この記事は、創刊60周年記念号 季刊『ステレオサウンド』第240号の巻頭企画「現代オーディオの到達点 いま聴きたい感動の音 60選+α」からの転載となります。7名のオーディオ評論家が選んだ、「自身が考える現代オーディオの到達点」を象徴する60機種の魅力をぜひ、ご覧ください。

MAGICO S5 Mk3

先端技術でアルミ合金製エンクロージュアを設計。
きわめてアキュレートかつ視覚的な音

三浦孝仁

 マジコのS5マーク3は、デザイナーのアロン・ウルフ氏が理想と確信する音を実現した、現代を代表するハイエンドのスピーカーシステムである。リスナーにスピーカーの存在を意識させることなく、音源に含まれている音情報を可能な限り精確な「音楽」として顕す、きわめてアキュレートかつ視覚的な音を奏でるスピーカーシステムだ。音世界に没入できる音というべきか。

 そのS5マーク3では、エンクロージュア設計に2つの最先端技術が使われた。ひとつは、クリッペル社のニアフィールド・スキャナー。ロボットで動くマイクロフォンが立体(3D)の半球を描き、スピーカーの軸上から非軸上の周波数レスポンスを無数に計測していくのである。ドライバーの配置とエンクロージュアの形状を考察するのに役立つ、大掛かりながらも先進的な、スピーカー解析に特化している専用ツールである。

 もうひとつは、ポリテック社によるレーザー・ヴァイブレーション・メジャーメント。エンクロージュアの任意の場所にレーザー照射を行ない、その場所の振動状態を可視化するというもの。アルミニウム合金製エンクロージュアのSシリーズでは、振動と共振を内部のブレーシング(補強)で抑制している。レーザー・ヴァイブレーション・メジャーメントは、最適かつ最小限に留める効果的なブレーシングを見極めるための工業用ツールだ。

 搭載されているコーン型ドライバーは、最新の第8世代。軽く強靭なアルミニウム製ハニカムを中心素材に、表面をグラフェンで強化したカーボンファイバー織布をサンドイッチした複層構造である。28ミリ口径のベリリウム製ドーム振動板は、表面にダイアモンドコーティングが施されている。ドライバーを搭載するフロントバッフルは、緩やかな湾曲形状に仕上げられた。

 最終的に音を決めるのはアロン・ウルフ氏。2つの最先端技術は、彼の確信を導く重要な役割を果たしている。

いま聴きたい感動の音60選+α <12>

LOUDSPEAKER
マジコ「S5 Mk3」
¥15,850,000(ペア・税抜)
●型式:3ウェイ4スピーカー・密閉型
●問合せ先:エレクトリ 03(5419)1594

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