オーディオテクニカは本日、都内で発表会を開き、人の聴こえをサポートする新ブランド「audio-technica MIMIO」(オーディオテクニカ ミミオ)の立ち上げと、同ブランドの新製品2機種を発表した。
新製品は、完全ワイヤレスイヤホン風の、いわゆる集音器「MIMIO ASSIST ONE」、テレビ用の手元ワイヤレススピーカー「MIMIO SOUND MOVE」となる。発売は8月1日からで、価格はオープン。それぞれの想定市場価格は、MIMIO ASSIST ONEが5万円前後、MIMIO SOUND MOVEは22,000円前後となる。


まずは開会挨拶として、同社 代表取締役社長の松下和雄氏が登壇。曰く、創業から60有余年が経ち、音に関する製品の開発・製造・販売を通じて多様な音体験の提供を行なってきた中で、近年では、“聴こえ”に関する悩みを聞くことが多くなってきたという。これは、中高年だけの問題ではなく、最近では若者にもその悩み、難聴のリスクを抱える人は増えてきているそうで、WHOの発表資料では、聴こえに問題・悩みを持つ人は、2030年には19億人、2050年には25億人=つまりは(地球)人口の4人に一人になると予測されている。

そこで、音に関する製品・技術の追求・開発を通じて会得してきたノウハウを使って、その聴こえの悩みを解消する製品を創造し、聴こえの可能性を引き出し、人生の彩りをもっと豊かにすべく、新ブランドを立ち上げた、ということになる。
MIMIOというブランド名には、「耳」に優しく「音」を届ける、という願いが込められているそうだ。
実際には、昨年(2024年)、ヒアリングに関する検討を行なう部会を社内に立ち上げ、その成果物が、本日発表の2製品となる。
まずは、完全ワイヤレスイヤホンタイプの、ヒアリングアシストモデル「MIMIO ASSIST ONE」から紹介したい。これは、会話やテレビの音などを聴き取りやすくする「ヒアリングモード」専用のイヤホンで、周囲の音の集音には、最新のMEMSマイクを用い、アプリを使って一人ひとりの聴こえにアジャストするパーソナライズが可能なのが特徴。このアプリの開発には苦労(+時間)した、ということだ。通常のワイヤレスイヤホンのように楽曲や映像配信も楽しめるが、常時ヒアリングモード(いわゆる外音取り込み)になっているので、言わばながら聴き状態でのリスニングとなる。

発表会で展示されていたサンプルではまだパーソナライズはできなかったが、製品版ではアプリ上で個々人の聴こえに合わせた測定・調整ができるようになる。蛇足ながら、パーソナライズしていない状態で使ってみると、周囲の騒音と話し相手の声が同じ音量に増幅されていたが、モードやパーソナライズによって、これはアジャストできるそうだ。なお、アプリ上では使用シーンに合わせて7種類のモード(標準・テレビ・会話・屋外 など)が用意されている。

本体は、IP55の防水・防塵仕様で、バッテリー持続時間はイヤホン単体で約10時間、収納ケース併用で最大約40時間の使用が可能。ノイキャンも装備する。なお、操作の確実性を持たせるために、イヤホンには物理ボタンが搭載されている。
さて、もう一つ、テレビ用のワイヤレススピーカー「MIMIO SOUND MOVE」は、既成品の改良版という体で、人の声をくっきり聞ける「はっきり音」機能の搭載が注目。製品はスピーカー部と、入力・充電スタンドの2ピース構成で、スタンド部には光デジタル入力端子を装備(テレビとの接続用。リニアPCM 2chのみ対応)。スピーカー部はバッテリーを内蔵しており、5時間の充電で最大約18時間の再生が可能。このバッテリーは交換可能。ちなみに、スピーカーとスタンド部間は、2.4GHz帯を使ったワイヤレス通信を行なっている。
ちなみに、既成品からの改良点としては、ユニットの搭載間隔を少し広げているそうで、これでステレオイメージ・音場感の強化を図っているという。
また、既発のネックスピーカー、ワイヤレススピーカー(テレビ用手元スピーカー)、有線スピーカー(同)の一部をMIMIOにリブランドし、本日発表の2製品を加えた全7製品でMIMIOを展開していくという。オーディオテクニカでは、新ブランドMIMIOの目標として、2027年までの3年間で約45万台の販売を掲げている。
なお、今週末の7月25日より、テレビコマーシャルも地上波で放映を開始する予定だ。






