ファーウェイの完全ワイヤレスイヤホン「FreeBuds iシリーズ」に最新の「HUAWEI FreeBuds 7i」が登場した。実売価格で1万5000円を切るミドルクラスの価格帯ながらも、優れた音質、アクティブノイズキャンセル(ANC)性能、そして快適な通話性と長い電池寿命を実現したシリーズだ。今回は新たに臨場感あふれるサウンドが楽しめる「空間オーディオ」にも対応し、本機のフィーチャーでもある音質・ANC・通話ノイズキャンセル性能をさらに強化していることも大きな特徴となる。ここでは、さまざまな魅力を秘めた最新モデルの「HUAWEI FreeBuds 7i」を実際に使って、音質をはじめとするその実力を試してみた。
完全ワイヤレスイヤホン
ファーウェイ
「HUAWEI FreeBuds 7i」
10月24日発売
オープン価格(市場想定価格¥12,980前後・税込)


●HUAWEI FreeBuds 7iの主な仕様
タイプ:カナル型
通信規格:Bluetooth 5.4
対応コーデック:SBC、AAC、LDAC
ドライバー:11mm径クアッドマグネットダイナミック型
連続音楽再生時間(ノイズキャンセル機能オフ):イヤホン単体 約8時間、充電ケース併用
約35時間
満充電時間:イヤホン単体 約40分、充電ケースのみ 約60分
急速充電:〇(10分の充電で約4時間再生可)
充電方式:USB Type-C
通話ノイズリダクション:対応(片側3マイク+指向性集音アルゴリズム+DNNアルゴリズム
+風切り音防止+VPU 骨伝導マイク)
タッチコントロール:〇
イコライザー機能:〇
空間オーディオ:〇
マルチポイント接続:〇
防水規格:IP54
スマホアプリ:〇(Ai Life/Audio Connect)
質量:イヤホン単体 約5.4g、充電ケースのみ 約36.5g
付属品:クィックスタートガイド、イヤーチップ
ファーウェイの「HUAWEI FreeBuds 7i」は、型番の通りシリーズ7代目のモデル。音質、アクティブノイズキャンセルといった注目の機能を磨きながら、バッテリーの長寿命化、ワイヤレスイヤホンとしての性能の強化を図ってきた。最新モデルでは、空間オーディオに対応したのも大きな話題で、ステレオ音源や音楽配信、映像配信などのさまざまなコンテンツを、包まれるような音響で楽しめるのがポイント。さらに、6軸センサーによるヘッドトラッキングにも対応しているので、顔の向きや位置を動かしても、音源や音場は固定されているので、自らがその音場空間の中に入り込んだような感覚が味わえる、新しいオーディオ再生を楽しめるのだ。
ドライバーを強化しパワフルなサウンドを実現。「空間オーディオ」にも対応し、包まれるような音響空間が楽しめる
まずは、「HUAWEI FreeBuds 7i」の進化のポイントを解説していこう。ステレオサウンドONLINEの読者なら、音質は一番気になるポイントと思うが、イヤホンで肝心なユニットには、口径11mmのクアッドマグネット仕様のダイナミックドライバーを搭載。定評あるドライバーに強力な磁気回路を組み合わせることで、クリアでディテイル豊かな音を実現した。もちろん、BluetoothコーデックはSBC、AACに加えて高音質なLDACもサポート。最大96kHz/24bitのハイレゾ伝送にも対応している。
そして、近年話題の空間オーディオ機能を新搭載した。これは、音響処理、ヘッドトラッキング、デバイス(ドライバー、筐体)の連携によって実現される没入型オーディオで、今回、ハウジング内に新たに6軸ヘッドモーションセンサーが内蔵されたことで実現したものとなる。独立した立体音響処理能力によって、前後左右、高さ方向の音の広がりを感じられる立体的な音場が楽しめるだけでなく、モーションセンサーが頭の動きを検知することで、音の立体感や定位感の向上も図られている。もちろん、独自の空間オーディオ処理が行なわれているので、さまざまなコンテンツを立体的(空間オーディオ)に楽しめる。手持ちの音源だけでなく、音楽配信サービスの楽曲や、映像配信コンテンツでも、広がり感の豊かな立体音響で楽しめるというわけだ。

