもあって多少効果を効かせ気味だったこともあり、「ライブ全編というよりは、セレクトした数曲のみでいいかも」「機能のON/OFFができるといい」という意見も聞かれた。ちなみにZOCの魅力は「アイドルの成長過程を見られるところ」だそうで、結成当時に比べて、ダンスパフォーマンスやルックスは、格段の進化を果たしているそう。
なお、NTTぷららでは今回のトライアルの結果を検証して、今後改善を行ない、本技術の商用化を目指すとしている。近い将来5Gが実用化されれば、タイムラグのない大容量通信が可能となることから、TECH LIVEを使ったMR(複合現実)演出の進展も見込めるだろう。