HIFIMAN(ハイファイマン)から、新製品ヘッドホン「SUSVARA UNVEILED」が発売された。2017年に登場した「SUSVARA」に改良を加えた、新たなリファレンス機だという。そこで今回は、ヘッドホンに精通した野村ケンジさんと一緒に、高級ヘッドホン(パワー)アンプ、DVAS「Model 2」を開発した桑原光孝さんの試聴室にお邪魔し、SUSVARA UNVEILEDの音の魅力を体験するとともに、使いこなしの奥深さを探ってみた。(StereoSound ONLINE編集部)

現代の音楽ソースに対応した、ハイファイマン入魂のヘッドホン

画像: 【PR】ハイファイマンの「SUSVARA UNVEILED」をヘッドホンのプロ2人が徹底検証! 自然で艶のある新世代サウンドが、組み合わせるヘッドホンアンプの魅力も最大限に引き出した

HIFIMAN SUSVARA UNVEILED ¥1,188,000(税込)
●型式:平面駆動オープンバック型
●再生周波数特性:6Hz〜75kHz
●感度:86dB
●インピーダンス:45Ω
●主な特長:ナノメートル厚平面振動板、ステルスマグネット、磁気ベール付属
●質量:430g

画像: 左が「SUSVARA」で、右が新製品の「SUSVARA UNVEILED」。どちらもステルスマグネット技術を採用したオープン型だが、その構造や振動板の表面処理などは異なっている

左が「SUSVARA」で、右が新製品の「SUSVARA UNVEILED」。どちらもステルスマグネット技術を採用したオープン型だが、その構造や振動板の表面処理などは異なっている

―― 今日はハイファイマンの最新ヘッドホンSUSVARA UNVEILEDの魅力を探るべく、埼玉県深谷市のDVAS試聴室にお邪魔しました。

野村 SUSVARA UNVEILEDは税込定価¥1,188,000という高級ヘッドホンです。SUSVARAから7年ぶりに登場したハイファイマンのフラッグシップで、SUSVARAと併売されるそうです。

 SUSVARA同様に、ナノメートル厚の平面振動板を搭載したオープン型で、独自のステルスマグネット技術も採用されています。いかに振動板の音を歪ませることなく伝えるかという点にも配慮されています。

桑原 振動板素材やマグネットについての技術的な情報は公開されていないんですか?

野村 ハイファイマンの振動板は改良・改善を加えて進化するのが常で、従来モデルからどこをどう改善しているかがポイントになっています。しかし今回、振動板についての情報はいまのところ僕にも伝わってきていません。

 SUSVARAの振動板は表面が金色ですが、SUSVARA UNVEILEDはシルバーで、コーティングの種類も異なっているようです。もしかしたらマグネットと振動板の間に何らかのプレートのようなものを入れているのかもしれないのですが、詳細な資料がないので判断しかねています。

桑原 横方向に走っているマグネットの太さ、大きさも異なりますね。

野村 ステルスマグネット技術は同じですが、マグネットの物量が違い、かなり密集しています。また、SUSVARAでは長さの異なるマグネットを数種類使っていますが、SUSVARA UNVEILEDではマグネットの長さを揃えているようにも見受けられます。

桑原 ということは、振動板のサイズや表面処理も違っていて不思議ではない。この改良には、能率を上げたいという意図もあったんじゃないでしょうか。

画像: 今回の取材では、「SUSVARA UNVEILED」とGoldenWaveの「PRELUDE」を組み合わせた。10W(32Ω)〜560mW(600Ω)の出力を備えたアナログヘッドホンアンプで、艶のある心地いい音を楽しませてくれた。写真左は2017年に発売されたヘッドホンの「SUSVARA」

今回の取材では、「SUSVARA UNVEILED」とGoldenWaveの「PRELUDE」を組み合わせた。10W(32Ω)〜560mW(600Ω)の出力を備えたアナログヘッドホンアンプで、艶のある心地いい音を楽しませてくれた。写真左は2017年に発売されたヘッドホンの「SUSVARA」

野村 先ほどSUSVARA UNVEILEDを携帯プレーヤーにつないで聴いてみたんですが、ちゃんと鳴りました。しかも、ただ音が出るといったレベルではなく、帯域バランス的にもしっかり整っています。

桑原 先日開催されたポタフェスの会場で、SUSVARA UNVEILEDを試聴させてもらったんです。その時はGoldenWave(ゴールデンウェーブ)のヘッドホンアンプ「SERENADE」(¥196,900、税込)との組み合わせでしたが、今日は上位モデルの「PRELUDE」(¥399,300、税込)を準備してもらったところ、さらに生々しい音で、ひじょうによかったですね。

