ヨコオタロウ原作の人気コミックを舞台化した「君死ニタマフ事ナカレ 零_改」が現在、渋谷のCBGKシブゲキ!!にて上演中だ。これは、2016年12月に初舞台化された「君死ニタマフ事ナカレ 零」の再演なのだが、今回は2種類のエンド――黒END、赤END――を用意し、また新たな展開を見せる意欲作に仕上がった。
物語はコミックの前日譚であり、特殊能力を持った少年少女たちがいかにして育成されていったのかを軸に進み、彼ら彼女らの軍事転用をはかる組織、その訓練に参加する自衛隊員らを巻き込みつつ、今回も原作者自らが脚本に参加し、原作の持つダークな雰囲気をリアルなシーンに転換している。結果、登場人物たちの造形はより深く、より悲しく形作られ、そして前作に引き続き演出(&脚本)を担当する松多壱岱の得意とするアクションもたっぷりと投入されており、生き残るために戦う姿を、嬲るために戦う姿を、さらにハードな演出で見せつけている。
会場となるCBGKシブゲキ!!と言えば、昨年夏、同じ松多が脚本・演出を担当した「蒼海のティーダ」を上演したことも記憶に新しく、本作でも同演目で活用されたプロジェクションマッピングは効果的に用いられており、特に各キャストの心情を表出させるシーンでは、大いに魂を揺さぶられることだろう。
さて、多少ネタバレを含みつつ、印象に残った配役・シーンを紹介すると、サクラ役の花奈の見せる見事なハイキック、クチバ役雛形羽衣の豹変ぶり、ツツジ役黒木美紗子のヲタクっぷり、ウスキ役斎藤直紀の凛としたリーダーぶり、オペレーター苅安役の大野愛の心根、といったあたりになるだろうか。12月9日まで上演中(※ゲネは黒END)。
「君死ニタマフ事ナカレ 零_改」
12月9日(日)まで、渋谷CBGKシブゲキ!!にて上演中
<キャスト>
植田慎一郎/花奈 澪/清水 凜/斎藤直紀/雛形羽衣/土井裕斗/黒木美紗子/荘司真人/兼田いぶき/細川晃弘/村田 恒/増田朋弥/町田尚規/門野 翔/松川貴則/舞川みやこ/荒井愛花/大野 愛/小栗 諒/菊田大輔
<スタッフ>
原作:ヨコオタロウ
脚本・演出:松多壱岱
音楽:岡部啓一(MONACA)
制作プロデューサー:小林諸生(シーメディア)
プロデューサー: 関谷マコト(ILCA)、松多壱岱(DEARSTAGE)、鈴木正博(アリスインプロジェクト)、東川真之(SANETTY Produce)
エグゼクティブ・プロデューサー:岩﨑拓矢(ILCA)
<主催>
舞台「君死ニタマフ事ナカレ 零_改」製作委員会