MM型カートリッジの音質が形作られる要素を構造から考察し、根強い人気を持つシュアー製MM型カートリッジの交換針を比較試聴。ヴィンテージ機となったシュアーM44-7、V15 Type IIIで、オリジナルと現行の交換針を聴き比べる。

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【4】JICO N44 USHIKOROSHI 牛殺 NUDE

画像: 【4】JICO N44 USHIKOROSHI 牛殺 NUDE

JICO N44 USHIKOROSHI 牛殺 NUDE
●針先:無垢丸針●カンチレバー材質:木(カマツカ)●適正針圧:1.5~3g●備考:黒柿カンチレバーの「N44 KUROGAKI 黒柿 NUDE」、ピンクアイボリーカンチレバーの「N44 YURUSHI-IRO 聴色 NUDE」あり●問合せ先:日本精機宝石工業(株) 0120-579-010

──続いてはJICOのモリタシリーズにラインナップされているN44 USHIKOROSHI 牛殺 NUDEです。「モリタシリーズ」は同メーカーの職人・森田耕太郎氏の名前に由来しており、「木製のカンチレバーの音を聴いてみたい」という氏の思いから生まれたものです。また、牛殺(ウシコロシ)は素材の名前で、鎌柄(カマツカ)という木の別名です。強固でしなやかな性質を持つ木材をカンチレバーに用いることで、中低音を重視した音作りを図っているとのことです。針圧は3gに設定しました。

古屋 前のボロンカンチレバーを用いたN44-7 IMP SAS/Bに続いて、好印象でした。「リスト」や「モーツァルト」は暖かみがあり、適度に肉づきのいい鳴り方。かっちりしすぎていないところが私からすると好ましいですね。ピアノもヴァイオリンもナチュラルな音色です。

 ボロンカンチレバーでは、「デスモンド」がややクールに感じられたのですが、牛殺では十分なジャズクラブの熱気が感じられました。「ベラフォンテ」の声の再生も暖かみがあって良かったですね。針先の形状は一般的な丸針ですが、木材のカンチレバーを使った効果が音にしっかり反映されていると思いました。レベルが高い音です。

 木製のカンチレバーということで、金属製のそれよりも暖かみのある音でした。最初に聴いた「リスト」のピアノの音色に、その特徴が端的に表れていたと思います。「モーツァルト」におけるオーケストラの迫力やスケール感も十分です。「デスモンド」も良かったですね。録音現場の雰囲気がよく出ていました。そして「ベラフォンテ」は、歌がこれまでよりも優しくなった。もともと尖った歌い方の歌手ではありませんが、より暖かい声に感じられました。

古屋 カンチレバーを見ると、根元から半分ぐらいまでがアルミのパイプで、そこから先にウシコロシの木が差し込まれています。おそらく、この比率でも音は変わるし、もちろんどんな木を使うかでも音は変わる。数え切れないほどの試作を重ねて音決めをしているはずですから、設計者の好みが強く反映されていることは間違いありません。こうなってくると、オーダーメイドで作ってもらうことも可能ではないだろうかなどと、期待が膨らみます。

 M44は私も持っていますから、針を取り替えて楽しんでみたいと思います。

古屋 ここまで聴いてくると、オリジナルの純正交換針N44-7の印象がいささか弱くなりますね。

 減磁して、ダンパーゴムも劣化していますから、仕方がないとも言えますが……。

古屋 JICOのようなメーカーが力の入った交換針をたくさん出しているという事実を、この企画を通じて、改めて本誌読者の方に広く知ってもらえればいいなと思います。

【5】PandM Records pmrn44-7

画像: 【5】PandM Records pmrn44-7

PandM Records pmrn44-7
●針先:接合丸針●カンチレバー材質:アルミニウム合金●適正針圧:1.75~4g●問合せ先:(株)ピーアンドエム☎042(850)5685

──JICO製交換針4機種の後は、PandM Recordsの pmrn44-7です。針圧は3gに設定しました。

古屋 この価格の丸針でこれだけの音が出るなら、とても立派だと思います。

 そうですね。ただ、私はクラシックの「リスト」と「モーツァルト」はあまり感心できなかった。少しザラっとするところが感じられたんです。しかし「デスモンド」と「ベラフォンテ」はなかなか聴かせる再生でした。前のJICO N44 USHIKOROSHIで聴く「ベラフォンテ」は、上質ではあるけれどもどこか慎ましやかに感じさせるところがありました。しかし本機では全体が豪華で賑やかになり、音楽としての深みが増した印象です。

古屋 私も同感です。クラシックはところどころに表現の荒っぽさが見受けられ、「リスト」のピアノは硬くて伸びやかさに不足を感じ、「モーツァルト」はドンシャリ傾向。逆に、それが「デスモンド」や「ベラフォンテ」になると長所になる。「デスモンド」はベースの音圧が上がり、シンバルの歪みっぽさが魅力的だし、「ベラフォンテ」は、音楽との相性がすこぶる良いと思いました。

 表現の方向性に注文もつけられますが、とにかく聴いていて楽しい。ジャズやポピュラーを中心に聴く方なら、手元にあって損はない交換針だと思います。

古屋 こちらを聴く前に、改めて純正の交換針であるN44-7を聴いてから試聴に臨みましたが、オリジナルは先ほどからお話ししているように、経年変化によって少しくたびれた音に感じられます。しかし、これはこれで好きな人がいるのは間違いありません。

 そうですね。このpmrn44-7はジャズやポピュラーで本領を発揮しますが、純正針のN44-7は音楽のジャンルを選ばずフラットに聴かせてくれる印象があります。そこはやはり、シュアー純正ならではの安定感があると思いました。

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