 SUSVARA UNVEILEDは比較的穏やかでナチュラルな音作りなんだけど、同時に細かい情報もしっかり出してくれます。また音の抜けがよく、耳元に固まらずにふわっと広がるんです。艶っぽい音と言ってもいい印象を受けました。心地よく、ゆったり音楽に浸れるヘッドホンです。

野村 最初はお値段に驚きましたけど、音を聴いてさらに驚いた(笑)。スーッと体に入る音というか、どの帯域、例えば高音部分でも耳につくような嫌な音が一切なく、すんなり耳に入ってくるんです。また、改めて静かな環境でPRELUDEとの組み合わせを聴かせてもらったら、音が輝いているなぁと感じたのです。

桑原 よくわかります。

野村 この組み合わせで、上田麗奈さんの「リテラチュア」(96kHz/24ビット/FLAC)も聴きました。彼女はこの曲で流れるような歌い方をしているのですが、そのためか帯域バランスが正確じゃなかったり、音作りにクセのある製品だと、音程がずれて聴こえるんです。

 しかしSUSVARA UNVEILEDではそんなことはなく、彼女の歌い方の魅力がしっかり出ているし、PRELUDEと組み合わせたことで、自然さや光り輝くような声のニュアンスといった魅力も引き出されていました。

 SUSVARA UNVEILEDは確かに高価な製品です。でもこの音なら、頑張ってお金を貯めようと思う人も出てくるんじゃないでしょうか。実際、僕もその一人になりかけています(笑)。この音をずっと聴いていられたら幸せだろうなと、素直にそう思いました。

高音質のための独自技術「ステルスマグネット」を搭載

画像: 「SUSVARA UNVEILED」の仕様について、意見を交換するふたり。ヘッドホンに精通した者同士ならではの、詳細な分析が行われました

「SUSVARA UNVEILED」の仕様について、意見を交換するふたり。ヘッドホンに精通した者同士ならではの、詳細な分析が行われました

画像: 「SUSVARA UNVEILED」では、ハイファイマンの独自技術でもあるステルスマグネットを採用している。特別な構造により、音質劣化を起こすことなく音がマグネット部を通過する仕組みという

「SUSVARA UNVEILED」では、ハイファイマンの独自技術でもあるステルスマグネットを採用している。特別な構造により、音質劣化を起こすことなく音がマグネット部を通過する仕組みという

桑原 オーディオの組み合わせとして、価格的なバランスはともかく、充分にSUSVARA UNVEILEDの魅力を引き出しているサウンドでしたね。

野村 その後、DVASのModel 2につないでみました。そこで感じたのは、SUSVARA UNVEILEDはヘッドホンアンプが変わると、もっと先の世界を体験させてくれることでした。

 PRELUDEで鳴らした時は、音としての整合性もしっかりあって、SUSVARA UNVEILEDを初めて体験するにはお薦めだと思いました。でもModel2で聴くと、SUSVARA UNVEILEDはもっと深みがある、余力を持ち合わせているんだと思ったのです。こんな音も聴かせてくれるのね、と。

桑原 ちなみに、具体的にはどんな違いがあったのでしょうか?

野村 中〜高域の解像感はあまり変わらないんですが、そこから上の倍音が聴き取りやすくなりますし、低域も腰が据わった音になるので、ちょっと驚かされました。

 PRELUDEとの相性もかなり良いのですが、SUSVARA UNVEILEDとModel 2の組み合わせでは主役と相手役の力量が揃って、舞台が生まれ変わった、そんな印象を受けました。

桑原 ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。

野村 Model 2では、どんなヘッドホンが相手でも、その持ち味を引きだそうといった狙いがあったのでしょうか?

桑原 基本的には、どの設計者も自分のアンプの音は透明だと思って作っているはずです。私も自分の感覚的には、透明なヘッドホンアンプとしてModel 2を作りました。

 先ほどSUSVARA UNVEILEDとPRELUDEの組み合わせを聴いて、ひじょうにナチュラルな音だと感じました。手前味噌ですが、それをModel 2に変えることで音場がさらに広がるというか、そういう変化が出てきたのでほっとしました(笑)。

画像: 野村さんの愛用DAPを桑原邸のUSB DACにつなぎ、そのバランス出力を「PRELUDE」に入力した

野村さんの愛用DAPを桑原邸のUSB DACにつなぎ、そのバランス出力を「PRELUDE」に入力した

野村 SUSVARA UNVEILEDとModel 2で印象に残った曲はありましたか?

