AVナビだけ換装したシンプルデモカー
音展出展デモカーの先出しレビュー第2弾は、三菱電機のダイヤトーンサウンドナビを搭載しているトヨタ・プリウスだ。先にご紹介したトヨタ・C-HRと、AVナビこそ同じものの、スピーカーは純正装着されていたものをそのまま活かしたという内容。C-HRと比較すると、"ナビだけ換えたらどうなる?"、"スピーカーまで換えるとどうなる?"の違いがわかるだろう。OTOTENの会場ではぜひ、2台を続けて試聴されることをおすすめしたい。
ナビだけ換えたとはいえ、ダイヤトーンサウンドナビには優秀なDSPが搭載されているので、純正スピーカーといえどその鳴り方はなかなかの本格派だ。スピーカーそのものが広いレンジ再生を欲張っていないので、そもそもウェルバランスな音にまとめられている。そのためこのプリウスで聴ける音は何を鳴らしても破綻のない印象だ。
じつは、この「破綻無く」というのは以外とハードルが高い。通常ナビを換装した場合など、内蔵アンプの出力に対してスピーカーの耐入力が小さくて音が歪んだりすることが少なくない。それが、このプリウスでは"上手く"音楽を再生しているように感じる。
実際に、NR-MZ300PREMIのDSP設定値を確認してみると、前後左右独立31バンドグラフィックイコライザーや、マルチウェイタイムアライメント、クロスオーバー設定といったパラメーターが、ごく細かくではあるけれどデフォルトではなく調整されていた。なるほどプリウスのスピーカーが比較的まともだとしても、NR-MZ300PREMIのオーディオ性能が多分に寄与した音なのだと理解した。
「これが純正スピーカー?」と言いたくなる
いくつかの曲を聴いてみると、もっとも聴き続けたのはヴォーカル曲で、男性、女性問わず歌声に聴き入ってしまった。聴きどころというか聴かせどころをちゃんと表現して、歌声に乗せた歌い手の感情が伝わってくるようである。音数が多かったり、ダイナミックレンジが大きい楽曲などは、スピーカーに応じた音に感じるが、比較的解像力は保って聴かせてくれる。
サウンドステージは、プリウスのウインドウ間に収まるイメージで拡がるが、奥行き方向では立体感をともなって表現していて望外の結果だった。上手く聴かせるヴォーカルはダッシュボードのセンターにやや大きめな音像ながら定位する。
ハイレゾ音源を試してみると、ハイレゾの魅力が周波数特性ではないことがよくわかる。純正スピーカーであるにもかかわらず、ファイル形式の違いを明確に描き分けて聴かせるのだ。サンプリング周波数レートが上がるたび、ビット深度が増えるたび、濃密になっていく情報量の違いが聴き取ることができた。OTOTEN会場でのデモンストレーションで、このあたりが聴き取れる楽曲で試聴できるかどうかわからないが、ナビ換装だけでも、かなりの高音質化が図れることはよくわかるのではないだろうか。
クラブダイヤトーンのサイト
同上:デモカー「トヨタ・プリウス」の情報ページ
同上:ダイヤトーンサウンドナビの製品情報
OTOTEN – Audio・Visual Festival 2018公式サイト