磁気回路の構成を問わないユニットの組合せ。46㎝口径の励磁型ウーファー2機種とWE555など多彩なドライバー+ホーンで2ウェイ・マルチ駆動の音を追求
土井雄三/ 新 忠篤 / 杉井真人
土井 116号のヴィンテージ企画では、46㎝口径の励磁型(フィールドコイル型)ウーファーにパーマネント型ドライバーを組み合わせた混成2ウェイスピーカーの試聴を行ないましたが、今回はその続編です。励磁型ウーファーは116号取材でも使用したモーショグラフSE7034(+SE7520励磁電源)に加えて、ジェンセンHF18も用意しました。今回はこれに数機種の励磁型およびパーマネント型ドライバーとホーンを組み合わせて試聴します。パワーアンプは5機種をウーファー用とドライバー用で組合せを適宜変更しながら聴いてみます。
新 モーショグラフという会社についてはウェスタン・エレクトリック(WE)の製品を調達できない映画館がやむなく使っていたブランドという認識を持っていたのですが、それは間違いであり、前回、音も素晴らしいということを実感しました。
杉井 WEの廉価版ということではなく、1938年に設立されたWEの映画館用システムの後継メーカーということですね。かつては励磁型ウーファーには励磁型ドライバーを組み合わせるのが当たり前とされてきましたが、J・C・モリソン方式のネットワークを使うことで励磁型ウーファーとパーマネント型ドライバーの組合せも簡単に音をまとめられるようになりました。
土井 モリソン方式は有用ですね。これまでは考えられなかったウーファーやドライバーの組合せがいとも簡単にまとまり、良い音が作りやすい。
新 そうですね。モリソン方式の活用で、これまでの先入観が覆るという経験を何度もしてきました。

左から、新 忠篤氏、土井雄三氏、杉井真人氏
土井 今回もバラエティに富んだユニットが集まっていますが、うまくまとまるか楽しみであり、心配でもあります(笑)。今回はまず、モーショグラフの励磁型ウーファーと励磁型ドライバーの組合せから聴いてみたいと思います。ウーファーは先述のようにSE7034(+SE7520)、ドライバーはSE7015にジェンセンP8-151ホーンを組み合わせたものです。これを116号での取材と同じくジェンセン・タイプEのレプリカであるエンクロージュアにマウントして鳴らしてみたいと思います。その他にも、前回と同様に励磁型ウーファー+パーマネント型ドライバーの組合せなどを用意していますが、組み合わせるホーンやパワーアンプについても試しながら進めていきましょう。
杉井 励磁電源のSE7520も前回と同じ24V仕様です。アンプが揃えばオール・モーショグラフの組合せが実現できるのですが、今回もその個体は揃いませんでした。しかし、モーショグラフの励磁型ウーファーと励磁型ドライバーの組合せが聴けるのは楽しみです。
新 今回はその組合せからスタートですね。いわばモーショグラフの純正組合せということで期待が高まります。では早速聴いてみましょう。

《2ウェイ・セッティング》
・励磁型46cmウーファー:モーショグラフSE7034(+励磁電源SE7520)
・パーマネント型ドライバー+ホーン:JBL 2440+JBL 2395
・エンクロージュア:ジェンセンType“E”Systemエンクロージュア
ジェンセンType“E”Systemエンクロージュア
ジェンセン「プロフェッショナル シリーズ」のType“E”Systemにおいて採用されたエンクロージュアで2ウェイを構築した。Type“E”Systemは18インチ径ウーファーPLM18A、PLJ18AとドライバーユニットXP101+P8-151金属製ホーンの組合せ。また、15インチ径サブバッフルを使用することで、PLA15AやPLM15AウーファーとXP101+P8-151を組み合わせた2ウェイシステムにも採用されていた。(土井)
《試聴したウーファー》
モーショグラフ SE7034


18インチウーファーSE7034は1938年に登場したミラフォニック・サウンドシステムM7を構成するSE7508スピーカーシステムに採用されたユニットで、フィールド電圧24V/1Aという仕様。組み合わせたパワーサプライはタンガーバルブ4B-28を2本使用したSE7520電源で、24V/1AをそれぞれのSE7034に供給している。また、SE7520はミラフォニック・サウンドシステムM10、M10 Dualなどで使用されたパワーアンプTA7467A(300A・pp、出力15W)と同じ金属ケースに納められている。(土井)
ジェンセン HF18


ジェンセンのフィールド型18インチにはL/M/HFの3タイプがあり、Lは低域用、Mはミュージック、HFは全帯域用という意味のようだ。本機HFはコーンのセンター部にアルミ素材が使用されていて、中程から紙製のコーンが継がれている。またアルミコーン部の色はブルーとアルミ色の2色が存在する。本機のフィールド電圧は24V仕様となっており、試聴ではSE7034と同じタンガー電源SE7520を使用した。(土井)
励磁電源 モーショグラフ SE7520
《試聴の方法》
46cm口径の励磁型ウーファー2機種を大型バスレフ・エンクロージュアにマウント。「J.C.モリソン方式ネットワーク」を使って励磁型およびパーマネント型のドライバー+ホーンを組み合わせ、低域用と高域用のアンプを変更しながら試聴した。ユニットとアンプの組合せに応じて、J.C.モリソン方式ネットワークを使った低域側の音量調整などで2ウェイのベストサウンドを探っている。
J.C.モリソン方式ネットワーク
カットオフ周波数に必要な容量のコンデンサーと、1対1トランス、低域用の音量コントロールで構成されるJ.C.モリソン方式ネットワークを活用して2ウェイをマルチ駆動した。J.C.モリソン方式ネットワークには高域用パワーアンプのスピーカー出力から信号を入力。ハイカット用コンデンサーの両端に接続された1対1トランスから低域信号が取り出され、ボリュウムを経由して低域用パワーアンプに入力される。2019年に特許取得済みで、試聴では、特許取得者から特別に許可を受けてウエスタン サウンド インクが製作したネットワークを使用。米国製オイルコンデンサーとWE製フィルムコンデンサーで容量合わせを行ない、1対1トランスはWE119タイプを採用。配線材はWE20GA単線で、音量コントロールのVRは米国メーカーCTS社製である。(編集部)
高域用パワーアンプの出力がネットワークを経由し、低域信号が低域用パワーアンプに入力される。