スマホ用アプリ「Audio Connect」の設定画面。中央はヘッドトラッキング機能のオンオフと、空間オーディオのモードの選択ができる。LDACは「音質を優先」にチェックを入れると使えるようになる
実際に試してみると、クリアな音像定位はそのままに、音場が大きく広がるのがよく分かる。イヤホン特有の頭の中で音が鳴っている感じではなく、頭の外から音が聞こえてくる印象になる。ボーカルは前方に定位し、演奏は前方主体ながらも左右や高さ方向に音が広がる。まさに目の前で演奏が行なわれているような感じになる。今までのイヤホンの再生とはひと味違う、スピーカーで聴く再生にも近い感覚だ。クリアな音像定位はそのままで、方向感や広がりがより豊かになる、と言えるだろうか。ステレオ再生との違和感も少なく、ライブコンサートの会場にいるかのような、臨場感豊かなサウンドになる。ヘッドトラッキングも頭の動きにスムーズに追従してくれる。
さらに強力になったアクティブノイズキャンセル機能。通話NRもより快適に
続いては、強化されたアクティブノイズキャンセルと、通話NRについて紹介したい。「HUAWEI FreeBuds 7i」は3つのマイクに加えて骨伝導マイクも新たに搭載。AIによる音声処理で人の声と周囲のノイズを識別し、通話時のノイズを低減してくれる。最大90dBもある騒がしい場所でも、クリアな通話が可能と謳っている。
アクティブノイズキャンセルでは、処理アルゴリズムが「インテリジェント・ダイナミックANC4.0」へと進化した(前モデルはインテリジェント・ダイナミックANC3)。リアルタイムでのノイズキャンセル性能が向上しているそうで、周囲のノイズを素早く検知し、約0.5秒で機能が起動、イヤホンを装着してすぐに静寂な空間を創造してくれるという。また、8m㎡という大型のエアベント(排出穴)の搭載で、周囲のノイズを効果的に吸収・減衰させること(=ノイズが耳に届く前に減衰する)が可能になっている。

大型のエアベントを搭載することで、効果的にノイズ抑制を実行している
ファーウェイのデータによれば、「インテリジェント・ダイナミックANC4.0」と超大型エアベントにより、最大55 dB、平均28dBノイズキャンセリングレベルを達成しているという。前モデルと比較すると、中高音域のノイズキャンセル性能は10%向上し、人間の聴覚が敏感な315Hz~3.15kHzの周波数範囲(ブーン、キーンという音色が代表的という)では、30%の性能向上(静音化)を果たしているそうだ。
実際に使用してみると、ノイズキャンセル性能はかなり優秀だということが分かった。実売価格で倍以上の、3万円前後の高級機の強力なノイズキャンセルモデルと同等と感じるほどだ。駅構内などの騒がしい場所でも快適な静けさが得られるし、エアコンやさまざまな機器の低周波主体の暗騒音ノイズをしっかりとシャットアウトする。人の声など耳につきやすい周波数帯のノイズも効果的に抑えているが、より低い帯域の低音域のノイズ低減性能には感心した。今回は試せていないが、新幹線や飛行機に乗って移動する場合でも、特有の低周波ノイズをしっかりと抑えてくれるではないかと思われる。

最大35時間のバッテリー寿命、マルチポイント対応など、基本性能も充実
音質やノイズキャンセルに加え、基本性能が充実していることも大きなポイントだ。バッテリー寿命は充電ケースを併用し最大35時間の音楽再生(ANCオフ)が可能で、約10分の電源で4時間再生が可能な急速充電にも対応する。ペアリングはスマホと同時に音楽プレーヤーなど計2台のデバイスと同時接続できる。例えば、音楽プレーヤーでの再生中にスマホに着信が入った場合など、いちいち切り替え操作をせずに通話が可能。ジョギングやスポーツをしながらでも使えるように、IP54等級の防塵・防水性能を備える。スポーツで使うだけでなく、通勤・通学などでの不意の降雨でも安心だ。

