SPIDER-MAN: INTO THE SPIDER-VERSE
- 4K UHD BLU-RAY with DOLBY ATMOS
Phil Lord and Christopher Miller had a goal for the movie・・・
"Inspire young people to become heroes. Inspire grown-ups to help them do it. And remind us all that you don't need to be bit by a radioactive spider to do your part. You are powerful, and we are counting on you."
Release Dates (Theater):December 14, 2018 (USA)
Domestic Total Gross:$190,241,310
(Foreign: $375,251,438)
FILM
2018年度(第71回)アカデミー賞長編アニメーション賞受賞作。とにかく発想とストーリーテリングが気が利いている。主人公はブルックリンに住む中学生マイルス。ヒスパニックの血を引いている彼が、突然変異した蜘蛛に噛まれてお約束の特殊能力を得る。ちょっと待ってよ、われらがピーター・パーカーはいずこ?コレがあろうことか、早々に天国へ召してしまうのだ。新生スパイダーマンとして世の中を守ると誓ったマイルスだったが、スーパーヒーローの仕事ぶりにはほど遠く、思いが空回りするばかり。そんなマイルスの前に、死んだはずのピーターがっ!ここから右肩上がりで面白味が増していく。胸を躍らせるのが、スパイダー・グウェン(その正体にビックリ)、スパイダーマン・ノワール、スパイダー・ハム、少女ペニー・パーカーが操るSP//drといった、さまざまなスパイダーマンが集結するという世界観(いずれもマーベル・コミックのスピンオフで活躍していたキャラクター/同じ作品で一同が会するのはお初となる)。コレに加えて目を瞠らせるのは、斬新極まりない新感覚のアニメーション画法だ。これぞ、観てのお楽しみ、UHD BLU-RAYならではの特長を生かした光彩美術画をお楽しみあれ。
製作は『くもりときどきミートボール』『LEGO(R)ムービー』のアフィル・ロードとクリス・ミラー(兼脚本)のコンビ。さらには『スパイダーマン』旧シリーズに名を連ねていたアヴィ・アラッド。監督は『ガーディアンズ 伝説の勇者たち』のピーター・ラムジー、『リトルプリンス 星の王子さまと私』のボブ・ペルシケッティ、『リベンジ・マッチ』の脚本家ロドニー・ロスマン(兼脚本)が共同で務めている。収録は117分劇場公開版。143分アルティメイト・ユニバース・カット版は未収録。
VIDEO
アニメーション制作監修はソニー・ピクチャーズ アニメーション。視覚効果とCGキャラクター・アニメーションはソニー・ピクチャーズ・イメージワークスが担当する。カラリストは『アイス・エイジ』シリーズや『ラ・ラ・ランド』のナスターシャ・レオネット。DIファイルは2K。HDRはHDR10仕様/劇場公開版ドルビービジョンHDRは未採用(配信のみに採用/北米地区のみ鑑賞可)。映像平均転送レートは47.5Mbps。
ドルビービジョン未採用はザンネンだが、輝き魅せる世界観をHDR10が十二分に堪能させる。BLU-RAY版からアップグレードは明快。まず目を奪うのが厳正厳密なディテールと豊饒なるカラーパレット(後述)だ。高精細感の改善は、ほぼすべてのテクスチャ、前景と背景を問わず主要な視覚的要素、または精巧なサブテクスチャに至るまで視認できよう。キャラ画の輪郭線と重要な背景オブジェクトは、より先鋭なパンフォーカス描画となる。同時に計算されたボケ味も精妙、被写体への選択焦点の使いこなしへの理解度を高めている。ここに登場のスパイダーマンたちはそれぞれ異なった画調で描かれているのだが、彼らを同一画面でとらえた構図やフレーミングにまったく隙がないことに気づくはずだ。コミックにみる多彩なテクニックの組み合わせの再現も観応えあり。モーション・キャプチャやフェイシャル・キャプチャによって得られたCGレンダリングに、アナログ(手描き)で仕上げを施されたキャラ画。そのキャラや背景に細密な網目模様を加えたスクリーントーン・テイストの再現などからは、どこかオールドスクールなルックスの味わいが立ち上がってる。
本盤の価値をもっとも高めているのが、ソニー傘下カラーワークスがUHD BLU-RAY専用に手掛けたHDRグレーディングとWCG(広色域)だ。発光、間接光、スペキュラー(鏡面反射光)、ディフューズライト(拡散反射光)からアンビエントライト(周囲光)、さらにはムードを醸成する暗色に至るまでSDRとの差異は多大。WCGはおびただしい原色や二次色の階調を伸長、インキーな艶黒と高鮮度の白を輝かせ、精巧精緻で遊びごころにもあふれた光彩色彩操演を披露して魅せる。開幕からまったく目が離せない映像パフォーマンスが繰り広げられるが、とりわけクライマックスに目が釘づけ、狂い咲くサイケデリックなマルチヴァースビジュアルが画面を浸漬、HDRとWCGがワークロードを完璧に処理、視覚を支配している。
AUDIO
サウンドデザインは『ツィスター』『フィフス・エレメント』のジョン・ポスピシル。音楽は『ゲティ家の身代金』『オーシャンズ8』のダニエル・ペンバートン。音声平均転送レートは3.9Mbps(16ビット仕様)。ドルビーアトモス・リミックスは映像同様にカラーワークスが担当する。
BLU-RAY版収録のDTS-HD Master Audio 7.1ロスレスサウンドトラックも優秀だが、アトモス・シネソニックは視覚スペクタクルと同様に壮観、とりわけアクションへの没入感をより高めている。浸透力が強く、明晰を極める発声。アクセントや呼吸法へのこだわりも容易に聴取できる。硬質な高音域、引き締まった中音域、強大な低音域が休息なしに活躍、遍在する音彩のシームレスなサラウンド統合力も超一流だ。ステージングは厳正。音彩定位が堅固で、ミニマルな音彩の方向性の再現も的確。パワフルで高密度な活劇音操演は爆音ジャンキーもナットクの出来栄え、多くのアクション・シークエンスにおいてあなたの腸を通り抜け、奥歯を揺らすほどの威力を発揮しよう。
