G503 ファルコン
Falcon Labのオムニ・ダイレクション・スピーカーの特徴は、独自のマルチウェイユニット配列と、中高域のドライバーから放射された音を拡散するオムニ・リフレクション・ホーンと呼ぶウェーブガイド(拡散板)、円筒型エンクロージャー等が相まって360度の音圧指向特性を獲得している点にある。
今回のデモンストレーションでは、高域のプレゼンス改善を狙ってトゥイーター上部のウェーブガイドにマイナーチェンジを施して登場。目視でも従来の凸型から凹型に変更されたことがわかる。なお、従来の凸型ウェーブガイドも引き続き入手可能で、購入時に選択できるという。
会場では、2009年のブランド興しを担ったフラッグシップ5ウェイ5スピーカー「Model707」(原則として密閉型)や、ブラック仕上げが美しい4ウェイ5スピーカー「Model503」、3ウェイ3スピーカーのトールボーイ「Model401」、2ウェイ2スピーカーのブックシェルフ「Model301」「Model201」、さらには可愛らしい2ウェイ2スピーカー「Model45iR」までが展示・再生され、臨場感あるサウンドを奏でた。普段からホールに足を運ぶクラシック愛好家やライブレコーディングをする音楽ファンにユーザーが多く、心癒やされる存在として、近年とくに医療関係者から指名があるというのも頷ける。
ファルコンは他社のOEMを手がけることも多く、その開発を通じて培った技術、さらには「自分ならこうしたい」というアイデアを自社で形にしたものがFalcon Labであり、一連の製品は、いわば浦野社長の思いが詰まった長男、次男……といった子ども達である。モデルチェンジではなく、リリース当時の製品の完成度を高め育てていくという企業姿勢も人気の秘密である。(遠藤義人)
G507 アイレックス
このブースでは、ふたつのイタリアスピーカーブランドに注目。
ひとつめはAUDEL(オーデル)。ラインナップがずらり勢揃いし、「Malika mk2」「Magika mk2」「Sonika mk2」「Nika mk2」の各モデルを比較試聴できる貴重な機会となった。中でも大型ブックシェルフ「Magika mk2」は鳴りっぷりもよく日本では人気になりそう。
特徴は、定在波を抑制するためにエンクロージャー内部に特許技術のIRS (Internal Rib System)
構造を採用することで音の濁りを排除していること、エンクロージャーがバーチの積層に蜜蝋仕上げで鳴りがよいこと、ドライバーに起用するメーカーがSB AcousticsとSEAS(シアーズ)でスキャンスピークス出身らしい滑らかなサウンドを獲得していることにある。現代風のワイドレンジ志向ハイファイ路線とは一線を画し、音楽を心地よく楽しみたいというユーザーに大変好評だという。
ふたつめはむしろ現代風のサウンド、ALBEDO(アルベド)。セラミックのドライバーとトランスミッションラインを採用した彫がある低音は密閉ともバスレフとも異なる独特の深さを持ち、デモンストレーションで登場した「ACCLARA」(アクララ)の低域は公称35Hzとあるが実際には20Hz近くまで伸びているという。
アイレックスブースではこのほか、アナログの無限の奥深さを感じさせる個性派ブランドが際立っていた。
アイドラー・ドライブを彷彿とさせるフリクション・ドライブが可能なターンテーブル「Muse 3C」は、リトアニアのReed(リード)社の製品。アームも中距離弾道ミサイルで培ったレーザー技術を活かしたアジマス・VTA調整を持つ5Tなどを目の当たりにすると、アナログもまだまだ進化するのだという驚きしかない。
カートリッジは、ベルリンのTEDESKA(テデスカ)が用いられた。プロのクラシックギタリストが自ら工房を構え自身一人でボディ成型、針の取り付け、コイルの巻き上げといった全工程を行う異色のプロフィールからして、音楽ファンに訴求できるブランドだ。(遠藤義人)