イヤーチップの取り付け部は楕円形。サイズは新たにXSが追加され、XS、S、M、Lの4種類が付属する
このほか、快適な装着感やノイズキャンセル性能の向上のため、イヤーチップは4サイズが付属する。L、M、Sに加えて、XSサイズが追加されているので、女性など耳の小さな人にも使いやすくなっている。
また、操作性では、直接タッチする操作のほか、モーションセンサーを生かして頭の動きでの操作にも対応。設定により、着信時にうなづく動作で着信、頭を横に振ると着信拒否の操作などができる。

カラーリングは3色を用意
このように、基本性能の点でも充実した機能を備えており、ミドルクラス価格帯の製品としては、かなりコストパフォーマンスに優れていると言える。
上質でパワフルな低音の再現性が秀逸。音の広がりや包まれる感覚もしっかりと再現してくれる
屋外などでノイズキャンセルを試しながら音楽を再生してみると、音質の点でもなかなか優秀だと分かった。一番は低音がしっかりと鳴ること。ノイズキャンセルの実力もあるが、音楽再生でも低音がしっかりと伸び、力強さや迫力が伝わる音になっていた。ノイズキャンセルでは、逆位相の音波を出してノイズ(騒音)を抑制するので、低音の低いところまできちんとノイズキャンセルできることで、低音の再生能力が高くなり、結果として、音楽再生における優位性も上がるというわけだ。

次に、自宅の防音された試聴室でじっくりと音楽を聴いてみた。ノイズキャンセルモードはオフにしての、ガチの音質チェックだ。クラシックなどのアコースティックな録音のソースでは、各楽器の音色をくっきりと再現する。基本的にはくっきりとした音の傾向だが、弦の響きや金管楽器の強く息を吹き込む感じなど、ニュアンスの再現も不足はない。特筆したいのは、音の広がりの良さで、演奏したホールの響きや広さがしっかりと再現される。空間オーディオ対応ということで、こうした音の広がりや包囲感の実力も向上しているものと思われる。
大ヒット中の劇場版『チェンソーマン レゼ編』の主題歌「IRIS OUT」(CDからのリッピング音源44.1kHz/16bit)を聴くと、血湧き肉躍るアクションが連続する「チェンソーマン」らしいハードな曲で、バイオレンスなムードもたっぷり。小気味よいビートも軽くならず、パワフルさと軽快さをしっかりと楽しめる。低音再生が優秀とはこれまでも何度か触れているが、ただ低音がパワフルというだけでなく、ローエンドの伸びもいいし、低音が膨らみすぎてしまうことがない。むしろタイトだと言ってもいい低音の質感はなかなかのもの。
そして、同じく「JANE DOE」(CDからのリッピング音源44.1kHz/16bit)は、米津玄師の作詞・作曲は同じだが、こちらは宇多田ヒカルとのデュエット。曲調もガラリと変わって切ないラブソングになっている。ふたりの声をクリアに再現するだけでなく、歌唱のニュアンスも豊かに再現するし、サビでのメインとコーラスを入れ替えながら情熱的に歌っていく様子も実に聴き応えがある。
上級機に迫る実力と機能性を備えたハイコストパフォーマンスモデル
音質やノイズキャンセルの性能、そして充実した機能など、比較的手頃な価格のなかでは飛び抜けた実力を持つモデルというのが、「HUAWEI FreeBuds 7i」のストレートな印象だ。試しに価格が倍以上の高級機とも聴き比べてみたが、その差は価格差ほどはない。高級機と比肩する性能を備えてこの価格を実現したことに、驚いてしまった。同じ価格帯のモデルの中では、頭ひとつ抜けた存在と言える。日常的に使う完全ワイヤレスイヤホンとして、音質やノイズキャンセル性能はなるべく優れたモデルが欲しい、しかも、購入しやすい価格の中でという人にとって、「HUAWEI FreeBuds 7i」は有力な候補になるだろう。

●提供:ファーウェイ・ジャパン