桑原 SACD『ザ・ローリング・ストーンズ・プロジェクト』の、ノラ・ジョーンズ「Wild Horses」です。この曲は最初に細かい音が出てくるんですが、その音の広がり方が心地よかったですね。他にもアカペラで、音が広がるように作ってあるコンテンツもチェックしました。SUSVARA UNVEILEDでは空間のひろさ、音の回り込みの様子など最上の部類の聴こえ方でした。

野村 PRELUDEとModel 2では音場の広さが違いました。PRELUDEはダイレクトな再生を目指している感じで、ヘッドホンユーザーが慣れ親しんでいる音場感です。これに対してModei2は、スピーカーを聴き慣れている人が好む音場空間を再現している点に違いがあるのかもしれません。

桑原 仕事柄、色々なヘッドホンを聴いていますが、製品によって音場の再現性は驚くほど違います。SUSVARA UNVEILEDは自然な音場感の表現に長けているのは間違いない。音の広がり、ナチュラルな質感、全体的なクォリティが揃っていて、これは高価でもしょうがないかな(笑)。

野村 確かに、SUSVARA UNVEILEDは超を付けたくなるほどの優等生。駆動するヘッドホンアンプの素性もあからさまに感じさせてくれます。そして、Model 2ではクラシックや洋楽はもちろん、最新の曲や流行りの洋楽を聴いてもマッチしてくれました。この点に関して、PRELUDEは微妙に得手・不得手があるかもしれません。いや、PRELUDEもかなりいい製品ですが、物量投入の差は大きいですし、製品コンセプトも異なっているように感じました。

桑原 SUSVARA UNVEILEDは低域から高域までバランスよく再現してくれるから、ヘッドホンアンプの持ち味が際立つのでしょう。Model 2との組み合わせでは、所々スピーカーで聴いているんじゃないかと思うくらいの低域の沈み込み感もありました。超低域の挙動がとてもクリアーで、これはなかなかできることではありません。

画像: 「SUSVARA UNVEILED」にはフルオープンドライバーを保護するための磁気ベールが付属している。使わない時は左の写真のようにカバーを装着しておくこと

「SUSVARA UNVEILED」にはフルオープンドライバーを保護するための磁気ベールが付属している。使わない時は左の写真のようにカバーを装着しておくこと

野村 Creepy Nutsの「Bling-Bang-Bang-Born」がまさにそうですね。キックの基音が高めなのでみんな気が付かないんですが、あの曲は思いっきり深い低音が入っているんです。それがちゃんと再現できると、本当に床を叩いているような雰囲気が出てきます。Model 2との組み合わせではそこも聴き取れました。

桑原 高域も、ひじょうに素直に伸びていました。今回は色々なジャンルの曲を聴きましたが、何を聴いても、“そうだよね” っていう納得の再現ができる、音楽の解釈が上手いヘッドホンです。

野村 聞き手が期待している通りの音がでてきますね。加えて、ノイズレベルが低いので、こんな音が入っていたんだ、この曲はこんな定位感、移動感だったんだということまで感じ取ることができます。

 今回聴いた中では、溝口 肇さんの曲が顕著でした。DSD 11.2MHz「Angel」を聞かせてもらったところ、いままでマイクの正面で弾いていると思っていたんですが、SUSVARA UNVEILEDで聴くと、微妙にチェロの角度が揺れているのが分かりました。チェロを弾きながら、ちょっとだけ体が動いているのが初めて聴き取れたんです。

桑原 音が描き出す気配まで聴こえてきたということですね。

野村 また先ほどお話ししたCreepy Nutsは打ち込み系で、鋭い立ち上がりの楽しさも感じられたんですが、同時にコンプをかけることでダイナミックレンジの幅は常識的な範疇に抑えられているということが、今回の試聴で分かりました。あんなにドンドンいってるのに、うるさい音の上限は決めてあったんですね。

 こんな風に音作りの裏側まで聴き取れるのなら、SUSVARA UNVEILEDとModel 2は、音楽ファン注目のシステムになるんじゃないでしょうか。

—— 続いて、SUSVARA UNVEILEDとSUSVARAの音の違いを確認してみようということで、両モデルをModel 2と組み合わせて試聴していただきました。

野村 一番大きいのは “時代性の違い” じゃないでしょうか。SUSVARAが発売された当時は、ハーマンターゲットカーブをベースにしながらも、メーカー独自の音作りが主流だった印象があります。具体的には2kHzとか3kHzに演出を加えて、聴感上の解像感を演出していた。

