「美しぎる…」という形容詞を冠した新たな作品=映画『美しすぎる議員』が誕生した。主演には、女優、グラビアで活躍している川村ゆきえを迎え、元タレントが議員になり、自らの信念を実現するために奮闘する姿を描いたドキュメンタリーチックな作品だ。監督は、テレビ界で多くのドキュメンタリー作を手掛ける一方、劇場映画の脚本・監督も担当、『ゆめはるか』(2014)や『レミングスの夏』(2017)などの映画作品も送り出してきた五藤利弘。自らの出自でもあるドキュメンタリーの手法を映画に持ち込み、川村演じる新米議員の苦悩と成長を表現している。ここでは美しすぎる議員・田中愛を演じた川村ゆきえに、インタビューした。

画像1: 川村ゆきえ/主演作「美しすぎる議員」、3/16より公開。「自分の信念にまっすぐ生きる愛ちゃんを演じきりました」

――出演おめでとうございます。決まった時の感想は?
 ありがとうございます。まず、タイトルを見てびっくりしましたね(笑)。「美しすぎる」っていろいろなところで使われているキーワードでインパクトも大きいし、それを私がやらせてもらえる! という喜びの反面、議員役というのは難しそうだなぁという感じも受けました。

――実際に演じてみていかがでしたか?
 議員として専門的な用語を使う(話す)ところは難しい部分もありましたけど、元タレントがドキュメンタリーに出る、という設定については、割とすんなりと入ることができました。

――劇中劇というか、劇中ドキュメンタリーといったタッチの撮影はいかがでしたか?
 愛がドキュメンタリーディレクターに撮られているのを、本作のカメラマンさんに撮られている……という2重の構造でしたけど、意外と苦労はなかったですね。カメラ(ドキュメンタリー用カメラ)を見ていいので、そこは気が楽でした。撮影では、私よりカメラマンさんのほうがたいへんそうでしたけどね(笑)。まあ、構図をいろいろと決めているところは、楽しそうでした。

 加えて、本編ではドキュメンタリーカメラの映像も使っているので、その部分は、カメラマン役の聡太郎さんと、本職のカメラマンさんが入れ替わっていたので(わざわざ服を着替えて入れ替わっていたそう)、傍から見ていてたいへんそうだなって思いました。

――インタビューシーンもたくさんありました。
 そこは、今こうして受けている取材みたいな雰囲気で、リアルにできたと思います。ただ、議会での質疑のシーンは、本物の議場を使っているし、しかも、エキストラには本物の議員さんを起用しているので、本職の方々を前に(議員役を)演じるのは、プレッシャーと緊張が大きかったです。

画像2: 川村ゆきえ/主演作「美しすぎる議員」、3/16より公開。「自分の信念にまっすぐ生きる愛ちゃんを演じきりました」

――議員を演じる上で参考にしたものは?
 特にこうした、ということはありませんでした。ただ、愛ちゃんは母子家庭で育って、母を助けたいという思いでタレントになったこと、そして母子家庭の人たちを助けたいと思って議員になったこと、そうした芯の強さ、想いの強さを表現することを心がけていました。

――その強さも、物語が進むにつれて強化されていきます。
 本当にちょっとずつなんですけど、強さが増していくようにも気を付けていました。撮影順はバラバラだったので、シーンシーンの強弱をつけるのは難しくもありましたけど。

――ドキュメンタリーディレクターの村上(青柳)との距離感も微妙に変化していきます。
 心の距離が縮んだり、普段見せない顔をしてしまったり……というのはありましたね。ただ、子供のころから偏見の中をうまく生きてきた子だと思うので、自分の持っているものや、地位・立場を利用して「何が悪いの!」と、村上に向かってセリフを言うところは印象深かったです。

画像3: 川村ゆきえ/主演作「美しすぎる議員」、3/16より公開。「自分の信念にまっすぐ生きる愛ちゃんを演じきりました」

――時折見せる表情にも、強さが垣間見えました。意識して演じたのでしょうか?
 前半と後半というようにざっくりと分ければ、後半のほうがより強さは感じられると思います。ただ、彼女が語っていることは彼女にとっての真実(嘘ではない)なので、セリフに与えられたパワーを使って演じ切ったという感じです。まあ、後半の会食シーンを経てからは、明らかに変わりましたけどね。

――何があったんでしょう(笑)。
 劇中では描かず、観ている人に想像させる――何かが起きたのか? あるいは何も起きなかったのか?――という作りは、余韻があっていいですよね。

――川村さんは?
 そりゃ、何かが起きたと思っていますし、そういう雰囲気で演じましたから(笑)。

――そのシーン以後、強さをより感じられるようになりました。
 利用できるものを利用して何が悪い、っていうセリフがあるように、(議員の)世界に触れていくことで、自分の理想を実現するためには、清濁併せ呑まないといけない、という思いが、より強くなっていったのだろうと感じています。ただ、ドキュメンタリーの取材を受けている時などに、たまに粗相(本音をチラリ)をしますが、個人的にはそんなことをするような人間じゃない、と思っているんですけどね。