オブジェクト操演も優秀。綿密な音彩配置、バランスのとれた移動や離散効果、シームレスなパンニングによってハーフドーム状の激音空間に誘ってくれよう。なにしろアトモス操演が想像力に富んでいるため、提示されるオーディオキューに聴覚(脳)が追いつきそびれることも。例えば街を走る多次元のパルス。その効果は劇的なミックス効果によって支えられているのだが、完成度の高さを理解するために鑑賞後に再確認されるとよかろう。ペンバートンの躍動スコアはアトモス・シネソニックの聴きどころのひとつ。きめ細かい構成とストーリー重視のアプローチを維持しつつ、オーケストレーターの力量とも相まって色彩感や躍動感をスコアにもたらしている。
FINAL THOUGHTS
ソニーがマーベル・スタジオを共同製作に迎えた『スパイダーマン:ホームカミング』(2017)で新生スパイダーマン・シリーズ開幕となったが、ここにみる蜘蛛男のアニメーション化に疑問の声を上げる方も多かろう。ところがどっこい、オスカーをはじめとする映画賞を総ざらい。それでも『ヴェノム』のポストクレジットの印象がいまひとつだったため、さぁどんなものかとキツい眼で睨んで観たが、すぐに唇に微笑が浮かんでしまうほど完成度の高い傑作に仕上がっていた。大衆娯楽の見本のようなアニメーションが高い評価を受け、賞レースを独占するのには明確な理由があるワケだが、ところがわたくし、ヘンな先入観があり、スミマセン、いささかナメておりましたっ!国内版は8月7日リリース。迷うことなく、必見!必聴!
SPECIAL FEATURES
4K UHD BLU-RAY Bonus Features
- Audio Commentary featuring directors Bob Persichetti, Peter Ramsey, and Rodney Rothman with producers Phil Lord, Christopher Miller
- Spider-Ham Caught in a Ham Short (UHD 4:01)
BLU-RAY Only Bonus Feature
- Alternate Universe Mode Viewing Option (HD 1:23:31)
- Audio Commentary featuring directors Bob Persichetti, Peter Ramsey, and Rodney Rothman with producers Phil Lord, Christopher Miller
- Spider-Ham Caught in a Ham Short (HD 4:01)
- We Are Spider-Man (HD 7:51)
- Spider-Verse A New Dimension (HD 5:09)
- The Ultimate Comic Cast (HD 15:02)
- Designing Cinematic Comic Book Characters "Heroes and Hams" (HD 7:45)
- Designing Cinematic Comic Book Characters "Scoundrels & Scorpions" (HD 5:11
- Tribute to Stan Lee and Steve Ditko (HD 8:34)
- Spider-Verse Super Fan Easter Egg Challenge (HD 5:02)
- Sunflower music video by Post Malone & Swae Lee (HD 3:00)
SCREEN CAPTURES
DISC SPECS
Title | SPIDER-MAN: INTO THE SPIDER-VERSE |
---|---|
Released | Mar 19, 2019 (from Sony Pictures) |
SRP | $45.99(amazon: $27.96) |
Run Time | 1:56:50.002 (h:m:s.ms) |
Codec | HEVC / H.265 (Resolution: 4K / HDR10) |
Aspect Ratio | 2.39:1 |
Audio Formats | English Dolby Atmos (48kHz / 24bit / Dolby TrueHD 7.1 compatible), Spanish Dolby Digital 5.1, French Dolby Digital 5.1 |
Subtitles | English, English SDH, French, Spanish |
FILM SPECS
タイトル | スパイダーマン:スパイダーバース |
---|---|
年 | 2018 |
監督 | ボブ・ペルシケッティ, ピーター・ラムジー, ロドニー・ロスマン |
製作 | アヴィ・アラッド, フィル・ロード, クリストファー・ミラー, エイミー・パスカル, クリスティーナ・スタインバーグ |
製作総指揮 | ウィル・アレグラ, ブライアン・マイケル・ベンディス, スタン・リー |
脚本 | フィル・ロード, ロドニー・ロスマン |
撮影 | N/A |
音楽 | ダニエル・ペンバートン |
出演 | シャメイク・ムーア, ヘイリー・スタインフェルド, リーヴ・シュレイバー, マハーシャラ・アリ, リリー・トムリン, ジェイク・ジョンソン, ニコラス・ケイジ, キミコ・グレン, ジョン・ムレイニー, ブライアン・タイリー・ヘンリー, ルナ・ローレン・ベレス, ゾーイ・クラヴィッツ, キャスリン・ハーン, クリス・パイン, スタン・リー, オスカー・アイザック |
4K画質評価
解像感 | ★★★★★★★★★★10 |
---|---|
S/N感 | ★★★★★★★★★9 |
HDR効果 | ★★★★★★★★★★10 |
色調 | ★★★★★★★★★★10 |
階調 | ★★★★★★★★★★10 |
音質評価
解像感 | ★★★★★★★★★★10 |
---|---|
S/N感 | ★★★★★★★★★9 |
サラウンド効果 | ★★★★★★★★★★10 |
低音の迫力 | ★★★★★★★★★9 |
SCORE
Film | ★★★★★★★★★★10 |
---|---|
Image | ★★★★★★★★★★10 |
Sound | ★★★★★★★★★9 |
Overall | ★★★★★★★★★★10 |