この記事は、創刊60周年記念号 季刊『ステレオサウンド』第240号の巻頭企画「現代オーディオの到達点 いま聴きたい感動の音 60選+α」からの転載となります。7名のオーディオ評論家が選んだ、「自身が考える現代オーディオの到達点」を象徴する60機種の魅力をぜひ、ご覧ください。

SONUS FABER Stradivari G2

広いバッフル面からの反射で音を完結させる。
弦楽合奏や歌声の表現力の高さには言葉を失う

傅 信幸

 弦楽器製造の巨匠たちの名前を冠した“オマージュ”シリーズの最高機種。

 ソナス・ファベールのスピーカーはどれも細身だが、ストラディヴァリ(Stradivari)だけが幅広い。つまりバッフル面が広いのだ。往年のスピーカーたちはどれも幅が広くてバッフルの面積が大きかった。ウーファーから出た低音の音波が後ろへ回り込むのを邪魔するようにバッフルがあり、低音をバッフル面で反射させることによって豊かな低音域を演出したのだった。

 いっぽう、現代のスピーカーたちは細身だ。だいいちウーファー口径が小ぶりになった。大口径と言っても25センチ程度止まりである。バッフル面による低音域の補強をあまり必要とせず、同一バッフル面に取り付けられたミッドレンジやトゥイーターの音の拡がりを妨げないよう、バッフルが狭く、すなわち、現代のスピーカーたちは細身になったのだった。しかし、ストラディヴァリは幅が広い。

 このエンクロージュア形状について創業者であり設計者だった故フランコ・セルブリン氏(Mr.Franco Serblin)が説明する。細身のスピーカーは音が周囲に回り込むのでセッティングに配慮する必要があり、セッティング込みでスピーカーの音がまとまるが、ストラディヴァリの幅広いバッフルはよく音を反射するのでコレで音創りが完結している。ストラディヴァリの幅広いバッフルは「セルフ・コントロールしているのだ」……と。

 “オマージュ”シリーズの原型モデルは、弦楽器専用と言える鳴り方だったが、突き板の木目が左右対称なV字型にはしっている「G2」版では、若い世代の設計者によって、さまざまな音楽への対応力が拡がった。とは言え本機で弦楽合奏やソプラノの歌声を聴いてみたまえ。明るく朗々としたその表現力の高さに言葉を失うはずだ。

いま聴きたい感動の音60選+α <17>

LOUDSPEAKER
ソナス・ファベール「Stradivari G2」
¥10,500,000(ペア・税抜)
●型式:3.5ウェイ4スピーカー・バスレフ型
●問合せ先:ノア 03(6902)0941

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