画像: DVAS試聴室では、SACDからハイレゾ、LPまで再生可能だ。今回は以下のようなシステムを使い、「SUSVARA UNVEILED」でどれほどのサウンドが楽しめるかをじっくり検証した

DVAS試聴室では、SACDからハイレゾ、LPまで再生可能だ。今回は以下のようなシステムを使い、「SUSVARA UNVEILED」でどれほどのサウンドが楽しめるかをじっくり検証した

今回の試聴で使った再生機器
●SACDプレーヤー:マッキントッシュ MCT450
●プリアンプ:マッキントッシュ C52
●D/Aコンバーター:Holo audio Cyan2
●ヘッドホンアンプ:DVAS Model2

 しかし最近は音源のクォリティも上がっているので、そんなことをしなくても解像感が出せます。そんな、今の時代のリファレンスとして企画されたのがSUSVARA UNVEILEDじゃないかと思うんです。

桑原 確かにSUSVARAとSUSVARA UNVEILEDを同一条件で聴いてみると、製品としての音作りを変えてきているのが分かります。

野村 ハイファイマンとしても、SUSVARAのような上位機はともかく、中間〜エントリークラスの製品はかなり入れ変わっています。そこでの技術の研鑽がSUSVARA UNVEILEDの音につながっているように感じています。

 いっぽうで、今回並列試聴した結論としてSUSVARAとSUSVARA UNVEILEDはどちらの音が好きかで選んでいい製品だと思いました。高級ヘッドホンは総じて趣味性が高い製品ですから、好みで選び分けたり、お気に入りのコンポーネントを組み合わせて自分の好きな音を探っていくのが醍醐味でもあります。

桑原 オーディオファンの中には、スピーカーしか聴かないという人や、ヘッドホンはスピーカーの代替品と捉えている方もいらっしゃいます。でも、私自身は、オーディオ歴は長いんですが、ヘッドホンがスピーカーの代用品だという捉え方をしたことはありません。

 ヘッドホンとスピーカーはそもそも音場再現が違うから、スピーカーばかり聴いてきた方の中にはあれは嫌だと言う人もいます。でも、私はそんな風には思いません。音場も含めてヘッドホンの提示する世界がとても楽しいし、愛おしく感じています。

 ヘッドホンをスピーカーの代替品として捉えている限りは、SUSVARA UNVEILEDなどが提示する、音場感を含めたスピーカーでは出せない世界、超大型スピーカーでなければ聴こえないような低域がふっと再現できる楽しさは味わえないでしょう。これこそ、敢えて音楽鑑賞でヘッドホンを使う意義じゃないかと、今日の視聴を通して改めて思いました。

画像: 取材におつきあいいただいた、野村ケンジさん(左)と桑原光孝さん(右)

取材におつきあいいただいた、野村ケンジさん(左)と桑原光孝さん(右)

野村 ヘッドホンには、音がピュアであることや、部屋の影響を受けないというメリットもあります。スピーカーを好きな人があまり体験したことがないであろう、周囲に何もない広い草原で聴いているような音がヘッドホンなら楽しめます。そういった意味では、ヘッドホンとスピーカーはまったく別物と捉えて、それぞれの魅力を楽しんでもらいたいですね。

桑原 SUSVARA UNVEILEDとSUSVARAの音がここまで違うとなると、両方欲しくなりますね。複数のヘッドホンが同じ部屋にあったからといって、スピーカーのように邪魔し合うことはない。お気に入りのモデルを何本も買って、その日の気分やジャンルによって切り替えるのも、ヘッドホンならではの面白さです。

野村 ちなみに、僕の仕事用デスク周りにはヘッドホンが11本あります。しまっているモノを含めると100を超えているかもしれません……。マニアって本当にしょうがないですよね(笑)。少々度が過ぎていると自分でも思いますが、気分によって製品を選び分けるというのは充分ありだと思います。

桑原 その意味では、レコードのカートリッジのような使い分けもできるんじゃないでしょうか。

野村 SUSVARA UNVEILEDとSUSVARAは性格の異なるヘッドホンです。もちろんSUSVARA UNVEILEDが新しいぶんハイファイ的なクォリティが上がっているけれど、どっちの音が好きかというのは別の話だと思います。

桑原 ありきたりかもしれませんが、自分の嗜好に合わせて選ぶのがオーディオ趣味です。さらにヘッドホンでは、製品を選び分ける、使い分ける楽しみもある。SUSVARA UNVEILEDのような新しい魅力を持った製品も出てきているわけですから、ぜひその楽しさを多くのオーディオファンに知ってもらいたいですね。

提供:HIFIMAN JAPAN

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