励磁型/パーマネント型と、磁気回路の構成が異なるウーファーとドライバー+ホーンを「J.C.モリソン方式ネットワーク」を使って組み合わせ、2ウェイマルチアンプ駆動で音作りを実践。パワーアンプはIPC/アルテック/ウェスタン・エレクトリック(WE)の3機種。46cm大口径ウーファーとドライバー+ホーンならではの音の可能性を追求する。

Part.1はコチラから、Part.3は、2月9日(月)の正午に公開を予定しております。お楽しみに!

試聴編
ホーン+ドライバーの位置調整や低域/中高域アンプの変更に音が鋭敏に反応

画像: 試聴編 ホーン+ドライバーの位置調整や低域/中高域アンプの変更に音が鋭敏に反応

➀JBL LE75+H91
 パワーアンプ
 アルテック 1520T 低域用
 IPC AM1027 中高域用

音をがっしりと掴んで投げかけるよう。歌のスケール感や力強さも見事だ

1959年に登場したLE75は、前年に発表されたC45レンジャー・メトロゴンの中域用として使用された。また、1962年に発表されたS14 システムで、低域ユニットLE14、中高域LE75+HL91ホーンとの組合せによる2ウェイシステムで採用された。仕様はボイスコイルインピーダンス160Ω、ダイヤフラム径1.75インチ、スロート径1インチで、ボディカラーはホーンを含めてブルーとなっている。LF75は175ドライバーと仕様はほぼ同じだが、音はかなり違うようだ。(土井)。

土井 最初の組合せです。ウーファーは逆相、ドライバーは正相に接続し、J・C・モリソン方式ネットワークでクロスオーバー800Hzに設定しています。J・C・モリソン方式ネットワークは低域のボリュウム調整だけを装備する仕様ですので、中高域側はパワーアンプの音量レベルで決まります。低域の音量調整は2時の辺りまで絞っています。プリアンプ、アルテック1567Aのトーンコントロールは、ひとまずフラットの状態で聴きました。

 音をがっしりと掴んで、聴き手に放り投げてくるような鳴り方だと感じました。音の塊が聴き手に力強く飛んでくるのですが、それがけっして乱暴な感じではなく、しっかりと聴き手に感動をもたらしてくれる。「マーラー」は、小澤征爾とボストン交響楽団の蜜月時代をとらえたフィリップス録音です。今回は2分9秒あたりからの主部を試聴していますが、少し進んだところで小澤さんが主部の旋律を口ずさむ声が聴こえます。どんなスピーカーでも聴こえますし、音質とは直接的に関係のない部分ですが、これがとても明瞭に聴こえてきました。

杉井 小澤さんの声が入っているのはまったく知りませんでした。

 普通に考えると、こういう声が入った演奏はレコードやCDになることが少ないのですが、当時のプロデューサーは演奏のノリを重視してこの音源を採用したわけです。実際、素晴らしい演奏ですよね。この演奏の魅力をしっかり聴かせてくれました。

 「ベイシー」は、イントロから始まりカウント・ベイシーのソロにトロンボーンが絡む様子が見事に表現されていました。長い演奏のごく一部を聴いただけなのに、凄みが十分に伝わってきたように思います。「ちあきなおみ」は、イントロのギターに存在感と説得力があり、ちあきなおみのストーリーがこれから始まるという期待感を持たせてくれます。歌のスケール感や力強さも見事でした。このわずかな部分を聴くだけで胸が熱くなるような、感動を覚える音だったと思います。2ウェイのマルチアンプ駆動、それも励磁型/パーマネント型ユニットの混成2ウェイですが、エネルギーの出方の魅力がまず感じられました。以後の組合せが楽しみになります。

杉井 モーショグラフのSE7034ウーファーは以前にも別のエンクロージュアに入れた音を聴いたことがあり、今日も「たぶんこういう音がするだろう」という予想をしながら試聴に臨んだのですが、思っていたよりもさらに良い音が聴けました。

