電子番組表のGガイド等のサービスを手がけているTiVo(ティーボ)が、2018年の「プライベート展示会」を開催した。例年同社ではこの展示会でGガイドの最新技術を発表しており、それが翌年以降に各社のテレビやレコーダー、ケーブルテレビのSTB(セット・トップ・ボックス)に搭載されてきた。
今年の展示では、まず最新版GガイドHTMLがデモされた。GガイドHTMLについては既に昨年発売されたUHD BD対応レコーダーやKDDI、J:COMのSTBでの採用実績があったが、今回は4K/8K放送を間近に控えてそのメリットが活かされる形となった。
具体的には4K/8K放送が始まった時点で、それらの番組表を表示できるようになるという。シャープ、マスプロ、アイ・オー・データなどの製品がGガイドHTMLを採用しているので、これらの製品のユーザーなら、今までと同じ感覚で4K/8K番組を見つけられるはずだ(具体的な表示位置等はメーカーによって異なる可能性あり)。
ケーブルテレビも同様で、現在開発中の4K対応STBではGガイドHTMLを搭載した製品の開発が進んでいるそうだ。
既にGガイドHTMLを搭載したシャープの4Kテレビでは、ひとつの画面に17チャンネルの番組表を表示していたが、細かい文字がつぶれることもなく識別できていた。この番組表はバックの色などのカスタマイズも簡単にできるので、自分が一番見やすい設定を探してみるのもいいだろう。
なお従来のGガイドは組込型と呼ばれており、ユーザーインターフェイス用ソフトウェアの実装はセットメーカーが行なっていた。そのためメーカーの独自性も出しやすかったわけだが、一方で後からの変更が難しい面もある。これに対しGガイドHTMLではソフトウェアの変更が簡単なので、今後はそれを活かしたインターフェイスが登場するかもしれない。
ユーザーの契約情報を元に、見逃し番組をお薦め
もうひとつ、GガイドHTMLの機能であるVODリンクもJ:COMのSTBに搭載された。具体的には「見逃し視聴」への誘導で、J:COMオンデマンドに加入しているユーザーなら、関連した番組がVODで見られる場合は番組表内に見逃し番組のある/なしを表示してくれる。ここを選ぶと過去1週間ほどの番組がもう一度楽しめることになる。
その他にVODへの導線も準備された。こちらはテレビ放送を観ていて気になった出演者の情報を呼び出すと、その人物に関連したVODや放送番組がいくつあるかまで表示してくれる。そこから番組を選ぶことで今まで知らなかったコンテンツに出会えるかもしれない。
さらにKDDIのSTBには、Gガイドの音声検索機能も採用された。リモコンのマイクボタンを押してキーワードを話しかけると、それに関連した番組を一覧表示できる。この検索機能もTiVoが提供しており、人物名やジャンル、映画のタイトルでも検索が可能だという。
モバイル向けとしてGガイドXD機能も新しい。これはスマホ、タブレット向けの電子番組表ソリューションで、外出先からもGガイドの番組表が参照でき、その場で自宅のレコーダーやテレビの予約設定ができる。なおこの機能はTiVoのサーバーを介しているので、メーカー各社の同様の機能とは異なるサービスになるそうだ。
次世代Gガイドの特長は3つ
さてここからは次世代Gガイドの特長を紹介してもらった。次世代Gガイドでは、「新ユーザー体験」「OTT連携」「パーソナライズ」の3つの主要機能をアピールしている。
まず「新ユーザー体験」では、より引き込まれ、満足し、離れらなくなる体験を提案するとしている。そのために、コンテンツのアクセスをより多く、簡単にできるように考えたそうだ。
具体的なツールとしては、視聴中の画面の下側に裏番組やVODコンテンツを表示する「スマートバー」、ユーザーが普段見ている番組を元に今日のこの時間に見たいであろう番組を予測する「パーソナルおすすめ」などが準備されている。この機能を使うと気になる番組が次々と表示されるので、確かに満足し、テレビの前から離れらなくなってしまうことだろう。
「OTT連携」は先述した見逃しサービスとの連携の他に、VODコンテンツも探してくれる。しかもそれらはGガイドのアプリをひとつ使うだけで、複数のOTTサービスからユーザーが興味を持っているであろう番組を見つけてくれるという細やかさだ。
最後の「パーソナライズ」は、“Personalized Content Discovery”をテーマに、コンテンツとの出会いを演出する。検索画面にはひと文字入力するごとに検索候補が表示されるが、それらはユーザーの今までの嗜好を元にした順番で提示されるようになっている。探したいコンテンツを素早く表示してくれるものとして、効果的なのは間違いない。
Gガイドは今や、放送を見る・取るためのデファクトスタンダードとして欠かせない機能となっている。しかしTiVoではそれに満足することなく、毎年新しい提案を続けている。今年発表された3つのテーマが実装されれば、テレビやレコーダーの操作性は格段に向上するはずだ。オーディオビジュアルファンとして、同社の頑張りを今後も期待したい。