――ディレクターに心が動いてしまったから?
 始めは恋心系で演じましょう、という話になっていたんですけど、そういう人間ではないということで、完成形になったんです。

――二人で一緒に食事に行ったところは、表情が穏やかでした。
 人の心って、急に変わったり、あるいは隠したり、見せたりと忙しいな、と思いますね。

――それはいい意味で?
 そうですね。繕うとかではなく、人からはよく見られたいっていう気持ちは誰しもが持っているんじゃないでしょうか。もし私がドキュメンタリーの取材を受けるとしたら、愛ちゃんみたいに地元紹介とかすると思いますね。ただ、ずっと密着されていたらイライラもするだろうし、声のトーンも変わるかもしれませんけど、そんなに分かりやすく表現はしないかな、と。

――随分と田中愛について、深く役作りしていますね。
 ありがとうございます。優しくもあり、そして強くもある。さらに、自分の考えに忠実な正義感は持っている、という人物像を考えて演じました。それよりも、演説シーンの撮影のほうがたいへんだったんですよ。テレビなどで見るいかにもな感じを出しつつ、元タレントのテキパキとした雰囲気も加味してみたんです。でも、実は台本が薄くて(文字数が少なくて・笑)。同じようなことをずっと繰り返していたんです。

――本作の撮影では、なにか監督からの指示はありましたか?
 田中愛の人物像という面では、私の思った通りにやらせていただきました。ドキュメンタリーなんだから、川村さんが台本を読んで思った通りにやってくださいって(笑)。ただ、ワンシーンだけ、台本では悲しくて泣くという設定になっていましたけど、私にはどうしても怒りのシーンに感じたので、そこは変えさせてほしいとお願いしたんです。そうしたら、それでお願いします、と仰ってくださいました。

――ところで、現地(取手)はいかがでした?
 いいところでしたよ。撮影中はずっと泊まり込みで過ごしていましたし、タレントシーン(地元の紹介ビデオ)の撮影でいろいろなところへも行かせてもらいました。ただ、そこはみんなアドリブだったんです。監督が“川村さんならできるでしょ”って(笑)。

――ちなみに、印象に残っているシーンは?
 パートさんの雇用問題で、経営者のところへ突撃するところでしょうか。印象というより、セリフが難しくて(笑)。あとは、地味にたいへんだったのは、ネギみそを作りながら芝居するところでしたね。

――本作に出演して感じたことはありますか?
 それはもう、議員さんってこんなに身近な存在の方もいるんだなって気づかされたことです。いろんな方の生活に密着した問題に、真摯に向き合ってくれる方もいるんだなって思いました。

 愛ちゃん自身もそうした問題に対応するために勉強していますけど、いろいろやりすぎてキャパオーバーというか、空回りしちゃうんですよ。まあ、そういうところは人間味があるなとは思いますけどね。本編を通してちょっぴり成長して綺麗に動ける人になると思うので、今後の(愛ちゃんの)頑張りに期待したいところです。

――最後に、2019年の抱負をお願いします
 愛ちゃんのように、目的を持って新しいことを始めるのは大事なんだなって感じたので、私も小さな変化でもいいので、新しいことに出会えるようにしたいです。そして、仕事では、民放ドラマのレギュラーを獲りたいです。プライベートでは、30歳を過ぎて健康って大事なんだ! って気づいたので(笑)、日々の生活習慣に注意しながら生活していきたいです。

映画『美しすぎる議員』
3月16日(土)より下北沢トリウッドにて公開

画像4: 川村ゆきえ/主演作「美しすぎる議員」、3/16より公開。「自分の信念にまっすぐ生きる愛ちゃんを演じきりました」

<出演>
川村ゆきえ 青柳尊哉
聡太郎 内藤忠司 大桃美代子
<スタッフ>
企画・監督・脚本・編集:五藤利弘
配給・宣伝:渋谷プロダクション
公式HP http://utsukushisugirugiin.com
(C)映画「美しすぎる議員」製作委員会

<あらすじ>
「美しすぎる議員」として世間で話題の元人気タレントの田中愛(川村ゆきえ)は、ひたすら地域密着型で懸命に日々奮闘していた。そんな愛を、ドキュメンタリーディレクターである村上一朗(青柳尊哉)が取材にやって来る。最初は単なるインタビュー映像だったが、村上のインタビューの方法は徐々に度が過ぎてゆく。四六時中愛を監視するかの様になり、「清くて美しい政治家」としての愛の姿に疑問を抱いている村上たち取材側は、愛の裏の顔を暴きたいと執拗に仕掛ける。
愛は常に老若男女に対して親身で、献身的に接していた。
忖度!セクハラ!経歴詐称?真実はどこに?!
愛はとにかく真っ直ぐだった。
取材を通して、村上の心にはいつしか変化が表れる。真っ直ぐな人間を前に、村上は何を見たのか。そして愛は、本当はどんな人間なのか……。

ヘアメイク&スタイリスト:山崎惠子
スーツ:スタイリスト私物
シャツ:HANABISHI

川村ゆきえ
https://ameblo.jp/yukiekawamura/
https://twitter.com/yukiekawamura?lang=ja

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