 SE7034は、WEのTA4181AやジェンセンのL18などのボイスコイル径が2・5インチ径であるのに対し、アルテック515などと同じく3インチの径があります。その違いが音に表れているように感じました。芯が太く、全体に逞しい音です。ただ、WEが硬質で厳しさのある音であるのに対して、SE7034には製造元であるジェンセン特有の優しさやエレガントな感じが出ています。JBL LE75+H91という、本来ならまず組み合わせられることのないパーマネント型ドライバー+ホーンと組み合わせて聴いたわけですが、意外にも低域と中高域がしっかり溶け込んで、まるで完成されたシステムのような音で鳴っていました。

 私も同感です。まるで違和感がなかったです。

杉井 「マーラー」は、レコードやCDでオーケストラを普通に再生するのとは違う、シアター的な再生が実現できていたように思います。まるでアメリカの映画館やホールで演奏しているような鳴り方で、安心して身を任せて聴くことができると同時に、演奏の緊張感もよく再現されていました。「ベイシー」の音源は私も好きで、以前はWE728Bを使ったシステムでよく聴いていたのですが、その音によく似ていましたね。

 JBLとモーショグラフの組合せでWEみたいな音が聴けるとは思いませんでしたが、そのままWEという感じではなく、エレガントな雰囲気も漂っているのが興味深いですね。「ちあきなおみ」は劇場とモニターの中間的な、ややJBLの個性が強めに感じられる鳴り方でした。ヴォーカルは通常のシステムで聴くよりも太いのですが、それで細部まで見渡せるような開放感もあり、絶妙なバランスです。いずれにしても、どの曲でも魅力的な音を聴かせてくれたと思います。

土井 実はエンクロージュアにユニットを取り付けて鳴らし始めた直後はうまく鳴らず、私としては絶望的な気持ちでした(笑)。しかし、試行錯誤している間に「これならいけるかもしれない」という希望が感じられて、結果的にはとてもうまく鳴ってくれたと思います。

杉井 とても良い音で鳴っていましたね。

土井 「マーラー」は、輝きのある雄大な管楽器の音と流れるような弦楽器の音の対比がとてもよく出ていました。先ほど杉井さんがおっしゃったように、映画館のシステムのような音です。「ベイシー」も、カウント・ベイシーの大御所ぶりといいますか、貫禄たっぷりの演奏を楽しむことができました。

 モーショグラフSE7034は、私が初めてWE555を購入した際に、組み合わせて使った励磁型ウーファーです。ホーンはKS6368でした。10年ぐらい使ったんですが、正直なところ当時の私では手に負えませんでした。一度も「いいな」と思えたことがなかった(笑)。それが今日、こんな音で鳴ってくれたわけですから驚きです。「ちあきなおみ」もいいですね。ギターも歌も素晴らしい。46㎝口径というウーファーのサイズも効いていると思います。表面にいきなり出てくる凄さではないのですが、充実した中低域の良さが聴いているうちに出てくる。JBL LE75との意外な相性の良さもありますし、J・C・モリソン方式ネットワークの力もあると思います。

画像2: 【Vintage】励磁型46cmウーファーとパーマネント型ドライバー+ホーンで2ウェイを組む Part.2
画像3: 【Vintage】励磁型46cmウーファーとパーマネント型ドライバー+ホーンで2ウェイを組む Part.2
画像4: 【Vintage】励磁型46cmウーファーとパーマネント型ドライバー+ホーンで2ウェイを組む Part.2

試聴ディスク

『Stereo Sound Reference Record Vol.1菅野沖彦選曲・構成』
CD(ステレオサウンドSSPH-3001)
よりTr.23「マーラー:交響曲第5番嬰ハ短調 1.葬送行進曲」
小澤征爾指揮、ボストン交響楽団
文中:「マーラー」

『ファーマーズ・マーケット・バーベキュー』カウント・ベイシー・ビッグ・バンド
CD(ポリドールJ33J-20056)
よりTr.2「セントルイス・ブルース」
文中:「ベイシー」

『男の郷愁』ちなきなおみ
CD(テイチクTECE-25713)
よりTr.7「男の友情」
文中:「ちあきなおみ」

Part.1はコチラから、Part.3は、2月9日(月)の正午に公開を予定しております。お楽しみに!

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